第24話とある視点:Part.4
何かがこっちにゆっくり向かってきているのは分かる…分かるが、魔力と殺気の量がとんでもないって事しか分からない。
いや、逆にそれだけでいいのかもしれない…
そう、ここは恥を忍んで逃げるしかねェ!
ゆっくり、ゆっくりと相手に悟られないように後退る。兎に角アイツとは戦ってはいけない気がする。気配で何となくわかる…ここで戦えば死戦は必須。
たとえ戦っても致命傷で逃げれる事が今一番良い結果になる事だろう。
ここは逃げ一手だ!
ガツン!
「ァ?」
「は?」
え?
「おぉん?よぉーやく気付いてくれたかぁ?君はもう詰んでるんだよぉ?逃げちゃダメだよ。そんなの面白く無いじゃないか!ダンジョンにおいてイレギュラーは配信者にとってご褒美なんだろ?充分視聴者を増やしてくれたまえよ。」
は?え?な、な…なんだ?何なんだ?コイツは?
「お、おま、オマエエェェェ!!開けろォォォォ!早く、開けろォォォォォォ!!!!!ふざけんじゃねェエェェェ!!」
ガキン!ガキン!とボス部屋の前に陣取って見えない壁を張っている標的に向かって斬ったり蹴ったり、必死に突破しようと……
グァアアアア!!!
「なっ!?」
奥にいる馬鹿でかい存在に立ち向かって飛びかかる巨狼。
と、思った瞬間森の奥から鉄と鉄の合わさる音が暇もなく聞こえてくる。爪と何かの音が金属音とは…
だがこれは一個わかった情報がある。
それは、敵が近接戦闘特化だという事だ。
巨狼自体、部下を投入してくる点を除けば近接特化型なのだ。それと真っ向から戦闘してると言うのは相手も近接特化であると思わざるを得ない。
そして今分かった。ソイツの使う武器は剣であるという事だ。
ズバッと言う音と共にそこにあったであろう木が倒れたのだ。
巨狼が強いとはいえ、それはビギナーダンジョンの中ではって言うだけであって全てのダンジョンで比べると圧倒的に下のレベルなのだ。
だからこそ俺からしたら巨狼の前に出された所で、後ろに回って首を刈るだけで勝てたのだ。
だから分かる。巨狼程度のパワーでは木を切り倒せないという事を…直接木に爪を振りかざせば切れるだろうがイレギュラーと相対しているであろう今、余波以外で木に当たらないだろう。
そう考えれば木を切り倒したのは相手だという事がわかる。
何が、来ているのか…
「おい!なぜ出口を閉ざす!?開けろ!オマエモンスタートレインするつもりか!?俺を殺したいのか?人殺しになるぞ!?いいのか!?今配信してるんだ!オマエが殺した事になるぞ!?」
「おいおい…面白くもねぇ冗談言うなよなぁ。これは、お前が引き起こしたモンだ。責任持ってお前が処理しろよ?そもそもお前が俺にちょっかいかけなけりゃこうはならなかったんだ。諦めろ。」
「クソがッ!開けやがれ!人殺し野郎!卑怯だぞ!!ふざけんじゃねェーー!」
「いくら蹴っても殴っても効かないんじゃお前程度じゃこれを壊すのは不可能だと思えよ…。無駄に時間使って敵を呼び寄せてるだけだよぉ。早く準備した方が良いんじゃなぁいぃ?」
「チッ、クソがッ!配信してるんだ!俺が死んでも死ななくてもお前はもうMPKな事は変わらねェんだ!俺が生き残ったらぜってぇ仕返ししてやるからなァ!覚えとけよ!」
チッ、結局俺も表には出れねェって分かってるだろうなァ…この程度の口撃では意味もなさないか…チクショウ!ここで人生を決める戦いをするとは思わなかった…こんな場所で死にたくはねェ。ここで逃げれる唯一の場所は…ダンジョンボスを速攻で倒してクリアする事だけだ…
「おっと、そうだ。恐らくお前は奥へ進んでダンジョンクリアしたら逃げれると思ってるだろ?そりゃ無理だ。アイツの足の速さはお前以上だぞ?追い付かれて後ろからズバァと斬られるだろうなぁ。」
「ハァ!?何言ってんだオマエェ?」
それがホントならあそこにいるアイツは………
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