第3話

「どうする?寝朝の後始末」

寝朝の元所属事務所(ムーンライト)の常務

取締役、月明(つきあかり)蔑(さげすみ)は

いてもたってもいられなかった。

 何しろ今まで寝朝にかけていた莫大な

育成金が弱小事務所のムーンライトには

激烈な痛手なのだ。

「寝朝に回収させましょう」

マネージャーの三ケ島(みかじま)始(はじまる)が

ソファーに座りながら、両手を組んで話した。

「どうやって?移籍金だけじゃとてもじゃないが

たりないんだぞ。新聞の集金でもさせるか」

「タトゥー産業に寝朝を転売しましょう」

始の目がギラリと光った。

「始、しかし、あそこは」

「この際、寝朝の命などどうでもいいでしょう。

わが事務所の安泰こそが最優先です」

「そうだな、やむおえまい」

蔑が肩を落とした。

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