第41話
いやぁもう夕方かぁ。空が赤くて綺麗だなぁ。ダンジョンがない世界だった前世では人生に気力を持てなくて、景色なんて気にしたことはなかった。朝になれば憂鬱で、夜になれば明日になるのかと憂鬱になり、希望も目標もない空っぽな生活をしていた。
そう考えたらこうやって転生してきて良かったと思う。前世で一度は転生したいと願ったことがあるが、いつしか「記憶を持ったまま過去に戻りたい」という妄想になっていた。
転生しても不安要素は消えないし、何も知らない世界で生きていけるかわからないし、何より現代で生きていた俺が中世の生活なんて耐えられる気がしなかったしで、1番いいのは過去に戻ることでは?と思うようになった。
そんな妄想考えたところで何も意味は無いとは気付いていたけれども。
だがどうだ。こうやって前世と似た世界に転生して、世界を救って、自分を強くするという普遍の目標があって、前世では持てなかった希望を持つことができた。
誰が、何のために俺を転生させたのかは一切わからないが、俺は非常に感謝している。俺を転生させてくれた者に。
さてと、今日はもう帰って一旦昼寝でもするかなぁ。今日は疲れた。ようやく異世界から帰ってきたと思ったら、父親は勇者やってきたり、無駄に新しくできた姉妹に嫌われたり、迷惑系配信者に絡まれたり、どっかの知らない組織の剣聖に勝負を挑まれたり…
今日一日まだ終わってないのに盛り沢山なイベントありすぎだろって話よ。
まだまだイベントは終わってなかったりしてなぁ。そんなこともうないか!はっはっはっ!
はぁ………
今どう考えてもフラグ建てたよなぁ。余計なことしたなぁ。
今通り過ぎたのは人よけの結界だよなぁ。
はぁ………しかも仕掛けてきてる奴バレバレで草も生えないわぁ。
『ようこそ!僕の領域へ!僕は君を歓迎するよ!』
どこからともなくスピーカーから誰かの声が聞こえてくる。
「んで?君は誰で何の用?」
『君はせっかちだねぇ。もっと焦ってくれないと困るよぉ!まあいいや!教えてあげよう!僕はあの有名な暗殺者、黒部さ!目的は君を殺すことだよ!』
おん。自分で有名と言うほど三流臭いのは何だろうな?てかこいつの位置を把握している状態で向こうはこっちが知っていることを知らないで話していると滑稽で笑えてくるが、ここは我慢だ。
まぁ一応ファンネルを向かわせておくか。
「んで?なんで俺を殺すって?」
『そりゃそうさ!おそらくみんな気付いてないけどあの配信に映っていたやつってお前だろ?僕は現場を見ていたんだ。お前が入ってアイツが入って、そしてお前しか出てこなかったことを知っているんだ。そうなると、映っていたやつは自動的にお前になるんだよ?まぁ?もしお前じゃなくてももう僕のターゲットなんだから逃げられないんだけどねぇ?』
喋り方うっざ!ナルシスト系列のやつが喋っていそうな喋り方うっざ!
今度うざい喋り方する時使おうかな?
「喋り方うざいからどうして俺を殺すのか早く聞かせろや!」
『やはり君はせっかちだねぇ。今のを聞いて何となくわかるんじゃ無い?ん?』
うっざ
「質問すんな。はよ言えや!」
『もちろん君を殺せば暗殺者として裏の知名度が上がるじゃ無いか!あの動画のやつを殺した!ってなれば依頼も増えてウハウハ!ランキングも上がるしいいことだらけじゃあないか!』
「低俗だなぁ。」
『はっはっはっ!ここで君は死ぬんだ。何言っても無駄さ!命乞いでもしてくれれば僕の気持ちも変わるかもしれないぞ?』
「そんな無駄なことするわけないだろ。めんどくさい。」
『おやおやぁ?もう諦めるのかぁ?残念だなぁ。君の剣筋美しいと思っていたのになぁ。もし君が僕の下僕になるんだったら生かしておいてやるぞぉ?』
「はぁ…本当にそうなる可能性があると思って聞いているのか?そんな可能性皆無だってわかるだろ。」
『そうかぁ。残念だ。ああ、残念だ。こんなに近接最強の君を失うなんて日本は相当な損失だねぇ。君も未来が潰えるねぇ。ああ、残念だ。』
「少しもそんな気持ち持っていないくせに白々しいなぁ。あと喋り方ほんとうざいんだけどどうにかならないの?」
『君は剣術、僕は狙撃、戦いにすらならないのにどうするつもりなんだい?君に勝ち目はないだろうにねぇ。』
「てか逆に聞きたいけど狙撃程度で勝てると思っているのが浅はかと言うか何というか。」
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ダンジョンあったから、別のファンタジー持って特攻した。 @Relax_Sheep
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