第17話 バリバリ試験中
ゴーレムが思った以上にボロボロだった。
マリーがポアンの工房でゴーレムの修理という名目で魔改造を始める。
と言っても、マリーは指示しか出来ないので、主にポアンが作業する。
側から見たら、ポアンが魔改造してるように見えるな。
俺はその間教えて貰った火属性の魔法が使えるように練習していた。
あとはたまに必要な材料をダンジョンに取りに行ったりもしている。
『レッドドラゴンの鱗が欲しいわ』
「ダンジョンにいるのか?」
「50階より下なら居ますよ」
「んじゃ取って来るわぁ」
こんな感じで取ってきて、余った分を鍛治師の親父に売る。
それで買いきれない分は冒険者ギルドに買い取ってもらう。
こんな事をしてたら何故か冒険者のランクが上がってた。
「Cランクの試験があるので受けてください」
「C…ランク?」
「はい、Dランクまでは納品されている実績だけで上がれますが、Cランクには試験がありますので」
「それって、Cランクに上がらないならしなくて良いよな?」
「そうですけど、そんな人いません!」
「なぜ?」
「依頼の基礎報酬と買取額が変わるからです」
「え!たくさん貰えるの?」
「はい、2割ほど上がりますよ」
「OK受ける!」
「はい、じゃあ明日、朝の鐘が鳴る前にダンジョン前に集合してください」
「分かった」
ー翌朝ー
「よーし、集まったな」
頭の禿げたいかついおっさんが全員を見回してる。
ダンジョンの前に集まった人数は全部で40人くらいかな。
思ってたより数居るな、Cって簡単になれるのか?
「はーい、じゃあ今日試験受けるやつは、全員装備外してー」
ん?
「各自に1人づつ護衛つくから無理だった戻ってくるように!
装備なしで何回まで降りて戻ってくるかが試験だ!
合格ラインはあえて言わないから、行けるギリギリまで行ってこい!
自分のギリギリを把握できてるかも試験内容だからな。
あと、今日中に戻ってこいよ!
じゃあ、行ってこい!」
「Aランク冒険者のアイシャよ、よろしくね」
俺についたのは真っ赤なビキニアーマーを着たポニーテールの女の戦士だ。
「お!よろしく」
「ちょ、ちょっと待って、Aランク冒険者のアイシャよ!よろしくね!」
なんか声が大きいなったな。
「え、うん、よろしく」
「あ、うぅん!Aランク冒険者のアイシャよぉぉぉ!」
めちゃくちゃデカい声で言ってきた。
「おお!よろしくなぁぁ!」
同じくらいの声で返事しといた。
「ちょっと!Aランク冒険者なのよ!」
「うん、それは聞いたって」
「凄いですとか、尊敬してますとか、全財産差し上げますとか、奴隷にしてくださいとかなんか反応あるでしょ!」
後ろ2つはやってる事が山賊と一緒じゃねぇか。
「ない!それより早くダンジョン行こうぜ、他のやつは皆んな行ったぞ」
「分かったわよ!ムカつく!」
顔真っ赤にしてるが、なんだこいつ?
「ほら、行くぞ、足引っ張るなよ」
「な!あなた!誰に向かって言ってんのよ!」
こいつうるさいなぁ、もういいや無視してダンジョン行こ。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!一緒に行かないと意味ないのよ!」
「だから、足引っ張るなッて行っただろ」
「私はぁ!Aランクなんだぞ!凄いんだぞ!」
とにかく深く潜ればいいんだったな、最短距離で下に降りてこう。
「待って!横からゴブリ…」
とりあえず、ぶん殴ってそのまま直進!
「正面にオーク!」
蹴っ飛ばして直進!
「ほら!ホブゴブ…」
ぶん投げて直進!
「えっと、ゴブリンの群れが…」
構わず直進!
「あのー、ここもう15階なんだけど…」
気にせず直進!
「え、20階?え!ちょっと待って!ボスよ!この先ボス居るのよ!装備なしで何するつもり?」
ヒヒイロカネスライム、死ぬほど倒したからあり得ないくらい経験値入ったようなんだよな。
今の俺なら素手でもいけるだろ。
「…嘘でしょ…なんで倒せるのよ」
ひゃっはー、このあとほぼモンスター居ないゾーンだからな!
ダッシュだ!ダッシュ!
「ちょっと待ってよー、置いてかないでー」
「だから足引っ張んなって言っただろう!」
「待って!待ってって!もう降りなくていいから!」
「限界まで降りろって言ってたじゃん」
「誰がソロでこんな所まで降りるなんて思ってるのよ!」
「なんだ、Cランクじゃ無理なのか?」
「あのね、Cランクの試験はね、自分たちが強いって勘違いするタイミングだから、その鼻を折るための試験なの!
調子に乗って無謀な事させないために、ダンジョンは装備なしだったら、こんなに怖い場所なんだぞって分からせるの!」
「そうなんだ」
「ソロで素手で20階の階層ボス倒すなんて私だって無理よ、あなたに分からせる事なんて何も無いわ」
「そっかぁ、じゃあ帰るかぁ」
無事試験に合格した。
何故かAランクになってた。
うーーーん、ま、高いに越した事ないか!
【後書き】
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