第19話

「だがマスコミ法は出来たのは最近だろ?その子はどうなったんだ?」


「お主が想像する通りじゃ。その子は耐えられなくなった。最初は引っ越して国内であるが元いた場所から相当離れた場所に移った。しばらくは何もなかったがその子がダンジョン復帰し始めた頃、噂が追いかけてきた。」


「うわぁ…」


遮るつもりはなかったが酷い状況を聞けばついつい不愉快に感じて声を出してしまった。


「そう、流石に分かってしまうよな。その子を追っていたしつこいマスコミだった。そのマスコミは引っ越し先でインタビューと偽って周囲の人間に例の噂を広めた。そのやり方は陰湿で、法律に反しないギリギリの範疇で噂を尾ひれを付けてばら撒いた。


勿論最初はその子の親が必死に対処したが、警察も動いてくれず本人に直接来るのではなく情報操作で社会的に追い詰める行為をした。流石にその子も精神的に参ってしまって…ってなってしまったのじゃ。」


む、酷い……


「でも引っ越し先まで追い掛けて来るほどその子は何かしたのか?」


「いや、今はマスコミ法でそやつらは捕まった。そやつらの取り調べで実行した理由も判明した。通常世間には知らされないがギルマス権限により情報が伝わったのじゃが、その理由がなんとも稚拙での。


あの子が素直に話さない事、そして力を持って調子に乗ってたからだ!と言っていたそうじゃ。」


「うへぇ、如何にも稚拙クズって感じだなぁ。分かった、分かった。気を付ける事にするよ。嫉妬野郎なんか出たって俺は気にしないがな。やられたらやり返すって奴だ。法に触れない範囲で消していくよ。」



「やり過ぎないでくれよ?処理が大変なんだからのぅ。」


「オーケーオーケー、気を付けるよ。そういや、今日この後ってここのダンジョン入れる?すぐ入りたくて朝早く来たんだが?」


「入れるぞ。ただギルドカード発行してからじゃから正午過ぎになるがいいかの?」


「ま、流石にお腹空いたし昼飯食べてから行くから大丈夫だ。」


「なら正午過ぎにまた来てくれ。ギルドカードを渡したらダンジョンに入れるぞ。」


「了解した。また後で来るよ。もう出ていいか?」


「案内を付けるから少々待つのじゃ。良いぞー来てくれー」


『はい。今行きます。』


さっき対応してくれた城之内さんの声だ。知ってる人ならやりやすくて助かるなぁ。

と、思っていたら爺さんが何か思い出した様な顔をした。


「あ、そうじゃ。今後、城之内をお主の専属受付嬢にしようと思うとるがどうかの?」


「?そうすると目立ってしまうんじゃないか?」


「いや、そうでもない。ここの建物は高層階になっておる。全部で20階存在し、一階は簡単な探索者の窓口になっておるが上の階はここのような試験場だったり、修練場だったり、資料館、一般にも使える場所もあるが、一番多いのは高ランク探索者や訳あり探索者の対応窓口になっておるのじゃ。


流石にここまで大きいのはアキバダンジョンの対応してるここしかないが、すべてのギルドはある程度大きい施設になっておって、ちゃんと対応窓口は存在する。」


「ほぅー、しっかりしてるんだなぁ。だから高ランクっぽい人が一階に居ないんだな。」


「そうじゃの。人が多くなると大変じゃしのぅ。最近だと一部場所を持て余しとってテナント募集して入って持っているんじゃ。だからここにも武器屋や防具屋、道具屋が揃っておるぞ。一度行ってみるとええ。」


「まぁそういうのは間に合っているから良いんだけど、必要になったら行ってみるよ。」


そうこうしてるうちに城之内さんが来たみたいだ。

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