第8話 ようやく合流中
ダンジョン行く前に、奴隷商人の所に行かないとならない。
「おう、邪魔するぜ」
「お前みたいのが来る場所じゃないぞ、それとも自分から奴隷になりに来たのか?」
「うるせい、戦場這いずりまわって漁って来るだけの虫けらがほざくんじゃねぇよ」
「…お前、戦場帰りか?」
「なんだ、真っ当な方の商人か」
これで、ブチギレるようなら、現場を知らない商人だ。
良いか悪いかは別にして俺とは合わない。
こいつは、相手を見れる商人だ。
「獣人拾ったんだ、奴隷の首輪付けてくれ」
「金貨1枚」
「たっけーな」
「まけて欲しいか?」
「いらねーよ」
俺は山賊の袋から金貨1枚を出す。
「自分で稼いだ金じゃないから、気軽に散財出来るだろ」
「どういう意味だ?」
「東の山で一悶着あったらしい、賊がひとつ壊滅したらしい、その賊は珍しい獣人を捕らえたんで高く売れねぇかと俺たちの界隈で買い手探してた奴らだ」
メイの方に視線を向けながらそんな話をした。
「ふーん、で?だったらどうする」
「別に、俺は元々買うつもりは無かったからな、何も思わんよ、俺はな…」
「情報を流すのか?」
「お前、ここまで堂々とその子連れ歩いて来ただろ、今更流すも流さないもねぇよ」
それもそっか、とっくにこの子買うつもりだった所にはバレてるな。
「情報ありがとうな、それとなく警戒しておくよ」
「ありがたく思うならウチの店で金使え、俺の傘下には色々な店がある」
そう言って、何やら木札を投げてよこした。
「そうか、分かった」
俺は奴隷商を後にしてダンジョンに向かう事にした。
ーside奴隷商ー
「どうでしたか?」
物陰から地味な感じの男が現れる。
「神経は図太そうだな、それとバカではない、しばらく監視しておいてくれ」
「かしこまりました」
この街一体を牛耳って居る『バハシャーク商会』、その会頭であるバハシャークの耳に変わったものがいると報告が入った。
地面からせり出してきた小型のゴーレムを操る男。
金の匂いがプンプンする。
実際にあってみたが、どうにも底が見えない。
簡単に力で屈する様では無い事だけは確信した。
バハシャークは、この男をしばらく観察する事にした。
ーダンジョン入り口ー
ダンジョンまで来て最初に思ったのは神社とその参道に並ぶ屋台。
まさにこれだった。
ダンジョンまで続く道に色んな店がずらっと並んでいる。
そのほとんどが露店だが、中には移動式のお店を展開してる所もあった。
興味は尽きないが、今はスルーしてダンジョンの入り口近くの建物まで来る。
左右に似た様な建物が建っており、左が受付、右に買取と看板が立っている。
ギルドの出張所だ。
「邪魔するよ、ギルドマスターにドワーフ紹介してもらったもんだけど、わかる人居るかい?」
「あぁ、ショウさんだね聞いてるよ、今呼んでくるからそっちに座って待っててくれ」
カウンター越しに座っていた男がそう言ってイスをすすめてくれたんで、大人しく座って待っていた。
少し待って居ると、子供らしき人と一緒にさっきの男がやってきた。
「紹介しよう、ドワーフのポアンさんだ」
「え?ドワーフって髭もじゃなんじゃ無いの?」
俺の目の前には、引き締まった身体をして居るが、髭がまったく無く髪を三つ編みにまとめた女の子が立っていた。
「やだなぁ、お婆ちゃんとかは今でも髭生やしてるけど、若いドワーフの女で髭生やしている人なんて今時居ないですよ」
「え!そうなの?」
「だって、男に間違われるとか嫌じゃ無いです?古い人はいまだに昔の風習で剃らないけど、私くらいの世代はみんな剃ってますよ」
なるほど、世代で価値観変わるもんだもんな。
他の種族相手でも、男に間違われるの嫌ってのは分からんでも無い。
そのうち永久脱毛とか流行るんじゃないだろうか。
「なんかごめんな、あんまりそういう事情に詳しくなくて、俺はショウってんだ。
ギルドマスターに紹介されてパーティ組めって言われた」
「改めましてポアンです!よろしくお願いします!」
握手を交わして
「早速ダンジョン行こうか!」
と、誘ってみた。
「え!手ぶらで行くんですか?」
「ちょっと覗くだけだし、なんも用意してないしな」
「は、はぁ…まぁ、ちょっと覗くだけなら…
「ポアン〜やきゅ…じゃないやダンジョン探索しよーぜー」
「え、あ、はい」
あ、これ前世の知識だったわ。
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