第18話 ほうぼう捜索中
Aランクになって良かったのは情報の量が段違いに上がる事だ。
その場で分からない事でもギルドが調べてくれる。
ギルドは良い意味でも悪い意味でも利己的なんで、俺がギルドにとって利益を与える側である限りは、非常に協力的だ。
色々気になる事を片っ端から調べてもらった。
少し時間を貰えれば全部調べておくと言われたので、待っておこう。
めっちゃ代金取られたから、払った分の情報は期待しておこう。
工房に戻ると、ゴーレムの修理がほとんど終わってた。
「赤いなぁ」
『ヒヒイロカネたっぷり使ってるからね』
「これって頭にツノ付けちゃだめか?」
『ツノ付けてどうするのよ?』
「え、指揮官っぽくて良いじゃん」
『それに何の意味があるのよ』
「コイツが踏み台にされた時に相手が足引っ掛けて転ぶかもしれないじゃん」
『踏み台にされてたら、確実に負けてるから意味ないわよ』
「えー付けてくれってー」
『もう!どんなツノ付けたいの?』
「こう、オデコの辺りから上にピッとな、ちょっと斜めにして」
『物理武器としては、全く使えそうにないわね…取り外してナイフとして使う?
うーん、無理があるか…ここに雷属性の増幅装置付けるから、死ぬ気で雷属性覚えて』
「え?炎じゃなくて?」
『ヒヒイロカネ使ってるから、これ以上炎を強化しても無駄なの、雷なら汎用性高いしヨーヨーにも手が加えられるから、覚えて』
「ん、分かった」
『あと、ツノに利用したいからユニコーン狩ってきて』
「ダンジョンに居るのか?」
「山の方に放置されてるダンジョンがあるんですけど、そこの50階に居ますよ」
ポアンが教えてくれる。
「なんで放置されてるんだ?」
「1階から49階までウィルオーウィプスしか出ないからです」
「それってどんなモンスターなんだ?」
「体当たりして感電させるモンスターですね。
ドロップ無し、魔石無しなんで人気無いんです。
ギルドも儲からないから、管理放棄してます」
「感電したくないなぁ」
『絶縁装備のレシピポアンに教えるから、作ってもらって』
「おお!それならいけそうだな!」
ー2日後ー
絶縁装備が出来た。
俺はその間、火属性と雷属性の習得に専念してた。
火はなんとかなったが、雷がまだだ。
「んじゃ行ってくるわ」
「あ!ダンジョンに入る前に冒険者ギルドで申請出しておかないとうるさいですよ」
「そうなんだ、めんどくせーなぁ」
しょうがないから、ギルドに行く。
「山のダンジョンでユニコーンいる所入ってくるわ」
「あ、それならちょっと待ってください!」
そう言うと受付の女の人が、そそくさと席を外した。
「ユニコーンのツノを求めて居る方がいて、皆さん行きたがらないですから、ずっと残ってた案件でして」
「俺もツノ欲しくて行くんだけど」
「その時にもう一頭狩っていただくとありがたいんですが」
「ユニコーンって男だったら逃げるとか、女だったら懐くとかないの?」
「そういった話は聞いた事無いですね」
こっちの世界のユニコーンは男女差別しないらしい。
「うーん、ま、分かったわ、狩れたら狩るで良いか?」
「はいそれで構いません、あと、こちらも出来ればなんですが」
「まだあんの?」
「はい、すいません、何せあのダンジョンにはいる人滅多に居ないもので、ウィオーウィプスの駆除をお願い出来ますか?」
「体当たりしてくるんだろ?駆除も何もないじゃないか」
「はい、その中に体当たりしてこない個体がいるはずです。
それがその集団の女王的存在で、それを倒すとしばらく増える量も減りまして」
「ふーん、でも何も残さないんだろ?
倒した証拠ないじゃないか?」
「あ、女王的なのは黄色い魔石に似た属性石というのを落としますので、それを証拠として持って来て頂ければ大丈夫です」
「分かった、そっちも出来るだけな」
「はい、それで構いません」
「んじゃ、行ってくるわ」
ーダンジョンー
「うわぁ」
思わず声が漏れた。
誰も来てないだけあってそこら中ウィルオーウィスプだらけだった。
俺の格好は完全に全身ラバースーツを来た変態ルック。
目以外は黒いゴムを身に纏ってる感じだ。
絶縁体って聞いた時からそうかなぁって思ってたけど、やっぱりそうだった。
実際はこれはモンスターの皮を加工したモノでゴムではないらしい。
覚悟を決めてダンジョンに突入する。
そこら中からウィルオーウィスプが体当たりして来てずっとバチバチ、バチバチいってる。
そんな中でウロウロして体当たりしてこない奴を見つけたのでパンチして倒す。
1階で1匹づつ倒せば充分だろう。
1匹倒したら下、1匹倒したら下って降りて行った。
50階まで降りて来た。
「群れでいるじゃん…」
ユニコーンって群れ作るんだな。
ちょっと高台みたいな所に俺はいる。
そして眼下にユニコーンが見えているんだが、8頭いる。
多すぎじゃね?
もう少しすくないの探そう、そうしよう。
「でっか…」
良い感じで2頭のやつ見つけたんだが、馬のサイズじゃない。
ゾウとかキリンのサイズなんだが、いやもっとデカいか。
スライムの時使ってすっかり気に入ったハンマー2本を両手に持って、高台から飛び降りる。
覚えたての炎付与をハンマーに付けて、不意打ちで比較的小さい方をぶっ叩く。
しゃー!不意打ち成功!まだ生きてるが瀕死の状態でスタンしている。
デカい奴と戦う時は脚を狙うのが定石。
相手が状況を把握してない今のうちに脚をへし折る。
割と順調に倒せたので、さっさと帰って、デカい方を工房、小さい方をギルドにって思ったら、デカ過ぎるってことになって、小さい方を工房に置くことにした。
属性石も何かに使えそうなので、照明でギルドに見せたあと全部工房に持ってくる。
「なぁ?これ使って機動力3倍に出来ないか?」
『流石に3倍は無理よ、んーできるだけ早くなるようにしてみるわ』
「多少装甲薄くなっても良いから、早くしてくれ」
『分かったわ、やってみる』
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