兵は暇と争う

SEN

兵は暇と争う

兵は暇と争う


台本:SEN  声劇2人台本(不問2人) 所要時間:10分








兵士A

「これよりおこる戦は後に暗黒の時代といわれ──」


兵士B

「あぁ暗い暗いだめだめ」


兵士A

「っなんだよじゃぁお前やってみろよ」


兵士B

「今より起こりし戦を食物連鎖に例えて言うならばコーヒー豆。さすれば光より現れそし──」


兵士B

「っなんよそれそして現れそしってなんだよ現れそしって」


兵士B

「途中で止めんなよ今からいいところだったんだから」


兵士A

「どう変わるんだよ止めたけど気になるわ」


兵士B

「しかしあれだな、こうやって遊んでられるのも平和だからだよな」


兵士A

「そうだな~魔王も倒されて魔物も減ってきたもんな」


兵士B

「各段に減ったよなぁ…こないだコンビニ行ったら二匹しかいなかったもん」


兵士A

「まじか」


兵士B

「うんうん」


兵士A

「そういえば俺もこないだトンギーホテいった時6匹しかいなかったわ」


兵士B

まぁまぁいるなぁ…しかし減ったよなぁ…いやぁありがたい」


兵士A

「こうやって門を見張ってるだけで給料もらえるんだもんなぁ」


兵士B

「良い仕事だよまったく…トモホルソリンクノレの一滴一滴見てる仕事より良いよ」


兵士A

「あれは見るってのが仕事だからなぁ…こちとら脳死でいいもんなぁ」


兵士B

「でもここまで何もないとバカんなっちゃうよな」


兵士A

「そうなんよ…なんか話してないとこれはあかん」


兵士B

「ってことであそこの日向ぼっこしてる爺さん二人のアテレコしようぜ」


兵士A

「いいな面白そうだ」


兵士B

「やぁトメさんこんちちわ」


兵士A

「いやトメて。こんちちわゴジュウガシラさん」


兵士B

「ゴジュウガシラてえぐいな。最近どうかね?これ、やっとるかね?」


兵士A

「いやぁ最近はからっきしでなぁ…これもこれもんよ」


兵士B

「それもそれもんかぁ…まったく最近の若いもんときたらいかんばい」


兵士A

「これもそれもんでもんもんももんもんももんですわ」


兵士B

「なんじゃそんなことになってとるんかいなぁ大変じゃのぅ」


兵士A

「手がかかるわい。そうじゃじいさんこれ土産じゃ」


兵士B

「ほうほうなんじゃ?なんじゃいこれは」


兵士A

「濃厚な一級品のダークマターじゃ今年は豊作でのぅ」


兵士B

「おぉそれはそれはありがたくちょうだいしよう」


兵士A

「お返しにじいさんこのあとどうだい?例のところで」


兵士B

「これはこれはお戯れなさるな。じゃ行こうかのぅ」


兵士A

「どっこいしょ。あ」


兵士B

「どうしたトメさん」


兵士A

「腰がいったわい」


兵士B

「あるあるじゃの」


兵士A

「…」


兵士B

「…」


兵士A

「これ面白いな」


兵士B

「無茶苦茶だけどありだな」


兵士A

「ありよりのありすぎるな」


兵士B

「いやありよりの無し気味のありだな」


兵士A

「いーや無しよりのありよりのありだね」


兵士B

「だな」


兵士A

「うむ」


兵士B

「はーぁ…なんで時間すぎるのって暇な時こんなにかかるんだろうなぁ」


兵士A

「お前時の神の教え知らないのかよ」


兵士B

「え、知らないけど何それ」


兵士A

「時を暇する者何人たりとも時を恨まず時を崇めよ」


兵士B

「うぉぉ…それっぽい」


兵士A

「それっぽいんじゃなくて本当に言ってんだって続きがあるからまだ」


兵士B

「おぉ教えてくれ」


兵士A

「時を暇する者何人たりとも時を──」


兵士B

「そこはいいから続きを教えろって」


兵士A

「最初から言わないと意味ないんだから黙ってろって」


兵士B

「そうなのかじゃぁ聞いとく」


兵士A

「時を暇する省略」


兵士B

「省略してんじゃねぇかよバカかよ」


兵士A

「時の神に高級な壺を与えよさすれば我が子たちは恵まれ豊かな暮らしが約束されるであろう」


兵士B

「やべぇ匂いしかしねぇわその教え信じないおれ絶対」


兵士A

