第50話 キメラオーガ製造拠点を破壊せよ2

女神様との会話は、きっとこの世界では1秒と2秒ぐらいのはずだ。


俺は、マジックバックから地図を取り出して、マークがないか確認する。

あった。確かに地図にマークが付いている。


「今、女神様と話をしていました。この場所がキメラオーガを大量に作り出している製造拠点です。レッド! この場所が分かる?」


女神様と話をしたという話を聞いて、エルフ王や獣人王、魔王の他、会議に参加している全ての者たちが驚いている。


神様と普通に話ができる者はいないからだ。

過去の長い歴史においても存在しない。


フウタという人族は神の使いなのか!

皆がフウタに頭を下げそうになっている


俺は、それは止めてと手を振って頭を下げるのを止めてもらう。

俺だってなんでそういうことになっているのか分からないよ……


「もちろん分かるぞ。ユニマ国の北東部にあるこの場所は、魔虫の沼と呼ぼれているところだ。魔虫が無数に生息している場所だ。はっきりいって、私も苦手というか気持ち悪いから絶対近寄りたくないところなのだ。とにかく普通の神経では耐えられない場所だぞ。」


「魔虫1匹の大きさは小さい。魔虫1匹ならどうということはないかも知れない、しかしそいつらは無数ともいえる集団で襲ってくるぞ。しかも全ての魔虫が強烈な毒を持っている。皮膚を食い破られれば、無数の卵を産み付けられてしまう。産み付けられた卵はすぐに孵化する。孵化した虫が体中を食い尽くすぞ!」


話しているレッドの顔が強張ってくる。

レッドも虫は嫌いなのだな!

それにしても、長く生きているから本当に物知りだな。さすがドラゴン!


話を聞いて、会議の場にいる全員がブルとしている。

想像してしまうよな。俺も虫は苦手なのだ。

できれば行きたくないぞ!


「製造拠点まではレッドとグレーに運んでもらおう。となると作戦に参加できる人数は限られます。まったく、嫌な場所に製造拠点を作ったものです。しかし奴らは、なぜ魔虫に襲われないのだろうか。そこは疑問です」


「いづれにしても、各国の騎士や将軍級の人たちから志願者を募ってもらえないでしょうか。こいつらを放置しておけば、この世界がドワブ教の国になってしまいます!」


王たちの表情が固い……


「各国から魔法および剣技に優れた志願者を50人程度出して下さい。4国で200人です。ゼピュロス国で100人が乗れるゴンドラを2台用意します。ゴンドラはレッドとグレーに運んでもらいます。」


「普通の武器ではキメラオーガには通用しません。できれば志願者にはミスリルの剣を持たせて下さい」


「先ほど女神様から、強化スキルを頂きました。このスキルにより作戦に参加する戦士の魔法やスキルのパワーを一時的に10倍にできます。もちろん防御力も10倍となります」


「キメラオーガ軍は魔法を無効化できます。ただし彼らが魔法を無効化できる範囲の外側からは、魔法を使うことが可能になります。俺が魔法のパワーを10倍に強化しますので、遠隔攻撃を主体に攻撃を行うようにしてもらえば大丈夫です」


「剣や弓で使う戦士は、同じく10倍に強化した剣技パワーで、他の戦士と連携しながらミスリルの剣で攻撃を行って下さい」


王たちの表情が少し和らぐ……


「まずは俺、レッド、グレー、アンジェ、エメットが上空から製造拠点の建物を軽く攻撃します。この攻撃により製造拠点が混乱する隙に、志願部隊は中に突入して下さい。俺たちも後に続きます」


「志願部隊は、製造拠点内での戦いがメインとなります。目標はキメラオーガ軍を作り出す設備の完全破壊と研究者の始末です。これは容赦なく行って下さい」


「問題はドアブ教の邪神がその製造拠点の近くにいることです。いつの時点で邪神が出てくるか分かりません。こいつの相手は俺がします。もしも俺が殺られたら無理をせず逃げて下さい。邪神は神様たちがなんとかしてくれると思います」


「とにかく、俺はこの作戦に命を掛けます! 協力願います!」


「分かった! 婿殿が命を賭けるのにエルフが逃げるわけにはいかん!」

「獣人国の恩人が命を賭けるのに獣人が逃げるわけにはいかんだろ!」


「奴らを放っておけば、魔王国も滅ぼされる。魔王国もやるぞ!」

「今こそ恩を返す時です。シルティ城からも志願者を募ります!」


皆が賛同してくれる。

俺だって死にたくないから頑張るぞ。


話し合いの結果、グレーの運ぶゴンドラにはゼピュロス国と魔王国の志願者が、レッドの運ぶゴンドラにはエルフ国と獣人国の志願者が乗り込むことになった。


全員が一度獣人国に集合し、そこから敵の製造拠点を目指すことになった。


……作戦開始日は、4日後早朝とした……


魔虫の大群とはどう戦えばいいのだろう。

「レッド! 魔虫はどの程度の攻撃で死ぬのかな?」


「火でも雷でも簡単に死ぬ。ただし数が数だけに、広い範囲を一瞬で攻撃できる魔法でないと反撃にあうぞ!」

そうすると俺の場合は火なのか!


俺は決行日まで、パワーアップのためにドラゴンヒルで、レッドに教えてもらった呼吸法を繰り返している。

また筋肉量を増やすためのトレーニングもやっている。

俺の横には鬼指導教官レッドだ。


彼女も俺を殺させたくないから訓練が厳しい。

というか厳しすぎるぞ……


『炎の剣』を使った火球の出し方や使い方も訓練している。

火球の威力がかなりましてきた。


レッドによるとドラゴンレベルになってきたそうだ。


身体強化スキルも練習している。

『身体強化』と念じると皮膚が硬化して、剣技による物理攻撃を弾き返すことができるようになった。

またレッドの力を弱めた火球くらいなら耐えられるようになった。


しかし魔虫には絶対刺されたくない……

ゴキブリが怖いのと同じ心理状態だよ。

ひょっとして神様たち、虫が苦手ということはないよな!


それにしても、どんどん人間離れしてきているな……

しかし邪神と戦うことになったら、人間離れレベルでは心持たないしな。


俺はどこを目指しているのか……なんか心配になる……

とにかく今できることを全てやっておこう。



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