第7話 こってり説教中

「お前は一体何がしたいんだ!」


「え?ダンジョン潜って金稼ぎと、火と風と雷の属性覚えるのと、MP増やしたいな」


「お前ダンジョンに1人で潜るつもりか?」


「ん?1人で潜っちゃダメなのか?」


「ダメじゃねぇが、ダンジョンの中はな、魔法が効かねぇ奴も入れば剣が効かねぇ奴もいる、集団で襲ってくる奴や闇に紛れる奴もいる。

 そういう様々な特性がある奴がゴロゴロしてる場所で全部1人でこなすのは無理があるだろ」


「まぁ、そうかもしれねぇが、さっき派手に啖呵きっち待ったしなぁ。

 あれだけ派手にやったら誰も仲間に入れてくれねぇだろ」


「そこまで分かってるならやんなや!」


「しょうがねぇだろ、冒険者って舐められたら終わりなんだろ?

 そう聞いたぞ」


「いや、まぁ、そりゃそうだがよ…やり過ぎだろう」


「俺も穏便に済ませるつもりだったんだけどなぁ、右の頬を殴られたら相手の心臓抉り取れって、格言無かったっけ?」


「ねぇよ!そんな格言、で、実際どこまで戦える?」

 そう言いながらギルドマスターは俺の登録カードを渡してきた。


 名前 ショウ

 年齢 25

 職業 ゴーレム乗り

 レベル 15

 HP 200

 MP 25


 この世界じゃ詳細なステータスは教会で高い金払わないと分からない。

 ギルドでわかるのはここまでだ。


「武器使って良いなら、オーガはなんとかなると思うぞ」


「なら、レベル相応の戦士と同じくらいか」


「そりゃ、兵士で鍛えられたしな、それなりにモンスターも倒してる」

 主に陥落時にゴーレム使ってだけどな!


 思ってたよりレベル高いのもゴブリン殲滅したせいだろうし。


 でも、まぁ、オーガに負ける気しないな。


「しかし、お前ゴーレム乗りのくせにMP低いな」


「言うな!気にしてるんだから!」


「それと、その獣人はポーターにするのか?」

 やべ、忘れてた。


「違う違う、くる途中で山賊から助けたんだけど、衛兵に預けようとしたら、冒険者ギルドに持っていけ言われたんだよ」


「じゃあ、こっちで奴隷として売れば良いのか?」

「あぁ、よろしく…」

 あれ?めちゃくちゃしがみ付かれてる。


「お前と一緒に居たいみたいだぞ」

「えー困ったな、獣人の子供とか絶対役に立たないだろう」


「ポーターに使えば良いんじゃないか?

 獣人だし、普通の人間よりかは力あるぞ」


「お前、俺のとこに居たいのか?」

 メイに聞いてみた。


 めっちゃ頷いてる。

 しゃーねーな。


「こいつと居るのになんか登録しておいた方が良いか?」

「そうだな、奴隷登録しておかないと、盗まれても文句言えないな」

 奴隷かー、それが嫌だったんだよな。

 前世の価値観が足引っ張って。

 でも、しょうがねぇよな。


「そっかー後で登録してくるわ」


「それはそれで良いとして、ダンジョンに潜るのはどうする?」

「どうするも何も、俺と組む奴いねぇだろ」


「1人心当たりがある、そいつと組まねぇか?」


「んー、そうなると先に言ってねぇとならねぇ事があるんだよな」

「なんだ?」


「マリー」

 俺の懐から小さい妖精状態のマリーが現れる。


「じ、人工精霊か…いや、お前の趣味とやかく言うつもりはないけどよ」

 引いてんじゃねぇか!


 でも、仕方がない、人工精霊は小さい女の子のオママゴトか、特殊性癖な人の御用達品ってのが一般常識だ。


「こいつは俺の乗ってるゴーレムに搭載されてる人工知能の端末だ」


「なんだお前ゴーレム持ってるのか!」

「持ってるぞ」


「あのMPで?」

 マリーが腹抱えて笑ってる。


「うるせえよ、あのMPだから、稼働時間少ないからあんまり使えないんだよ!」


「どっちにしろゴーレムをダンジョンで動かすのは難しいぞ」


「俺のは小さいから入れる」


「ん?小さいってドンキーゴーレムなのか?」


「いや、戦闘用の最新鋭の試作期だぞ、実験機だから小さいんだ」


「そんなゴーレム見た事も聞いた事も無いけどあるって言うんだからあるんだろうな、で、それはどこに置いてあるんだ?」


「あぁ異空庫に入れてあるぞ」


「嘘つけぇ!お前のMPじゃせいぜい人ひとり分が限界だろう」

 正確に見抜いてきやがった。


「ゴーレムにそういう機能付いてるんだよ」


「はー、最新鋭ってのは本当らしいな!そういう機能付いてるゴーレムなんか見た事ないぞ、ちょっと見せてくれねぇか?」

 仕事半分、好奇心半分って感じだな。

 いや、好奇心7割だな、これは。


「いいぞ、ここで出すか?」


「いやいや、床抜けるだろう、訓練場に行くぞ」


 ー訓練場ー

「こーい!ゴーレーーーーーム!」

 魔法陣が現れ、俺の背後からゴーレムが競り上がってくる。


「ひゃーすげーな!

 思ってたより小さいな、これなら大柄の人間が甲冑着てるって言ったら、ギリギリ信じるかもな」


「もう良いだろ、さっさとダンジョン行きたいんだけど」

 ゴーレムを異空庫にしまいながらギルドマスターを急かす。


「あぁ分かった、今から伝言向かわせるから、ダンジョンの入り口で合流してくれ」

「どんな奴が来るんだ?」


「あぁ、ドワーフだ、入り口にもギルドの出張所あるから行けばわかる様にしておく」

「ん、分かった、じゃあダンジョン行ってくるわ」

 やっとダンジョンデビューだ!

 気合い入れて稼がなくちゃな!

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