第13話
『第四試験、終了です。お疲れ様でした。』
長いなぁ。まだもう一試合あるのか…
第四試験でゴブリンだったが、次が何が敵なのか分からんなぁ。結局、雑魚、雑魚、雑魚、そして雑魚だったせいで比べられない。
言うて初心者相手に中級モンスターとか出したら出したで勝てないだろうしこれが妥当なのだろう。ゴブリン軍団だって初心者だったら取り巻きに対処が出来無い間にメイジドラゴンに魔法を撃たれて終わってるだろう。
そんなどうでもいい話をしていたら放送から声がした。
『では受験者に問います。第五試験を受けますか?受けなくてもEランク+探索者として活動出来ますが、どうされますか?』
あー、どうしようか…もう一試験やってみたいとは思うけどちょっとグダってるし、何より俺が飽きた。
自分にかけた枷とはいえやってる事が変わらないのはつまらない。
でもどうせ、こう言うのは最後にはどでかい面倒な事が起こるのが、テンプレというものだ。異世界に言ったからこそわかる。
俺みたいな同じ技みたいな斬撃を繰り出してることなんて、ある程度実力があるものなら異質に見えるだろうて。
だから、奥の扉から来ている威厳のありそうなヒゲ長爺さんは、ある程度の剣の使い手なのだろう。
刀つけて顔をニヤつかせてドスドス歩いて来るのはどう考えても実力測りたい系上司だろ。
ん〜こっちとしてはモヤモヤしてたしある程度見せても問題ないけれど、カメラで撮っているなら控えたいところだ。いや、カメラで撮る分は別に構わないが、公表されるのが厄介だ。俺は自由に生活したいのであって、有名になりたいわけじゃない。
それにギルドの上層部から駒にされるのもごめんだ。
まぁ、自分を偽装するのには限界がある。半年ダンジョンに潜ってその成果を提出したら実力がバレるだろう。
地道に低級からやって行くことなんてつまらないだろうからな。
この世界の剣の使い手はどれほどの実力なのだろうか。気になるが、交渉次第だな。
見た目通り剣の使い手ならいいが、実は交渉人で剣は護身用とか言われたら、それこそがっかりだ。
「やあやあ、すごい実力を持っておるのう。どうじゃ?わしと力試しをしないか?」
「おやおや、いきなりか。爺さんはいつから常識を忘れてきたんだい?家に置き忘れたのか、過去に置いてきたのか、どっちなのかな?」
「ほっほっほっ、確かに失礼だったわい。まずは自己紹介からだったのう。わしの名は、北斎 一閃と言う。よろしくのう。」
「それでのぅ。わしから提案があるのじゃが。聞いてくれるかの?」
いきなりぶっ込んでくるなこの爺さん。こっちとしてもありがたい申し出だ。交渉もしやすくなる。
「その提案とはなんでしょうか?」
「其方からの要望をある程度受け入れるので、わしと戦ってくれないかの?」
キタ━(゚∀゚)━!交渉権ゲットだぜい!
「要望ですか。それなら三つほどありますがよろしいでしょうか?」
「聞きましょうぞ。」
「まず一つ、ここで試験をした俺の実力について詮索しない事、二つ目、貴方との戦いを他の者に漏らさない事、つまりこの試合に関してはカメラなどの機能をきって欲しいと言うこと。三つ目、今後の俺の行動を制限させるような干渉をしないこと。できますでしょうか?」
「ううむ。質問をしていいかのぅ?」
「どうぞ?」
「まず一つ目についてじゃが、これは当たり前じゃ、探索者についてこちらは詳しく詮索しないと言うルールがある。なのでこれは大丈夫である。二つ目についてであるが、基本口外することは無いが、お主が言いたいのは違うのであろう?」
「そうですね。私が言いたいのは世間もそうだが、貴方の上層部にも報告を控えて欲しいという事ですね。」
「まぁそうじゃのぅ。本来それは厳しいがわしの立場であればそれは可能であろう。仕方あるまい、二つ目の要求も受け入れよう。三つ目であるが、それは要求しなくとも、そういう事は出来ない規則となっておる。ルールと違ってこちらは違反すると、わしの立場でも引退せざる負えなくなるからのぅ。」
「なるほど、そういう事になっているのですね。」
「そうじゃ、以前色々な問題があってギルド内でも規則が厳しくなって、ギルドマスター云々関係無く処罰出来るようになったからのぅ。三つ目は要求無くも履行される。別の要求があれば聞くが?」
「いや、それが履行できるのであれば文句はない。」
「では、わしからの報酬としてこの戦闘で勝ち負け関係無くお主をDランクにしてやろう。そしてもう一つ、勝ったら言い値で金銭を払おうではないか。幾らがいいかね?」
「いいねぇ。じゃあ100万でどうだ?」
「では200万にしよう。」
ワッツ?ふざけて言ったら倍になったぞ?
「200万?それは戦うだけ?それとも勝ったら?」
「もちろん手合わせしてもらえるだけで、払おうじゃないか。わしにはお主のその戦闘能力、9割以上隠して試験しておったよのぅ?それほどの実力で手の内をギリギリまで見せようとしない。そのようなものから無償で情報を見ようなんて、上に立つ者としてそのような事はできぬよ。」
「これはダンジョンの未知の情報とかじゃないんだぞ?律儀な爺さんだな。ありがたく受け取らせてもらおう。」
分かりやすい程の『信用代』だな。OKOK、ある程度実力を見せようじゃないか。分かりやすい交渉は好きだぜ。俺は交渉は得意じゃないしな。異世界にいた頃だって全部人に任せていたしな。
「さて、カメラも止めさせてもらった。そろそろ始めても宜しいかの?それとも何かしたいこと、欲しいものはあるかな?」
「いんや、大丈夫だ。始めてもオーケーだ。」
「宜しい、では、このコインが床に落ちたら開始じゃ。行くぞ!」
カァンと地面にコインが落ちた瞬間、時が止まった。
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