僕のナンパ!④

崔 梨遙(再)

1話完結:1000字

 僕がアラサーだった時の話。僕は仕事で岡山に配属された。そして、ようやく新しい環境に慣れた頃、5歳年下の先輩、天野さんから言われた。“ナンパを教えてほしい!”と。


 ということで、ナンパをしに行くことになった。寮で天野さんと待ち合わせたら、僕と同い年の先輩、山内さんが通りかかった。山内さんは典型的なオタク。アニメ、ゲームを愛し、いつも脇の破れたドロドロのTシャツを着て、頭はもじゃもじゃだった。僕等は、おもしろいから山内さんも連れて行くことにした。


 先輩から、“女の娘(こ)と仲良くなった証拠に写真を撮ってこい!”と言われていたので、カメラを持って出動した。



 駅前で女の娘の2人組か3人組を狙う。最初だけ、僕が最初に声をかけて、慣れてきたら最初は天野さんが声をかけることにした。そして、何気なく2組に別れる。ナンパには、まず話しかける勇気が必要だ。そして、共通の話題。これは経験でなんとかなる!


「こんにちは、その服、似合ってますね」

「ああ、ありがとう」

「紫っていいですね。元々、紫って高貴な人の着る色だったらしいですね。お姉さんにピッタリです!」

「ああ、そうなの?」

「そんな上品で魅力的なお姉さんと、食事したいなぁ、連れて行きたい店があるんですよ」


 僕が1人と喋ってる間に、天野さんがもう1人と喋る。


「お金のことなら心配要りませんよ、大富豪の山内先輩がいますから。山内さん!こちらに来てください」


 山内さんが突撃してくる。


「いやーーーー!」


全て、ぶち壊し。女の娘は逃げる。僕等は、いつの間にか逃げる女の娘を見るのが楽しくなって、山内さん突入作戦を続けた。


 だが、写真を撮らなければいけない。


「仲良くなれた証拠に写真を撮らせてください! はい、女性2人で山内さんを横から挟んで! ほら、もっとピッタリくっついて!」

「嘘ーーー!」

「嫌ーーー! これ、何の罰ゲーム?」


 山内さんは、何故か笑顔だった。拒絶されているのに、どうしてこんなに笑顔でいられるのだろう?


 

 山内さん、女性経験が無いというので、風俗店に放り込んだ。“嫌や、嫌や!”と言ってたくせに、写真を出されたら即“この子”って指名していた。その指名した女性は明らかに1番胸がでかかった。そうか、山内さんは胸が好きだったんだ。僕達は納得して帰った。



 翌日、写真を会社に持って行って、女性陣の引きつった顔を見てみんなにウケたが、天野さんとナンパするという趣旨から外れてしまっていた。



 ということで、改めて天野さんとナンパに行くのだった。《続く》







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