第23話 浴衣


お祭り広場だけでも凄いと思ったのに……


宿屋マカオって凄いな。


プールに絶景露天風呂に海水プール、バイキングに屋上庭園まである。


しかも24時間軽食が食べられたり、頼めば部屋にエールやおつまみまで届けてくれる。


まるで、前世の観光ホテルと変わらない。


この世界は飛行機はないから、近くのリゾート地にしか基本行かない。


その為、利権が守られているのかタミアは凄く栄えている。


尤も、此処は高級宿屋だからか、お客はまばらだけどな。


ここに居ると魔国と戦闘中だと言う事をすっかり忘れてしまう。


少なくとも、ライトと共に旅をして見て来た人たちの悲壮感は此処には無い。


「リヒトくん、これからどうしようか? あむっ」


エルダさんはキャラメルを食べながら俺に聞いてきた。


「取り敢えず部屋に行って着替えてからにしない? 」


「それが良いかもね……皆、お揃いの服着てるし、あれに着替えた方が寛げそうだもんね」


驚く事に浴衣まで再現されていた。


タミアの街にも確かに浴衣を着た人が居たけど、まさかホテルや旅館で貸し出しているなんてな。


この街だけ見たらまるで日本だ。


◆◆◆


部屋に来た。


畳の部屋にオーシャンビューの窓の傍に廊下。


そこにテーブルと椅子がある。


どう見てもお膳にお茶セットがあり、そこに瓦せんべいまである。


ここ本当に異世界なのか?


まさか、何かの間違いで熱海に転移してきたのか?


そう思えてしまう位にここは日本そっくりだ。


尤も言語も違うし、種族も違うから一見似ているようで違う。


「えへへっ、リヒトくんどうかな?」


「うん、凄く似合っているよ」


浴衣に着替えたエルダさんは凄く綺麗だった。


エルダさんの見た目は27歳位で胸もお尻も大きい。


そんなスタイルのエルダさんが浴衣に着替えたら……凄い事になる。


主に胸とお尻が……!?


「そう、嬉しいな」


そういうエルダさんは浴衣の下に何も身に着けていない感じに見えた。


「エルダさん、あの……下着……」


「うん、着けてないよ! この『浴衣の着方』という説明書にそう書いてあるから。 あっ!? もしかしてリヒトくん……私としたくなっちゃった?」


胸元が大きく開いて横にいると胸が良く見える。


これを見て催さない男はまず居ないと思う。


だけど……そろそろバイキングの開催時間だし……始めてしまったら折角のディナーバイキングの時間が過ぎてしまう。


「うん……だけど、もうディナーバイキングの時間だから、それが終わってからのお楽しみにするよ」


「だけど、それ辛そうだよね? 夜は思いっきり楽しむとして……今はちょっとだけ抜いちゃおうか?」


え~と……『ちょっと』って……


「リヒトくん、忘れてない? 私、前にリヒトくんに使ってあげたじゃない? 『ビクトリア王宮 房中術』の中には口技があるの。……浴衣を脱ぐのもなんだし……口でしてあげる」


そう言うとエルダさんはしゃがみ込み俺の股間に顔を近づけて……


思いだした。


俺がエルダさんと再会した時に経験したんだっけ。


◆◆◆

「リヒトくん、顔が赤いよ……」


今、俺はエルダさんと手を繋いでバイキング会場に向かっている。


「いや、エルダさんが……あんな事するから」


「もっと凄い事していたじゃない?」


「いや、此処暫くご無沙汰だったし、浴衣姿のエルダさんは凄く綺麗だったから……何時もより凄く」


「うふふっ、ありがとう。リヒトくんが喜んでくれるなら、私今夜は思いっきり頑張っちゃおうかな」


そう言ってエルダさんは俺にしだれかかってきた。


周りから見たら完全にバカップルに見えるかも知れない。


だが、そんなのは関係ない。


俺はエルダさんの肩をそのまま抱き寄せた。


「それなら、今夜は寝かせないよ」


「うん、私も寝ないつもりで頑張るね!」


「あのお客様、すみませんが、バイキングのカードをお願いします」


「「あっスミマセン」」


気がついたらバイキングの会場の大広間に着いていた。




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奴隷譲渡!? 勇者パーティを追放される俺は文句を言わない代わりに、勇者が父親の遺産で貰った女奴隷を貰う事にしました。 石のやっさん @isinoyassan

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