第3話 子猫との別れ

ある日、まるは大きな家を覗いてた。

子猫のにおいがしました。


ニンゲンに見つからないように、庭に潜入するとベランダの大きな窓がありました。


「あ、わたしの子猫。」

まるはタッタッタと駆け寄り、ガラスを爪でカリカリしたけど、子猫には触れません。

小さな子猫は大きくなっていました。



「会いたかったよ、どうしてこんな所にいるの?」

まるは聞いたけれど、大きくなった子猫は

珍しいものでも見るようにまるを見ました。


まるは、ハッとしました。

子猫には首輪が付いていました。

「わたしの子猫は家猫になっちゃったんだ。

わたしの事は忘れてしまったんだね。

やせっぽちだったのに、あんなに足も太くなってる。毛並みもきれいだね。

ニンゲンがきた。スリスリと甘えてる。

幸せなんだね。」


まるはその日から子猫さがしは辞めにしました。


「まるちゃん、悲しいことがあったみたいね。

おばあちゃんもね、子供を亡くしたのよ。

まるちゃん、離れていてもね。

ここにね、いるのよ。」

おばあちゃんは、胸を両手でおさえて、そう言いました。


「おばあちゃんには、何でもわかっちゃう。

おばあちゃんは猫又なのかな。

あの子のことは、まるもここにしまっておこう。」


今日のご飯は

おかかご飯と鶏肉。

おばあちゃん、いただきまーす。


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