昭和の約束

御願崎冷夏

第1話 筍泥棒


現在20代後半のうちの息子たちの

幼稚園時代のおもしろエピソードを

令和のいまでは死語といわれる言葉を

普通に使いながら思い出語りします。


幼稚園が半ドンでおわったので

息子たちと当時ふたりがホの字の

ガールフレンドの三人組は

すぐ近くの公園にルンルンしながら

遊びに行っていた。


いつのまにかおやつの時間。

こどもたちがかえってきたもよう。


「よっこらしょ、どっこいしょ・・・

おかあさーーーん、いいものみっけ~!!!」


そのいいものとは、

絶対いいものではないと

母は咄嗟に確信。


家事のBGMにCDプレイヤーできいていた

ジャケ買いのSMAPの曲をひとまず止める。


石ころ、貝殻、芋虫、昆虫の死体、

小動物の骨、わけわからんなにものかの欠片、、

だいたいこのあたりだろうと推測して

身構える母。


玄関をあけると。

1mは余裕でありそうな、黒茶色い巨大筍を抱えた

幼稚園児三人組が、

額に滝汗をにじませてキャハキャハ笑っている。


「あーーー、ちかれたビっ。

おかあさんこれ、こうえんのやまにおちとった!!!

すごいやろーーー」


「・・・んがっ、ぐぐ(母、鼻から牛乳、終いにのどにつかえる)」


「これたべるーー!!!! ぜったい、まいうーー!!!!」


うん、おかあさんマンモスうれぴー♫って

いいたいとこではあったけど、、、


「・・・いやいや、あんたたちね、

勝手に持ってくるのはだめでしょー

誰かがあとで取りに来ようとしてたのかもしれんよ」


三人組はにやにや笑いながら

顔を見合わせている。


兄「いんや、おじちゃんがおってさー、

  ちゃんと、これもらっていいですかってきいた」

弟「そーそー、ぼうしかぶったおじちゃん。

  なんもしゃべらんけど、うんうんって」

ガールフレンド「きゃはきゃは!!! そうそう、

   あおじろくてこわかったよねーー!!!

  みたことないへんなふくきてた~~」

弟「よーちえんのせんそうのえほんでみたやつー!!!!」


え。

まてまて。


せんそうのえほんて。


幼稚園でそのような教育も既にされていたのは凄い。

いやひとまずそれは置いておくとして、


園児たちの言ってることを一旦整理すると、

せんそうのえほんに出てくるような

いわゆる軍服に軍帽をかぶったおじちゃんが、

誰かが掘り起こした筍を

持ってってオケ、と許可したと。


その公園には階段で登れる小高いスペースがあり

奥が竹林になっていて、そこをこどもたちは

公園の山とよんでおり。

竹林にはこどもが入れないよう柵を設置してあるのだけれど

竹林の入り口には英霊を祀った記念碑があり、

夜になると「出る」と噂は聞いたことがあった。


・・・。

昼でも出たわけね。。。


なるほど・ザ・ワールド。

色々納得する母。


結局、英霊のおじさんが園児たちに託した巨大筍は

何百枚あるのかわからないくらいの皮だらけで

というかほとんどが皮になってしまってて

食べられる部分は10㎝もなかった(ギャフン!!!


その10㎝が茹であがるころには、

三人組はもう筍のことなんてどうでもよくなり

太陽のように笑いながら

水かけっこして遊んでおりましたとさ。



筍を掘ったのはさすがに英霊ではないだろう。

竹林の管理人さんあたりが掘ったのはいいけれど

食べられないやつってわかってたから

放置してたと思われます(藁



ちゃんちゃん((*^▽^*)







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