第2話 虫捕り


  筍泥棒事件の数年後の

  第一話の続きのお話です。


  こどもたちが目撃ドキュンしたらしい

  “”せんそうのえほん“”に出てくるような

  へんなふくをきたおじさんの正体は

  まぁ間違いなくこの世のものではないよね。

  でも、そのことは息子たちにはまだ

  口チャックしておいて、いつか時がきたら話そうと

  夫(現在は離婚しているので正しくは元夫)とは

  暗黙の了承をなんとなくとりあっており、

  英霊話は彼らには封印されたまま、時は過ぎた。


  幼稚園を卒園し、息子らは小学生になった。

  そしてやってきました、夏休み。

  暇を持て余す息子らの関心は

  「虫捕り」


  巷で虫捕りに興じる少年たちの究極の憧れはもちろん、

  カブトムシ、クワガタ。

  息子たちも例に漏れず日々昆虫図鑑を開いていたし、

  当時ナウいとされていたムシが主人公のアニメやら

  ゲームやカードに爆ハマリしていた。

  

  でもなぁ・・・母はそもそも虫、苦手なんですけど。

  このカブトばりかっけ~とかいってるけどさ、

  わたしにはゴキちゃんと

  そう変わりなく見えるんですけど。

  (好きな方ごめんなさい

  

  日々、彼らが虫かごに捕まえてくるものが

  イキが良く、なんか巨大になってきているのにも

  ひそかにぞっとしている母。


  しかし。もっとでかくてかっこいいカブトやら

  強そうなクワガタを自分の手で捕まえてみたいと

  思うのは夏の少年たちの、見果てぬ夢なんだろう。

  トンボやカマキリでは、全く満足できないのはわかる。

 

  そんなこどもらのせつない思いを察知した夫が、

  ある日のこと。

  

  夫「よーし、父ちゃんについてこい。

   今から虫捕りのトラップを仕掛けに行くぜ」

  弟「よっしゃああああああ、おれ、

  ヘラクレスつかまえるー!!!」

  兄「ばーーか、それ、にほんにはおらん。

   けどオオクワならおるかもねぃぃ」

  

  チーム虫捕り男軍団は、

  うきうきルンルンしながら

  傷みかけたバナナだの蜂蜜だの

  飲みかけの焼酎だの、を台所から盗み出し、

  夫はすでに息子たち以上に調子に乗っている感じで、

  夫「かーちゃん、いらんストッキングちょーだい」


  なんだか怪しいモノばかりを

  さも大切そうに携えた彼らは

  目指す樹のある場所へいそいそと出かけて行った。

  

  我が家はとんでもない田舎であるので

  5分も歩けばそんな場所に辿り着ける。

  まぁ近所のおっちゃんの畑あたりに

  罠を仕掛けに行ったのだろうと思っていたら。


  チーム虫捕り男軍団、棒アイスを食べながら

  汗まみれで楽しそうに帰ってきた。

  夫「なんかあんまりいい樹がなくてさぁ

   結局、公園の山の竹やぶの前にクヌギあったから

   あそこにトラップ仕込んできたわ」


  まてまて。

  久々に出ました。

  公園の山、というキーワード。

  母、すでに嫌な予感でドン引きしまくる。


  母「・・・あのさ。

   例の山よね、それ」

  夫「んーー??? 例のって、、なんのこと?」

母「・・・(子供らに聴こえないように小声で)

    アンタもう忘れたんかい!!!!!  

    た、筍たいっ!!!!  やつらが巨大筍拾ってきたとこ!!!!

“”せんそうのおじさん“”が出たとこ!!!!(ガクガクブルブル」

  夫「・・・ぎゃーーーそげんじゃった!!!!

    冗談はよし子ちゃん」

  

  母「そのトラップって、

    夜中とか朝方に回収にいくとよね」

  夫「そう。いやほんとマジ。

    やべーとこに行っちまったな~、

    やっちまったな~、がびーーん!!!」

  

  

   つづく。

   第三話をお楽しみに。


   また来週も見てくださいねぇぇ、んがっぐぐ。

   byサザエ


  

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

昭和の約束 御願崎冷夏 @uganzaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画