第32話
「ま、そんな事はどーでもいいんだがねぇ。それよりお前、やる気あるのか?さっきから同じような技と動きしかしないで、俺に勝てるとでも思っているのか?動きが分かりやすいんだよ。」
『…お前……それに気づくと言うことはだ…もしや…いや、もういい。ここからは本気でやってやる。お前は既に気付いているんだろう?」
「第二ラウンドと行こうじゃないか!本番ってわけだ!」
『剣聖流、縮地一閃!!』
「いきなりだなぁ!」
剣聖体の一閃は悲しくも空振りしてしまう。そりゃそうだ、さっきまで縮地程度見切っていたんだからこのくらい……
『飛剣!烏!』
おお!これは本気だな!面白い!
だが、
「はい、縦一閃っと」
飛んできた青白い霧みたいに薄いカラスを真っ二つに切り、前から迫ってきているデュラハンと相対する。おそらくコイツはこの技から避けた一瞬の隙を狙ってたんだろう。
だってあからさまに動きが動揺してるもん。右か左か?もしくは飛ぶのか?ってなっているところに前からこんにちはしてるんだから、驚くのも無理はない。
「ほい、もっかい縦一閃!」
『!!?』
光る剣から出るとは思わない甲高い剣戟の音が鳴り響く。
「この子は刃こぼれしない光る剣、そしてお前のも刃こぼれしない再生する剣。何回鍔迫り合いする事になるんだろうな?いや、お前のは魔力が減っているのか?」
『やっぱりお前、色々知っちゃいけないことまで知っているな?興味が尽きんが今はそれどころでは無いか…』
「フハハ!そうだ!今はそんな事どうでもいいじゃないか!」
後ろに下がりながら右へ左へ剣を振り、ヒュン!ヒュン!と剣からあまり鳴らない音をさせる。
「コイツは俺でも名前を言いながらやらないと出しにくい技なんだ。しっかり味わいながら受けてくれ。」
「理外刀術、鞭一撃!」
『何だとぉ!?』
ドカァン!と剣から出ていい物ではない音を出してデュラハンが爆発して吹っ飛ぶ。
魔力の性質を変えて剣に纏わせる。
剣が折れないように(まぁこれ自体折れはしないが、普通の剣でも出来る様に)剣自体を魔力体に変える。
その上で弾性を加えて、魔力体を伸ばして、鞭状にする。
これ自体少しでも魔力の質、量を1%でもミスると剣がぶっ壊れるだけだ。ある種断地刀よりもデメリットがデカくてやれてもやる人はいないだろう。ま、これは俺考案剣術なので俺一人しか使い手はいないのだがね。
今の一撃で恐らくデュラハンは大打撃を受けただろう。だがアイツは魔力中心で構成された金属で出来ている為、すぐ再生するだろう。今の攻撃だって驚いているがダメージはそこまでかもしれない。
この魔力の性質変化は相当使えるのだ。
鞭状にした攻撃だってあれ一個じゃない。色々なバリエーションを持っているのだ。
デュラハンが倒れたであろう煙で見えない場所から、強く地面を蹴ったであろう音が鳴り響いて目の前にデュラハンが肉薄してくる。
と、思った瞬間デュラハンが空へ飛び上がる。
『剣聖流、天下当戦!』
おお、魔力を壁にしてそこを蹴り、剣を突き出して一気に迫ってくる。串刺しにするつもりだろうがそれを避けられないとは思ってないだろうから、二撃目を警戒して……いや、二撃目出させなければいいか。
「理外刀術、、、
カァン!
鞭龍飛行!!」
先程よりも更に大きい爆発音を鳴らしながら、金属片を飛び散らせて吹き飛んでいくデュラハン。
この技は長くした鞭を一旦前に出し、半分くらい前に出した所で思い切り引くと起こるマッハを超えた音速の攻撃だ。
最初の軽い金属音は途中で当たったデュラハンの剣を再度飛ばしていた盾で剣を切り落とした音である。
相変わらず目の前の敵に集中すると周りが見えにくくなるのはコイツの大きな弱点なんだろうな。別にこの速度で俺に届く訳無いが、万が一今のワザを邪魔されるのは我慢ならないからね。
普通の人間、生物なら最初の鞭一撃で終わっている筈なんだ。今のでも死にはしないだろう。相当なダメージは負わせた筈だからいくら再生力が高くてもダメージは相当残るだろう。
はぁ…魔力があれば無限に戦えるのはなぁ、生身の人間にとって無限に再生してくる敵と戦うのは非常に面倒臭いなぁ。
はぁ…
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