第二章
第40話 とある姉妹の苦悩 Part.1
渓が去った後例の双子はと言うと、二人ともそれぞれ言動や行動に後悔していた。
理香は、
(な、何よ。なんで家族仲を取り持ってあげようとしたのにあそこまで言われないといけないのよ!…でも、確かに強く言いすぎたかもしれないわね。よくよく考えてみれば父親と息子としてみればちょっとからかいあっている仲良し親子の会話じゃないかしら…アイツの言動も馬鹿にしている感じじゃなくて揶揄っている感じだったわね。
あたしの考えすぎじゃないのよ。帰ってきたら謝らないとね。)
ちゃんと反省のできるいい子の考えをしていた。ツンデレ思考があるだけが難点だけどちゃんといい子なのだ。
ツンだけのやばい子ではないのだ。
そして水華は、
(お、お姉ちゃんのことを止めれずに関係が悪くなっちゃったかなぁ。でもでも、あれだけお姉ちゃんにズバッと言える人初めて見たなぁ。いつもお姉ちゃんが言い過ぎで色んな人に突っかかっていたけど今まで、無視されるかいきなり殴りかかられてお父さんに止めてもらうかだったけど、あれだけ言葉で行ってくる人は初めて見たなぁ。しかもそれをちゃんと聞いたお姉ちゃんが少し反省しているみたい…す、すごいなぁ。)
水華の方は自分が何も出来なかったことを後悔しつつ、あれだけズバッと言った渓に興味を示していた。水華は心の中では色々考えられるが、言葉や行動に出せない系のオドオドちゃんであった。
それぞれ思考を巡らせていると双子の父親が、
「気にすることはないよ。確かに理香ちゃんは言い過ぎだったけどアイツもちょっと言い過ぎだからおあいこだよ。でも確かに渓の言う通り僕たちは揶揄いあっているだけで、本気で馬鹿にしたり侮辱したりはしてないから安心してね?アイツは嫌なことは嫌と素直に言っちゃう奴だから時間が経てば気にしなくなるだろうから、二人は重く考えなくてもいいからね。」
父親らしく二人を諭しながら息子との仲もとりなそうとしていた。言うてハーレム勇者として戻ってきた彼が原因で起きた事件だから本当に悪いのはこの人なのである。
そりゃ誰だって自分の父親がハーレム築いたなんて聞かされたら揶揄うのは当たり前だと思う。
それを聞いた二人は、
「ええ、そうね。確かに言い過ぎだったと思うから戻ってきたらちゃんと謝罪するわ。確かに考えてみれば数年会ってなかった父親がハーレム築いて帰ってきたら何か言いたくなるものね。反省したわ。」
「ウグゥ………」
ちゃんと父親にダメージを与える理香と、
「…………うん。一緒に謝る。」
何もしなかったと反省している水華だった。
二人は宗平の行った異世界で口減しとして奴隷として売られたのだ。売られて、いろいろな所を転々と回されたが、奇跡的にずっと双子欠けずに生きていけていた。宗平の行った世界は王道のテンプレ異世界だったのだが、テンプレだからこそ奴隷売買が盛んだったのだ。
双子の奴隷は普通別々の道を辿ってしまい、永遠に会えなくなるのがその世界では普通になっていたのだが、この双子は引き取っていた人間全員が「双子の状態で欲しい」人だったため奇跡的に引き離されなかったのだ。
そしてその世界のとある貴族に引き取られていた時に邸宅に襲撃した宋平によって救出されたのだ。
双子から見たら宗平が救世主だったため、一目惚れで好きになったのだ。が、まぁまぁ年が離れていたため恋が叶うことがないのは二人とも心の中ではわかっていた。だから二人はだんだん宗平のことは親として見始めていて、いつの間にか親に対しての親愛が強くなっていたのだ。
同時に宗平も双子からの好意を気付いてはいたが同じく年齢が離れていたため、親としてこの子達を幸せにして見せよう、と考えていた。
そして双子はもう弱いのは嫌だと宗平に特訓して欲しいと言い始め、今では(異世界の)大人数人に囲まれても自分たちだけで切り抜けられる実力を持ったのである。
勇者と魔王に鍛えられたのだ、そりゃとんでもない力を持ったし、技術も獲得した。二人一緒にいればこの世界の上位冒険者相手でも余裕で倒せるレベルなのだ。が、勇者も魔王も同じ言葉が出るという。
「まだまだ弱い、ひよっこだ。」とね。
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