第31話

「その技が本当に当たると思ってるのか?見え見えの振り下ろしなんてフェイントとか不意打ちでしか効かないでしょ〜」m9(^Д^)プギャー


『てっ……テメェー!!…い、いや、これはお前…俺を苛つかせて判断を鈍らせる作戦だなぁ!そんな稚拙な物に引っかかるかよ!』


多少周りが見えなくなれば充分なんだよなぁ。不意打ち、フェイントをかけるにはある程度の油断が必要なんだ。


『縮地』


「ぬっ!」


後ろに回って油断させてもう一度油断させるあれだろ?一度見たからもう効かんぞ?もし、もう一回か!って後ろ向いたら居なくて〜て状況でも対処可能だ。もう見切っているのに無駄な事するなぁ。


タッと軽い足音が後ろから聞こえた瞬間振り返るが、案の定誰もいない。嗚呼、同じ事の繰り返しするのかぁ。やっぱり冷静さが少し欠けているなぁこれは…


と思ってる内にデュラハンの気配が後ろに現れる。いつの間にか鞘に戻した刀を構えている。

デュラハンの剣はデュラハンを形成している特殊な金属で出来ているため、魔力によっていくらでも形を変えることが出来る。西洋剣でも刀でも蛇腹剣でもデュラハン自身が知っていたら何でも変えられるのだ。だからデュラハン剣聖体は非常に厄介極まりないのだ。


『剣聖流、居合・いっs……』




だから上から来る物に気付かないんだよ!


ガキィィィン!と辺りに響く金属音。

だがその音には金属が折れるような音が混じっている。



『ッ!?!?』


デュラハンが振り抜いた刀は半分どころか三分の一位の位置で切れている為俺の体にはかすりもしない。


デュラハンは現実が受け入れられない様で振り抜いた格好で固まっている。歩く鎧が中腰で右手伸ばしっぱなしで固まっているのはとてもシュールだ。


そして剣を切った物体は地面に突き刺さっている。


「周りが見えてないねぇ。ちょっと観察すれば、俺が盾を持ってないって気付けただろうにねぇ?盾はどこ行ったって置いてあった場所見たり周り見たりすれば……まぁ上空に飛ばしてたから気付けなかっただろうけどねぇ。」


『……テメェ…とんでもねぇ力隠してやがるな?いくら俺がいる位置、何をしようとしているか分かった所で鞘から出している途中で切ることなんざ達人でも居ねぇ。ましてや無名になんて不可能だ!オマエは何者だ!?』


「何者だっねぇ?それは俺が聞きたい事だよ。」


『何?』



何故無名って知っている?いくら長生きしても、敵対している人にたいして世間話なんてしねぇはずのモンスターが、地上の事を理解していそうな発言をする?そりゃおかしいってもんだぜ?


って聞きたいがどうせ答えてくれないどころか、恐らくこの状況を輩が俺にちょっかいかけてくるだろう。今ですらこいつに圧倒しちゃってるお陰でほぼ確実に興味持たれてるのにこれ以上突っ込む気はない。


「いやぁだってそこまで強いのにビギナーにいるのが可笑しいからね。そりゃ気になるってもんでしょ?ここまで強いデュラハンがいるなんて聞いてなかったからなぁ?」


『教えられねぇーなぁーそんな事はなぁー!』


「じゃー俺も教えられねぇなぁー!」


『チッ!』


「そりゃそうだろう。まともに答えねぇオマエの質問なんて答える訳無いじゃないか?そりよりオマエ、さっきのヤツの話し方に似てきたんだが霊体でも吸収したか?」


『なんだと?……いや、違うな。コイツ、俺とお前に恨みを持ってるみたいで最初に俺に恨み…いや、もうこれは呪いに変わっているな。呪いを俺にかけたみたいだな。俺は呪い程度吸収しちまうからちょっとだけ混じっちまったようだな。俺は今、人間の言語を使っていない。意思疎通スキルでお前に言葉を届けている。


だからお前が俺の言葉使いがコイツの喋り方になっていると認識しているんだろうな。』


恨みが呪いに発展するまで恨みをかったのかぁ。

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