第36話

異世界で10年の時が経った。

と言っても10年経った容姿はしていない。何故かって?そりゃそうよ。異世界系あるある時が止まった空間で修行したのよ、うん。


と言っても結果そうなっただけで凄い博打をしたと言っておこう。この重力魔法、制度を上げれば上げる程性能が良くなると言うより、空間に作用するようになった。


これ以上重力を上げたらどうなるんだ!?って時に限界超えてみたらその場の空間がねじ曲がったのだ。見た目からしてグネってしててキモかったのを鮮明に覚えている。


そこから空間に干渉させるのを鍛え始めた。だがこれに関しては定義が全くと言っていいほど分からなかったため、手探りでやって時間をかけた。手っ取り早く出来そうな事をバシバシやったら空間がどうなるか分からなかったのだ。


いきなりねじ曲がって俺の身体が元に戻らなくなったり、なんかの作用でこの星が消えたり、変な場所に繋がったりしない為だ。


そう、このやり方は転移系列にも作用出来てしまうことがわかった。空間をねじ曲げる箇所を二箇所にして片方に要らないものを置いておくと、もう片方に変な形に変形して出てくるのだ。転移は現実的じゃないと実感したね。


だが俺はそれをまず研究した。時間をかけてようやく見つけた最初の発見は重力魔法である程度『何かを』コーティングしてやると安全に転移出来ることだった。

俺はその『何かを』未だに感覚でやっていて解明出来ていない。解明しようとしたが、これを解明してしまうとこの『何かを』俺は扱えなくなりそうだったからだ。


と言うよりと理解してしまいそうだったからやめた。無知でいればある程度の感覚で動かせるのだ。下手にイジるのをやめた。


そしてやたらめったらよく分からない場所に転移作用を起動させた。ある時は大量の水が押し寄せて来たり、いきなりその空間に引きずり込まれたり、一番ヤバかったのは何処かの異世界の魔王が乗り込んで来たことかな。流石にコイツを世に出すのは不味いと一人で奮闘して一週間くらいかけて消したのだ。


相当苦労したがその分戦闘の経験と技術を学べた。ある意味で師匠と言えるかもな。


嗚呼、話がズレたな。


そして辿り着いたのは、『時が止まった世界』だった。

最初は何もない、ただの草原だと思ったのだがよく見ると草が全く動いていない。そして足を踏んだ草は踏み潰されたまま動かない。そう、俺の『何かを』纏っていない物は問答無用で時が止まるのだ。


時が動いていない世界と動いている世界を合わせたらどうなるのかって?そりゃ、が正解だ。試しに捻じ曲げた空間を広げてそこにあった木の枝に触れさせて見ると、停止した世界に入った箇所は時間が止まるがそれ以外の木の部位はちゃんと動いている。

そう、何かの壁があって同化はしないみたいだ。


え?『何かを』纏っている者はちゃんと時間が動くのに10年経った感じのしない身体になっていないのかって?そりゃ俺も不思議だった。だがある仮説が出た。


この世界は『時が止まった』と言うルールで構成してる世界なのでは、と。

俺も何を言っているのか分からない。


ただ、そう思わざるを得ないのは、という事なのだ。時間が止まった世界に草が生えるのか?いや、そもそも最初から時が止まっているならそれはもう宇宙は誕生しない。


だから、この世界は最初はちゃんとした世界だったのに、ある時何らかの影響でこの世界の時間が停止してしまう事が起きてしまった。それは人為的なのか、自然的なのか、はたまた神の仕業なのかは不明だがね。


それで出来たのが『時間が動かないルール』で構成された世界だ。いくら謎パワーで覆っても止められぬ作用だと考えている。


結局何が言いたいのかって?


つまり、この世界は時間が動いていないだけで空気や、物、人間の身体は動けるのではないかという事なのだ。いくら謎パワーで防いでも時間は動かないから体の成長はしない。腹は減らない。だが、経験と筋肉、能力は強引に動かして(成長させて)いられるのではないかと考えた。


まぁ深く考えても仕方のない事だと今なら思う。


だって知った所でどうしょうもなかったもん。身体が動けたから修行出来たし、出ても身体は成長してないから結果身体の時間が動いていなかったと分かるし、最初は「俺のバリアで防げてる!」程度にしか考えてなかったしね。


あの空間のお陰で俺は強くなれたしね。意外と資源が豊富だったのがもっとよく分からない状況になってそうだと思ったけどガン無視したしね。






だから俺は重力魔法で操作した盾で剣聖デュラハンを圧倒出来ているんだからね。

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