第8話 私を好きすぎるリヒトくん


「リヒトくん、そんな所……汚いから、そんな舐めたりしないで良いから……ちょっと、駄目だって……ハァハァ切なくなるから」


「だ~め……今日はエルダさんに気持ち良くなってもらうから」


「だから……ハァハァ~ あーーーっ駄目、駄目だって、そんな」


良かった……エルダさんに気持ち良くなって貰えて。


◆◆◆


エルダさんと暮らして気がついた事があった。


エルダさんは体を許してくれるが、行為そのものを心から楽しんでいない気がした。


エルダさんが体を許す条件が『所有者』だから。


それが強いのかも知れない。


『エルダさんが傍に居てくれる』それだけで充分だと思っていたけど……エルダさんにも『俺を感じて貰いたくなってきた』


だから、思い切って行為中に俺からも色々として見る事にしたんだ。


「ハァハァ、リヒトくん……こんなの私初めてだよ……ハァハァ……だけど、あんな事しないで……よいから」


行為が終わり、エルダさんは目をとろんとしながら俺の腕の中に居る。


いつも凛としているエルダさんも綺麗で素敵だけど、こういうエルダさんも可愛いくて凄くいい。


「エルダさん、好きな者同士のSEXって愛を確かめ会う為の行為だと俺は思うんだ」


「愛を確かめあう行為......」


「一方通行的に片方の人間が気持ち良くなるような物じゃなくて、お互いに相手を思いやり、二人して気持ち良くなり幸せを感じるような物とでも言えば良いのかな? 」


「私、そんな事して貰った事ないし……そんな風に言って貰った事ありません……」


エルダさんの話を聞いて思ったんだけど、エルダさんは奉仕した事は沢山あっても、奉仕された事は余りないんじゃないかな。


そう想った。


だけど、それは俺の中では性処理であって『愛あるSEX』じゃない気がした。


「俺、口下手だから、上手く言えないけど、俺が気持ち良くなった分、エルダさんにも気持ち良くなって貰いたい。エルダさんが気持ち良くなってくれると俺も嬉しいんだ……それでエルダさん、エルダさんだけが頑張るのと、俺も一緒に頑張るの、どっちが良い?」


「……リヒトくんにも……して貰う方が良いです……」


ちいさな声で顔を赤くしながらエイダさんが呟いた。


「えっ……聞こえないよ」


「リヒトくんの意地悪……リヒトくんにもして欲しいです」


「それじゃ、頑張るね」


腕枕からエルダさんの頭をそっとおろし、俺は顔をエルダさんの下半身へと向けそのまま潜り込んだ。


いわゆる69の体制だ。


「ちょっ、リヒトくん、それは幾らなんでも恥ずかしすぎるって……恥ずかしい、リヒトくんって……もう、それなら私だって」


顔を赤くして焦っているエルダさんが凄く可愛いい。


俺は決して厭らしい方じゃないと思う。


多分、相手がエルダさんじゃなければこんな事は出来ないと思う。


幼馴染の三人相手……なんて考えるだけで気持ち悪くて吐き気がする。


それがエルダさん相手なら平気でこんな事も出来る。


たかがSEX、そう言うかも知れないけど、こういう事は愛が無いと出来ない気がする。


◆◆◆



「うふっ、満足そうに眠っちゃって……」


これが『愛』なのかな?……本当に凄いわ。


言われてみれば私『奉仕』は沢山していたけど、あんな恥ずかしい『奉仕』なんてされた事無かったなぁ。


大体、私は『汚い女』と言われ『女狐』なんて良い方で酷い人は『牝豚』『便所』なんて呼ぶんだから、そんな女の下半身に口なんて誰もつけないよ。


リヒトくんに抱かれて堪えちゃったよ。


私、今迄本当に『物』や『家畜』扱いだったんだ。


誰も、『家畜』や『便器』に口なんてつけないよ。


だから、キスも余りされなくて、私がすると嫌がれていたんだ。


そういえば、嬉しくてキスした時にビンタされた事もあった。


そういう事なんだね。


本当にリヒトくんは……私が好きなんだね……『愛されている』って事が本当に解るよ。


私はリヒトくんにとって『物』じゃなくて『妻』なんだね。


もう本当にどうして良いか解らなくなるの。


大体SEX自体も300年位してなかったし、しかも体がこんなに崩れてきて、相手するのも恥ずかしいのに……あんな事やそんな事迄するんだから……


恋愛とか良く解らないけど、これが『愛』なんだと言う事はなんとなく解る。


今迄出会った誰よりも私を大切にしてくれているんだから、解らないわけない。


私奴隷だよ。


リヒトくんの物なんだから、命令するだけで幾らでも抱けるし、自由に出来るのに……結婚してくれるなんて、今でも信じられないよ。


指輪に綺麗な服に新品の下着……プレゼントなんてされた事なかったよ......リヒトくん。


確かに王宮のハーレムに居た時は良いアクセサリーをつけた事もあるけど、あれは借り物で自分の物じゃない。


ねぇリヒトくん……もう身も心も貴方の物なのだけど、私どうすれれば良いのかな。


喜んでくれる事なら何でもしたいのに……『エルダさんが一緒に居てくれるだけで幸せ』とか真顔で言われても困るよ。


私だってリヒトくんに喜んで貰いたいんだから。


リヒトくん、少し疲れたのかな……まだ寝ているわね。


起こさないようにして……ご飯作ろう。


そうしないと……「エルダさんは休んでいて俺がご飯作るから」ってリヒトくんが作っちゃうから。


◆◆◆


台所にきたんだけど……


なにこれ?


鍋に茶色い謎のシチューがあって、お皿には変わった形のパンがある。


『ちょっと変わったメニューでカレーという物を作ってみました。あとで一緒に食べようね』


ってメモがある。


うふふっ、また先を越されちゃった。


また、負けちゃった悔しい。


こんなのいつ作ったのよ。


リヒトくん……私の事好きすぎるよ。


本当に、私はなにをしてあげれば良いんだろう……







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