第28話とある視点:Part6

畜生!このままバカにされて終わってたまるかよ!せめて一泡吹かせてやらねェと死んでも死に切れねェ!


クッソ、壁にぶち当たったせいで所々骨が折れてやがる。一応持って来といたポーションが無きゃ動けもしなかったな。


「ッ!!?」



ガキィィィン!



き、奇跡的な反射神経で受け止めきれたぞ!俺を売りやがって!やっている間にトンズラしようとしてるだろアイツゥゥウ!絶対に恨んでやる!末代まで!恨んでやるぞォォ!クソ野郎!



「身体強化ァ!」



キィン!


一旦体制を立て直す為に、剣に力を入れ、身体の重心を後ろに移しながら後ろに移動するように地面を蹴る。そうすれば相手の斬撃を受け流しながら逃げられるんだ。


だが、立て直す前に弾いたデュラハンがまた一足で目の前に来る。


「ゲェ!?」


身体強化してる恩恵でギリギリ身体をずらして一回は避けられt


キィッキィン!


ガッ!


ガキィィィン!


「グッグググッ!?」


たと思ったら続けて右下から、そして右上から剣が飛んでくる。右下を防いだと思った瞬間直ぐに向きを変え、右上から剣が迫ってくる。

剣がまた来ると思い、剣士にとって予想外に成り得る蹴りを繰り出したが相手はデュラハン、身体が金属で出来ているせいで一切ダメージを与えた感覚が無かったが反射の衝撃で一応離れられた。


案の定、一足で目の前に来たと思ったらいきなり金属製の拳が目の前に!


「グワァァ!!」


とっさに剣の腹で防いだが、この衝撃は止められなかった。剣自体がミスリル製のお陰で折れなかったが地面に叩きつけられ、転がった。


すぐに起き上がるが既にデュラハンは目の前に居た。気付くのが少し遅れたせいで、放たれた蹴りは防ぐ事が出来ずに直撃してしまった。


またもや転がりながら地面に身体を何度も打ち付ける。蹴られた場所は死ぬほど痛いし身体のあちこち打撲し、全身が痛い状態だ。しかも蹴られたせいで下の方の肋はどうやら折れているかもしれない。


身体強化していたおかげで内蔵に骨が刺さる事は無いが単純に痛い…


……不味い、これは非常に不味い。

このデュラハン絶対通常の奴じゃない。どう考えても過去ダンジョンで出現したデュラハンでは無い。その時のデュラハンのデータを見た事あるが、そのデュラハンはもっとスピードは遅い上、ここまでの剣術の技術を持ってない筈だ。


つまり上位種だ。


なんでビギナーダンジョンにこんなバケモン居るんだよ!可笑しいだろ!

ギルドは何してやがるんだ!こんなバケモン放置しやがって!

ふざけんじゃねェ!


俺はこんな所で死んで良いワケねェんだ!

何故だ!何故!?俺はAランクだぞ!?こんな所で死ぬ訳ねェんだ!


「身体強化!身体強化!」


裏ワザと言うより最終手段と呼ばれる身体強化重複掛け。それで無くても身体強化自体、人間の身体の限界を突破する魔法だと言うのに、それを重複して掛ける。これは世間一般では自殺に近いと言われているがその分人間には絶対出せない超越した力をだせる。


つまりという訳だ。


(ここで終わる位なら、逃げても意味が無いんだから、もう、これしか、己のプライドしか残されて無いんだ!)


「ォオオオオオオ!!!!」


『ッ!?』


この一連の戦いを通して初めて、ようやく俺を見たな?ようやく俺がお前にとって脅威になり得るのか?ようやく俺に興味が出たのか?


嬉しいぜェ?ホントによォ!


最期の意地、見せてやるぜェェエエ!!



!!」


『〜〜!!〜〜〜〜!』


「何言ってるか分かんねェよッ!お返しだッ!」


ゴッ!!


さっきとは違う音がしてデュラハンが飛んでいく。


縮地…身体強化三重がけでようやく使える歩法の極地…これは使えるが反動が半端ない。三重がけでギリギリ耐えられるが、この状態でも多用は出来ないな。足全体が軋んでる感覚がする。


「一閃!!」


ガキィィイン!


鍔迫り合いして少しだけ押し出せるだけの差か…命を代償にしてる力でもここまでしか届かないのか!?コイツはどれだけ強いんだ!?


Sランクモンスターは確定だがこれはそれ以上かもしれない。


『〜〜!!』


「クッ!?」


今なら分かる。逆にこの状態でしか分からなかった…コイツは、今までずっと『縮地』しか使ってなかった。瞬間移動じゃなかったのだ。


この状態でもコイツに届かない…絶対的な差が存在する。



「連斬撃!!」


キキキキィキキキイィィィン!


『〜〜!!』


ザッ!


「また縮地かぁ!!後ろかy……ッ!?」


『〜〜〜、〜〜.〜〜〜!!!!』






ザザン!!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る