第52話 キメラオーガ製造拠点を破壊せよ4
こんなに多くの製造装置を、このまま稼働させておけば、何万というキメラオーガが作り出されてしまうだろう。それにキメラオーガが製造されるということは、同数の犠牲者がキメラオーガのパーツにされてしまうということだ。
こんな設備を作りやがっていい加減にしろ。
ドーム内の扉が次々開いて、キメラオーガが出てくる。
無表情なキメラオーガ約50体がこちらに迫る。
攻撃部隊が魔法攻撃を始めようとしたがるが、魔法が無効化されてしまって魔法が発動できない。
距離が近すぎる!
「キメラオーガと近いと、魔法が無効化されてしまう。攻撃部隊は一旦後方に下がってくれ」
「レッド! グレー! 攻撃部隊と入れ替わって、キメラオーガたちを始末してくれ。攻撃部隊は製造装置の破壊を頼む! 洗脳されている研究者も全て始末してくれ!」
レッドとグレーによる攻撃が始まる。
無効化魔法など、ドラゴンに効きはしない。
キメラオーガたちが、次々吹き飛ばされバラバラになる。
再生はできないだろう。
レッドとグレーが、次々キメラオーガを倒していくが、その度に扉が開いてキメラオーガが補充されていく。
次々出てくるが、キメラオーガはいったい何体いるのだ?
レッドにキメラオーガをコントロールしている騎士を探してもらった。
天井付近に張り出して作られた部屋から、こちらを睨んでいる騎士が念話騎士のようだ。
「アンジェ、エメット! あそこにいる念話騎士を始末してほしい。奴がキメラオーガをコントロールしている!」
アンジェとエメットが、天井付近に張り出して作られた部屋に向かって飛んでいく。
部屋に向かって魔弓の矢と魔槍を撃ち込む。
念話騎士が部屋ごと吹き飛ぶ。
キメラオーガの動きがやっと止まる。
レッドとグレーが、動きの止まったキメラオーガを吹き飛ばして倒していく。
「攻撃部隊は、キメラオーガ製造のために、捕らえられている者たちがいないか探してほしい。装置の破壊は俺たちがやる」
「了解した」
攻撃部隊がドームの扉を開けて、部屋の中を確認していく。
レッドとグレーは、キメラオーガへの攻撃を終えたようだ。
しかしキメラオーガが再びどこからか現れるかも知れない。
彼女たちには周囲を警戒してもらい、再度の攻撃に備えてもらう。
俺は、アンジェとエメットとともに製造装置の破壊を続ける。
「捕らえられた者たちを見つけました。約200人います。しかし衰弱が激しいです!」
「建物の外に運び出してくれ」
捕らえられていた者たちが、次々と建物の外に運び出されていく。
俺たちも製造装置の破壊を終わらせる。
研究者も全て始末した。
「俺たちも建物の外に出るぞ」
俺たちは建物の外に出て、捕らえられていた者たちが、寝かせられているところに近づく。
寝かされている者たちは、まったく動かない。
「フウタ殿! この者たちの様子がおかしいです! 虫が皮膚を食い破って出てきました」
「全員離れろ! 皮膚を食い破って出てきているのは魔虫だ。こいつらに卵を産み付けられたら死ぬしかないぞ。急いでゴンドラに乗り込め! この場所は危険だ、直ぐに脱出するぞ! レッド、グレー頼む」
攻撃隊が、急いでゴンドラに乗り込んでいく。
レッドとグレーがゴンドラ掴んで離陸する。
レッドは、地面の上に横に寝かされている人たちに火球を放つ。
火球が爆発すると一斉に、無数の魔虫が上空に舞い上がってくる。
黒く染まった魔虫で、地面に黒いシミができていく。
シミがどんどん大きくなる。いったい魔虫は何万匹いるのだ。
気味が悪い。
魔虫が苦手なのは俺だけではない、レッドとグレーも苦手のようだ。
頼むからこっちに来ないでくれ。
グレーが舞い上がってきた魔虫の群れに、雷球を放つ。
燃え尽きた魔虫たちが、ボタボタと落下していく。
しかし魔虫の数が多い、無数の魔虫がどんどん舞い上がってくる。
俺たちよりも高く舞い上がり、空を覆い尽くし始める。
グレーの攻撃で燃え尽きる魔虫もいるが、そんな攻撃ではとても間に合わない数なのだ。
沼からも無数に魔虫が飛び上がってくる。
やがて魔虫たちが集合して、巨大な人の様な形を形成していく。
小さな魔虫の集合体なのに、顔の部分はリアルな表情が出来上がっている。
巨人がグレーに向かって大きな腕を振り回す。
あの大きな腕が当たれば、グレーもダメージを受けるだろう。
攻撃部隊を乗せたゴンドラをぶら下げているので、グレーは素早く動くことができない。
まずい状況だ……
早く攻撃部隊を降ろさないとレッドもグレーも自由に動けないし、本来のパワーが出せないだろう。
しかし攻撃部隊を地面に降ろせば、彼らは確実に死ぬ。
どうすればいい?
その時……ブラックドラゴンに率いられたドラゴン族が、こちらに向かって飛んで来ているのが見える。
「フウタ、今回はさすがに危険だと思い、父上に助けをお願いしておいたのだ。邪神と戦うことになるからな。空に湧き上がる魔虫の巨人を見て、沼の近くで待機してもらっていたドラゴン族が来てくれたみたいだ」
「ドラゴン王! 助けに来ていただきありがとうございます。最強のドラゴン族がきてくれて心強いです」
「グレー、レッド、無事か! フウタも安心しろ。ドラゴン族に手を出せばどうなるかを思い知らせてやる」
ブラックドラゴンが念話で叫んでいる。
ブラック! 叫び過ぎだ……頭の中がビリビリする。
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