第4話 なんだか越境中
マリーに言われるままに山の奥の林の中を進んでいく。
『あれよ』
え!おい!ちょっ待てよ!
オーガじゃねぇか!
「あれは無理だろう」
『何いってるの!あれくらい倒さないといつまで経ってもゴーレム動かせないでしょ!』
「えー、いやー、えー、普通はゴブリンの次はオークとかホブゴブリンだろう、強さいきなりすっ飛ばしすぎだろう」
『つべこべ言わない、ほら!ヨーヨー持って!』
空間からデカいフリスビーを2つ合わせたようなものが現れた。
「あれ?紐ついてるんだ、俺が酔っ払って話したなら、ここは紐じゃなくて雷で繋がるって言ってなかったか?」
『それ言われたけど無理よ、目的に向かって当たったら戻ってくるくらいなら出来るけど、それならそもそも雷で繋ぐ必要ないわ、あなたが言ったように自在に操るなら有線に雷纏わせないと出来ないわよ』
「これって、自在に動かせるのか?」
『そうしろって言ったじゃない、大回転して相手の飛び道具防げるようにしろとか、かなり苦労したんだから絶対使ってよね』
「コマは言ってなかったか?」
『言ってたけど、それはもう意味がわからないわ、円錐状のものを紐で巻いてそれを飛ばしてどうやって攻撃になるの?それならボウガン取り付ける方がましじゃない?』
「ごもっともです」
『ヨーヨーだって、言ってる事を実現するのに凄い苦労したのよ』
「ははぁありがたき幸せ、で、このヨーヨーの性能ってどうなんだ?」
『元々ゴーレム用の武器兼盾よ、オーガくらいイチコロよ、2つの…』
「はいはい、何でも出来るの証拠なんだろ、分かった分かった、じゃあそれを信じて派手に行きますか!」
俺はそう言うとオーガの方にズカズカと歩いて行った。
ある程度視界が通ったところまで移動したところで
「超!でんきーーーー!ヨーーーヨーーー!」
と、思いっきり叫んで相手に投げつけた。
掴んでいた紐に魔力を通すとヨーヨーに雷が纏いフリスビー部分にノコギリの様な刃が出てきた。
しかも、適当に投げたのだが、俺が念じると急に起動が変わり狙っていた首に見事に命中する。
ババババババ!
感電して動けなくなったオーガの首を回転ノコギリの様に回る刃が切り裂いていく。
「ひゃーすげぇな!」
相手を倒して戻ってきたらヨーヨーをキャッチする。
そしてそのまま異空庫にしまいオーガを解体して魔石を取り出す。
前回と違って、肉体が跡形もなく消え去るという事も無かったので、ちゃんと取り出さないとならない。
牙は売れると知っていたので確保したが、他は何処が売れるかわからないので諦めた。
『いちいち大声出す必要無いし、そんな技名つけた覚えも無いんだけど』
「すまない!だが仕方がないんだ!男として叫ばなどと出来ようか!いや出来ない!」
『あなたの男論は尊重してあげたいけど、あなたに叫び声聞いて他の魔物来てるわよ』
「しまったーこーめーの罠かー!」
『誰よコーメーって』
「あ、いや、俺もあんまり詳しくない。
罠を張る達人みたいな人」
『ふーん、優秀なシーフだったのね』
何やら大きな誤解をさせてしまったが、異世界だしまぁいいか。
「とりあえず、どっちから何が何匹だ?」
『オーガより反応が小さいけど早いから4足の獣型だと思うわ、それが3匹よ』
「それくらいなら余裕だろ」
『早いわよ』
「超!『だからそれ辞めてって!』」
「わかったよーロマン成分足りなくなりそうだ」
『ロマンが足りなくて死んだ人まだ見てないから大丈夫よ』
「俺が最初の1人目になるかもしれないじゃん」
『ハイハイ、ほら来たわよ』
「おっとヤバい!」
慌ててヨーヨーを近いて来た狼に投げつける。
そのヨーヨーを軽くジャンプしてかわす狼。
「ギャン!」
自在に動くのでそこまま真上に飛んだ狼の腹を裂いてやった。
残り2匹が怯まずに襲ってきた。
「うお!アブね!」
ヨーヨーを引き戻す時に1匹掠めて勢いを殺す。
残る1匹が噛みつこうとして大きな口を開けた所にヨーヨーをぶち込んだ。
そのまま刃を回転させ顔の上半分を引き裂いた。
その勢いのまま、まだ雷で痺れて動きの鈍いもう1匹にトドメを刺す。
「ヤバい、もうMP切れそうだ」
『早すぎない?』
「いや、ゴーレム乗ってた時にも使ってたし」
ここは、俺の名誉のためにも言い訳をさせてもらう!
狼から魔石を取り出す。
魔物なのは分かったけど、名前は知らない。
狼なんかどれも同じに見えるしな!
「これだけ有れば山賊退治くらい出来るんじゃないか?」
『そうね、いけると思うわ』
「武器はどうするんだ?殴るのか?あの最高な奴はダメだぞ、あれじゃあ山賊だけじゃなく何もかも消えて無くなるぞ」
『斧があるわ、パイロホークって名前で呼べば異空庫から取り出せるわよ』
「おー!斧か!」
『「俺はサーベルより斧派だからな!(でしょ)」』
『もう何回も聞いたわよ』
やべぇ、テンション上がってきた!
「よし!山賊のアジトに乗り込むぞ!」
『おー!』
山賊のアジトまでやってきた。
洞窟を利用したアジトだ。
『20人くらい居るわね、規模的には小寄りの中規模くらいかしら』
「見張りは居ないようだねぇ」
『油断してるんじゃないかしら?大都市で1番近い所は絶賛陥落中だし』
「こちらとしては、その方が大歓迎だけどな!」
そのまま、こっそりと入り口まで近づく。
うん、ゴーレムでも侵入出来そうなくらい広さはあるな。
「なぁ、ゴーレムはどうやって呼ぶんだ?」
『来る様に念じれば出てくるわ、デバイスである私を基準点にしてその周囲10m以内に出せるわよ』
なるほど、ならば!
「来ぉぉぉい!ガ…ゴーレェェェム」
危うく間違う所だった。
『だから!何で叫ぶの!相手気づいてこっちに来ちゃってるじゃない!』
「仕方がないだろう!オトコのロマンだ!漢と書いてオトコだ!」
俺は自分の真後ろに現れたゴーレムに慌てて乗り込…。
「ガァァ!なんで後ろにハッチあるんだよ!回り込まないと乗れねぇじゃねぇか!」
『あなたが自分の前に出せば済む話でしょう!なんで自分の真後ろに出すのよ!』
「その方がカッコいいだろ!」
『知らないわよ!バッカじゃないの!』
「あ!バカって言う方がバカなんだぞ!」
『いいから、早く乗り込んで!とっとと魔石出して!吸収するから!』
「あ、あぁ、うん、分かった」
最終的には頭が上がらないなぁ。
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