第2話 名付け親
まるの名前はおばあちゃんがつけてくれたのでした。
半年くらい、子猫を探しては疲れておばあちゃんちにご飯をおよばれに行っていました。
「あのね、今日はね、贈り物があるのよ。
コレよ。」
それは、柿色の首輪でした。
まるは、びっくりしました。
「これは、家猫が付けてるやつだ。
まさか、おばあちゃん、私を家猫にするつもりなの?
私には子猫がいるの、やめてーー!」
まるは尻尾を立てて膨らませました。
うなり声もあげました。
「あらあら、勘違いよ。
あなたを守るためよ。これを付けてると
怖い目に合わないのよ。
嫌だろうけど、おばあちゃん、心配なのよ。」
まるはおばあちゃんの優しい顔を見つけた。
しわしわの小さな手でそっと撫でてくれる。
「おばあちゃんの言ってることがわかった。
なんで?ニンゲンなのに?
心配してくれてるんだね。そっか、家猫はこれがお守りだったんだ。
じゃあ、お願いしちゃおうかな。」
まるは慣れないけど、踏ん張って首輪を付けて貰らいました。
首輪の真ん中には「まる」と書いてあるプレートがぶら下がっていました。
「これね、あなたの名前よ。
まるちゃん。まあるい大きな目。だからね、
まるちゃん。どうかしら?」
「おばあちゃん、ありがとう。
まる、まる。わたしの名前。
初めてだなぁ。照れちゃう。にゃお。」
あとから、わかったんだけど、おばあちゃんは
おじいちゃんを亡くしてから、ひとりで暮らしていました。
年金暮らしだったから、この柿色の首輪は
おばあちゃんが奮発して買ってくれたのでした。
おばあちゃん、無理させちゃった。
でもね、嬉しかった。
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