第7話 勇者ライトSIDE ヤバいかも

リヒトを追放して暫く経った。


俺は仲間の補充の為に冒険者ギルドに来た。


戦力的には俺、剣聖リメル、聖女マリアンヌに賢者のリリアこれで充分。


俺達に必要なのは雑用係だ。


確かにリヒトは、俺達に比べれば戦力的に劣るが、これは剣士なのだから仕方が無い。


戦力としてついて来られないのは本当だが、雑用係としてはしっかりしていた。


戦力は必要ないから、彼奴の追放は必要ない。


だが、最大の問題は彼奴が『幼馴染で男』だからだ。


彼奴の傍では俺も含み、皆がイチャイチャしずらい。


勇者パーティでなければ幾ら貴族とは一夫多妻は難しいから、俺が結婚相手に選ぶのは1人、もしくは政略結婚で誰とも結婚しない可能性もあった。


つまり、三人のうちの誰かはリヒトと結婚する可能性もあった。


特にリリアは兄代わりに慕っていた。


だから、俺とイチャイチャする時に、どうしてもリヒトの目を気にしてしまう。


それで、四人で話し合ってリヒトの追放を決めた。


俺としても親友のリヒトに、それを見られるのは、それなりに恥ずかしい。


リヒトの能力で俺達が必要なのは『雑用』だ。


悪いが、幾らでも替えがいる。


冒険者ギルドで『女の冒険者で家事が得意な女』をパーティに入れれば良いだけだ。


◆◆◆



「はい!? 剣鬼リヒト様の代わりですか……すみません居ません……無理です!」


なんでそんな驚くんだ。


「別に腕前は期待して無い。雑用だけ出来れば良いんだ」


確かにA級の戦力は貴重だな。


だが、必要なのは『雑用』だけ幾らでも居るだろう。


「暫くと言う事であれば可能かもしれないですが、相当高額になりますよ?」


「高額ってどの位になるんだ?」


「そうですね、あくまで概算ですが、一か月金貨30枚(約300万円)は必要かと思います。それでも引き受け手が居るかどうか解りません」


「何故、そうなるんだ」


「良いですか? 勇者パーティの旅は過酷です。討伐に参加しなくても自衛の手段は必要です。 その自衛手段を持っている冒険者はC級以上と考えます。ですが、旅が進めば、すぐにC級じゃ役に立たなくなりますので推奨はB級レベルです。 そのレベルの冒険者なら月に金貨60枚位は稼げてしまいます。 ただ、安定して稼げる継続依頼と言う事から計算しまして、金貨30枚……そこが下限かと思います」


「そんな高額なのか……」


「はい……更に言うなら『女性限定』にしてしまうと更に応募は厳しいかと思いますが」


「どうして女性は厳しいんだ!」


「失礼ですが、ライト様のパーティはハーレムパーティとして皆さん認知しています。そこから、考えた女性の冒険者は『ハーレム要員』と考える可能性を考え避けると思いますよ。 そうじゃないと書類で書いて『信じて貰えた』としても若い女冒険者が年単位で時間を取られるのですから、婚期や恋愛を考え敬遠されると思いますよ」


「それじゃ、俺達はどうすれば良いんだよ!」


「そうですね。街や村につく度に冒険者ギルドを訪ねて貰い、その都度、代行してくれる冒険者に依頼をして貰う事。そして食事は外食で過ごせば街や村なら、余り困らないと思います。問題は、移動中や泊りがけでの討伐だけじゃないでしょうか?」


「……」


「あっ、幾ら代行と言っても書類や報告書の下書き位は作っておいて下さいね……常に事細かにメモを書く習慣をつけて下さい。 あとは、パーティの方針とか目標は代行者じゃ解りませんからご自身で……」


「解った……」


今聞いただけでも『大変な事』が解った。


新しくメンバーを募集するなら『俺の好み』の女にしようと思い1人で来たが……不味いんじゃないか?


「一応聞いておくが、リヒトって優秀なのか?」


「優秀ですよ! 勇者様達みたいなS級では無いですがA級冒険者。 それなのに雑用や書類作り家事スキルは完璧ですから、実際に『アマゾネスという女性ばかりのパーティはパーティメンバー全員の夜のご奉仕付の条件で交渉して欲しい』とか『クルセイダーやアークプリーストの女性から是非パーティを組みたい』という話が山ほどギルドに来ていました」


「来ていました?」


「はい、故郷の村でFランク冒険者とパーティを組まれたそうですよ……恐らく、スローライフでも楽しむんじゃないですかね」


「そう、なのか……」


彼奴、本当に村に帰っちまったのか……


『大人しく村に帰って田舎で冒険者にでもなるか、別の弱いパーティでも探すんだな』


俺が言った事だ。


もう一人じゃどうにも出来ねー。


「はい、個人情報でこれ以上は言えませんが……」


「また出直す」


もう一人じゃどうにも出来ない。


皆で相談するしかないな。


俺は手を振りながら冒険者ギルドを立ち去った。







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