「って母ちゃんが言ってた」


兵士B

「はよ辞めさせろ」


兵士A

「時を侮るな」


兵士B

「いいよもぅ時の話は」


兵士A

「あーあ…なんか面白いことねぇかなぁ……この槍も誰に使うんだよ」


兵士B

「使徒にでも刺すんかね」


兵士A

「ハヲルくぅんやめてよハヲルくぅぅん」


兵士B

「似てねぇぇ」


兵士A

「使徒で思い出したけどお前魔物見たことある?」


兵士B

「ないけど、お前あんの?」


兵士A

「あるんだなこれが」


兵士B

「まじかよ!え、どこでどこで」


兵士A

「2丁目にさ祠あんじゃん」


兵士B

「無駄に広いとこな、まさかあそこに?」


兵士A

「そこの地下に何百匹も飼ってるてさ」


兵士B

「うっわもぅ街に侵入されてんじゃんそれ」


兵士A

「あ、そうか…本当だ」


兵士B

「そればれたら俺らまで怒られないか?隊長の説教なげぇぞ…」


兵士A

「聞かなかったことにしてくれ俺も聞いてないし知らないし祠なんて何かわかってないことにするから」


兵士B

「それが一番。中で何か起こったらもぅ巡回してるモモセとかニシタニに任せよう」


兵士A

「そういやニシタニのやつ結婚するらしいよ」


兵士B

「は!?相手はよ」


兵士A

「上司のベニフジさんらしい」


兵士B

「えぇぇぇあの強くて美しくて可憐なお嬢様系兵士のベニフジさん!?!?」


兵士A

「うんうん。なんでニシタニなんかにしたんだろうなぁ…ここにこんなにいい男いるのになぁ」


兵士B

「うっわ~…ショックだわ」


兵士A

「だろ?俺も聞いた時10時間ぐらい寝れなかったよ」


兵士B

「しかもニシタニのやつ出世街道まっしぐらじゃんそんなの」


兵士A

「そうなんだよ……うまいことやったよなアイツ」


兵士B

「くっそ~…交代の時にあいつの甲冑にスライム塗ってやろ」


兵士A

「それぐらいは許される狼藉」


兵士B

「こうなったら俺らも相手みつけないとな…いつまでも門兵じゃぁなぁ…」


兵士A

「だよなぁ…夜中に訪ねてきた者に「夜が明けてからまた出直されよ」しかセリフないもんな」


兵士B

「そうなんだよなぁ…門兵がめっちゃ強いゲームもあるけどなぁ」


兵士A

「あるある……わかった、こうやって見張ってる間にここで鍛えればいいんじゃないか?」


兵士B

「圧倒的妙案だわ天才すぎる」


兵士A

「まぁ明日からだな、気分的に」


兵士B

「だな、今日は何か違うよな」


兵士A

「今日じゃないな」


兵士B

「気分が乗ったらに決まってるんだよそういうのは」


兵士A

「だな……あ、ニシタニのやつだ」


兵士B

「あ、ほんとだ……くっ…なんて笑顔で手を振ってきやがるっ」


兵士A

「ぐぬぬっ…げせん」


兵士B

「ぐぬぬっていうやつ初めて見た」


兵士A

「爽やかになりやがって俺たちのベニフジさんを」


兵士B

「まったく……でもまぁ絶対尻に敷かれるタイプだよなニシタニって」


兵士A

「それは間違いな」


兵士B

「それって……本当に幸せなのかな」


兵士A

「……確かに…人生の執着点。ゴールともいえるものがそれでいいのかと思うな」


兵士B

「俺達勝ってんじゃね?」


兵士A

「勝ってるわ…勝ち取ったな俺ら」


兵士B

「あぁ…だから良い笑顔で手を振り返してやろうぜ」


兵士A

「あぁ……負け組になったアイツに敬意をこめて…」


兵士B

「………笑ってたな」


兵士A

「あぁ…いいやつだった」


兵士B

「俺たちの戦いはまだまだこれからだ」


兵士A

「暇と戦う先生の次回作にご期待ください」


兵士B

「打ち切りになってんじゃねぇか」


兵士A

「うん、だってもぅ夕方だもん」


兵士B

「いつの間に……いやぁお前といると時間すぎるの早いは」


兵士A

「いやほんまそれ」


兵士B

「また明日も頼むよ」


兵士A

「いや俺明日から城壁警護担当だから」


兵士B

「出世してんじゃねぇかどうなってんだ」






続く

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