第38話 ゴザリア国1

シルティ城の復活から1ヶ月が経つ。

レッドの背に乗って、シルティ城に行ってみよう。

どうなったかな?


シルティ城に到着した。

アリスやシルティ城の人たちが、手を振ってくれている。


シルティ城の中庭に着地すると、アリスが走って来る。

うれしそうな表情だ、上手くいっているのかな。

気になって仕方ないので、さっそくアリスに現在の状況を聞いてみる。


「サイレント部隊が戻ってきてくれました。また、生き残っていてくれていた騎士や兵士たちも、少しずつ戻ってくれています。シルティ国が復活しつつあることを噂で知り、シルティ国の住民だった者たちも、少しずつ戻り始めています。現在、戻ってきてくれた住民は2000人ぐらいになっています」


「それは良かった。じゃあ、住居を片っ端から修復していくぞ!」


アリスに元の様子を聞きながら、住民たちの住居や公共施設を修復していく。

さすがに、短期間で全てという訳にはいかないので、取り敢えず王宮近くの建物を中心に修復していく。


2000人ぐらいは楽に住めるぐらいの住居は修復し終わったな。

少し休んで、街のインフラ関係もできるだけ修復しておく。

残りは、次回シルティ国に来る時にやろう、何回かやればシルティ国の王都を復活できるだろう。


フウタ様の建設スキルは本当にすごい。

諦めていたシルティ王国の完全復活が現実になりつつある。

何と感謝をすればいいのでしょう……


フウタ様の力は人を超えている。

神様とも話ができて、しかもドラゴンが2体もフウタ様に協力している。

そんな人は今までいなかったわ……


オーガの集落で死にそうな目にあったけど、そこでフウタ様に出会えたことが、本当に幸運だったと思う。


王都の修復をある程度終えて、アリスとともに城に戻る。

少し疲れたかな。


城に戻ると、シルティ王国騎士のクリスとサイレンス部隊隊長のマット、マーベリックさんが待っている。

さっそく、今後について打ち合わせを始める。

休む暇が無いな……


「まず軍資金は、これを自由に使って下さい!」

マジックバックから金貨を大量に出してテーブルに置く。


4人が、信じられないという目で俺を見ている。

盗んだお金じゃないからね……疑っていないよね。

女神様に貰ったお金だよ。


「このお金は、どうやって……」と、アリスが聞くので「女神様からの贈り物です。お金なんかいくらでもあります」と答えておいた。


4人が頭を下げている。

「俺じゃなくて……女神様に下げて下さいね」

「もちろん、両方に頭を下げています」


「ところでクリスさん! 兵士に志願してくれそうな男性は何人ぐらいいそうですか?」

「シルティ王国の騎士や兵士だった人を含めて300人ぐらいだと思います」


「マーベリックさん! 商人隊の伝手で兵士たちの装備一式を購入できますか? 装備一式の運搬は俺のマジックバックを使いましょう」

「承知しました。商人隊の伝手を総動員し、ゴザリア国にバレないように購入してみます」


「クリスさんは、騎士たちと兵士の訓練をお願いします。必要になりそうな装備があれば、早めにマーベリックさんに伝えてください」

「承知しました」


「マットさん! サイレント部隊を動かして奴隷にされているエルフと獣人たちを救出して下さい。サイレント部隊は商人隊の護衛にまぎれて下さい」


「商人隊と連携し、商人ネットワークからの情報を上手く活用してください。エルフと獣人たちの救出は、危険な仕事になると思いますので、エリクサーを10本渡しておきます。足らなくなったらアリスに伝えて下さい。いくらでも渡しますからね。死にそうな人には、スーパーエリクサーもありますからね」


「こんな高価なものをありがとうございます。エルフと獣人たちの救出と、各地の情報収集を頑張ります」


シルティ王国が隆盛だった時でも、エリクサーなど頂いたことはない。

本当にありがたい……神の加護を受けている人はすごい……

この方ついていけば、シルティ王国を本当に復活させることができるかもしれない……いやこの世界を変えてくれるかもしれない!


「マットさん! 軍資金はいくらでも提供できますからね。必要なことに存分に使って下さい。まだまだ体制は整いませんが、早く体制を整えてシルティ王国の復活を宣言ができるようにしましょう」


フウタ様がシルティ王国の復活と言ってくれた! 

この人のために、俺の部下も命を賭ける……シルティ王国を復活させるぞ。


「クリスさん! マットさん! 大事なことを言います。俺はエルフ族や獣人族、人族が助け合いながら幸せに暮らす国造りを目指しています。どう思いますか?」


「フウタ様! シルティ王国は元々、エルフ族や獣人族、人族が助け合いながら幸せに暮らしていた国なのです。もう誰も生きていませんが、エルフ族や獣人族に友人がたくさんいたのです。異存などありません!」


「それどころか、ここまでしていただいて本当に感謝しています。我々一同、フウタ様に命を預けます。何なりとご指示下さい」

4人が再び頭を下げる。


「アリス! シルティ王国の体制が整うまで、ドラゴン族の王妃であるグレーがこの城を守ってくれる。安心して下さい。あなたは、シルティ王国に戻ってくる民の幸せの幸せを全力で実現して下さい。それがあなたの仕事ですよ」


その後、俺はゼピュロス国に戻る。

その後、ゼピュロス国とシルティ城を定期的に往復しているが、シルティ王国の王都にどんどん民が戻って来ているようだ。

順調にシルティ王国が復活しているな、良かった。


サイレント部隊によるエルフと獣人の奴隷救出も進んでいるようだ。

現在エルフと獣人の男女合わせて200人が救出されている。


いい方向に転がり始めているな。


それから半年が過ぎた頃……

アリスからは、俺の妻にしてほしいと何度もお願いされている。


エルフ族はアンジェが俺の妻だし、王女の責任として、人族と俺とのつながりを作りたい気持ちがあるのだろうな。

それに、ゼピュロス国とシルティ城を定期的に往復している内に仲良くなっちゃったからな。

レッドやアンジェの承諾ももらわないといけないな。


結婚式はシルティ城とゼピュロス国で行う。

こういうイベントを通して、エルフ族や獣人族や人族の融和が進んでくれればいいのだけど。


それにしても、この世界ではのんびり暮らすはずだったのに、全然のんびりじゃないな。

しかし、美人の妻が3人もいるなんて幸せだよな。

自分の城もあるしね。


ゴザリア国の悪政もあり、シルティ城には現在1万人の市民が戻って来ているそうだ。

エルフと獣人の奴隷も男女合わせて、今までに500人が救出されたみたいだ。救出された500人はゼピュロス国の住民になる。


順調だな。このままいけばシルティ国の復活間近だ。


しばらくのんびりしよう。のんびりしていいよね。


そんな時、そんなほっとした時に、ドラゴンヒルからホワイトドラゴンが、厄介事を運んくる。


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