第12話 自転車3

 身の丈に合わない自転車での初出勤。

 身の丈合わんでも、やっぱり新品の自転車での出勤て心弾むんです。

 意気揚々と出勤ですよ。

 まあ、信号待ちの度に降りるんですがね……それでもヨタヨタしつつ会社に到着したんです。

 ウチの会社ね。敷地内に入る時に自動改札機があるんですよ。

 というわけで一旦、自転車降りて改札を通らないといかんわけです。他の自転車通勤の方もいらっしゃるんで流れに沿って、こう……スゥッとね、降りなきゃなんです。

 なのでペダルから右足を離して車体を跨ごうとしたんです。

 が……いつもより車体が高いせいで足が引っかかっちゃったんですよ。

 足ひっかかったまま降りることも出来ず、止まることも出来ずに……


「嫌ぁあああああああああ!!!」


 って叫びながら、そのまま改札機に突っ込みました。


 いやあ。怒られましたねぇ。ワザとじゃなかったんですけど。


「君ね。いい歳して悪ふざけが過ぎるよ!」


「いや……ワザとじゃないです。足ひっかかって……」


「いやいや……あんな自転車の曲乗りで叫びながら気合い入れて突っ込んで来といて、そんな話は通らないよ!」


 つーわけでね。守衛の方に怒られたんですわ。

 お前ワザと突っ込んだやろって。プロジェクトAのジャッキーみたく「やあーーー!」て突っ込んできたやろ! ってね。「嫌ぁああああ!」だったんですけどね。


 まあ、上司も来てくれてね。「そんなヤツじゃないです」て説明してくれて誤解は解けたんですけど……


 まあ私ね。度々、ワケ分からんトラブル起こして会社に迷惑かけるんでねぇ……。勤務態度は非常に真面目なんですが……トラブルメーカーなんですよ。社員証落とすし…間違えて人のスマホも持って帰るし…


 ダメ人間なんですよぉ……ちゃんとした…ちゃんとした人間になりたいです。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る