第2話 ボソボソ喋るな!聞き取れないぞ!

 初めて行く美容院にて……




キレイな女性美容師さんだ。き、緊張してしまう……


 オレ「あ。ど、どうもー……予約したナカナカですけどー……」


 美容師「あ、こんにちはー。こちらへどうぞー」



 オレ「あ、はい……」



 美容師「今日はどうされますかー?」



 オレ「えーっと……パイレーツ・オブ・カリビアンのあの人……あの人みたく……」



 美容師「え? パイ? パイレーツ? え?」



 オレ「え? えーと……ホラ、ジョニー・デップが出てる……」



 美容師「あー……ジョニー・デップみたいな感じってこと……ですか?」



 オレ「いや、オーランド・ブルームの方で」



 美容師「え? オーランド? え?」



 オレ「あ、いや……すいません。普通に短くして下さい」



 美容師「え? でも、オーランド……え?」



 オレ「あ、いや、すいません。いいです。オーランドいいです。伸びたんで短く整えて下さい、すいません……」



 美容師「はあ……」



 オレ「すいません……すいません」




 ────────




 美容師「お客様、こちら初めてですよねー?」



 オレ「はい? あー……はい」



 美容師「どなたかの紹介ですかー?」



 オレ「いや……誰ってわけじゃないんですけど……あ、うん……風の噂です」



 美容師「え? なんですか?」



 オレ「え? あの……か、風のうわさ……です」



 美容師「え? 風ですか? 風が、え? なんです?」



 オレ「いや、だから……風のうわ……あ……うん、いいです! なんでもないです! すいません。すいません」



 美容師「はあ……」



 オレ「すいません……」




 ────────




 オレ「イタタタタ!」



 美容師「あ! すいません! 痛かったですか?」



 オレ「え? あー、違います」



 美容師「え?」



 オレ「いや、あの……こっちの話しなんで……大丈夫です、すいません」



 美容師「え? えーっと……」



 オレ「いや! あの……だい、大丈夫です。ホント大丈夫ですから、すいません」



 美容師「は、はあ……」



 オレ「…………」



 美容師「…………」



 オレ「あの……今のですね」



 美容師「はい?」



 オレ「今の……その……足組んだ時に、そのぉ……挟んじゃいまして……」



 美容師「え? なにをですか?」



 オレ「え?」



 美容師「え?」



 オレ「いや……あの……だから……そ、あ……の……きん、きんた……ま」



 美容師「え?」



 オレ「いや! あの! ちが……違うんです! そんなつもりじゃないんです! 聞かれたから……その……すいません! ホントすいません! きんた○じゃ、別にセクハラじゃ、すいません!」



 美容師「は、はぁ……」



 オレ「すいません、すいません……」




 ────────




 美容師「はい、じゃあシャンプー台の方へお願いしまーす」



 オレ「あ、終わりました?」



 美容師「はい」



 オレ「あ、そうすか。じゃあ、シャンプーいいです」



 美容師「え?」



 オレ「え?」



 美容師「えっと……」



 オレ「いや……シャンプーしなきゃダメですか? 払ってもらったんでいいんですけ……ど……」



 美容師「はあ……」



 オレ「します!」



 美容師「はい?」



 オレ「します、シャンプー。その方が……その……いい気がします」



 美容師「いや……別に無理にしなくてもいいですけど……」



 オレ「あ、そうですか? じゃあ、やっぱ、いいです。お会計お願いします」



 美容師「はぁ……」



 オレ「す、すいません……」




 ────────




 美容師「えっと、カットのみで3980円になります」



 オレ「はい。えーと……さんぜんと……きゅうひゃくぅ……」




 ジャラバラバラー




 オレ「あー! 落ちたー!」



 美容師「あ、大丈夫ですか?」



 オレ「あ、いや、あの……いいです! 拾わなくていいです! 大丈夫です! すいません! 代金ここに置いときます!」



 美容師「あ! オツリ!」



 オレ「い、いいでふ! もういいんです! オツリすいません!」



 美容師「え? でも……オツリ」



 オレ「う、うわーん!」






 怖かったなぁ……行ったことない美容院……


 みんなどうしてるんですか?

 いや……正味の話ね皆さん。私……超絶人見知り激しいんですよ。

 にも関わらず、父親がコミュニケーションモンスターであるがゆえに……

 

「ああ~……は、話しかけなきゃ……」

 

 という義務感に襲われこうなってしまうわけです。

 長くなって来ちゃったんで、詳しい話はまたいつか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る