第14話 異性を食事に誘う方法は?
廣幸にメッセージを送るとすぐに既読が付き、その数秒後には返信が帰ってきた。
『お姉さんに直接聞いたらいいんじゃないか?』
まぁ、そうなるか。分かってはいたが当たり前な返信が返ってくる。
『サプライズにしたいんだよ』
『誕生日じゃあるまいしサプライズにする必要あるか?』
『あまり深く考えず教えてくれ、持てる男は余計な事は聞かないものだぞ』
『モテようとしてない奴がよく言うよ。まぁ、飯でも奢るのが無難でいいんじゃないか?』
なるほど、ご飯を奢るか。
確かにそれなら朝比奈さんにお返ししやすいかもしれない。
『いいなそれ、ちなみにプレゼントだと何が良いんだ?』
『まぁ色々あるがお姉さんにあげるなら普段使っている日用品とかお菓子とか消え物が良いと思うぞ。』
『でも、日用品は余らせがちだからやっぱり柊がお姉さんに飯をご馳走するとかの方が嬉しいんじゃないか?』
自分でもある程度考えてはいたけど、やはりご飯を奢るのがよさそうか。
『どういうところがいいかな?』
女性を連れていくならやはりイタリアンとかか?いや、流石に恰好つけすぎだろうか。
『お姉さんの好きな料理くらい姉弟ならわかるだろ』
うん....。
この上ない正論だ。
自分で姉というていで相談したせいで、いまいち聞きたいことが聞けない。
『そうだな、そこは自分で考えるよ。ありがとな』
これ以上余計な事を言うと怪しまれそうなのでこの辺で切り上げることにした。
『お礼に朝比奈さんか岸宮さんの異性のタイプ聞いてきてくれ』
朝比奈さんはともかく岸宮さんを諦めていなかったのか....。
『前者は常時握手会状態だから無理だ、後者は話しかけたら殺されそうで怖い。」
朝比奈さんであれば聞こうと思えば聞けるのだが、流石に距離の詰め方がヤバいやつと思われかねない。というか異性に直接聞くのはハードル高いだろ....
『この恩知らずの臆病者めが、くたばりやがれ。』
こいつ、下手に出てれば調子に乗りやがって。
『臆病者で悪かったな、そんなに知りたきゃ自分で聞け』
『それをできたら苦労してないんだよ。大体俺がどれだけ....』
凄まじい長文が送られて来て途中で読む気が失せ、返信が面倒くさくなったので既読スルーした。
まぁ、こいつのお礼は紙パックのいちごオレ程度で良いだろう。
色々と調べて候補を絞ったのは良いものの、休日に同年代の異性を食事に誘うというのはかなりハードルが高い。
さらに言えば昨日も俺のせいで貴重な休日の一日を使わせてしまったのに日曜日すら奪って良いものかと考える。
時計を見ると時刻はもうじき正午と言ったところだった。
食事に誘うのならお昼が望ましいよなぁ。
頭を悩ませていると、いくつか問題があることに気づく。
まずそもそもの話、朝比奈さんの部屋を俺は知らないし、その上今彼女が家にいるかもわからない。
お礼をするとは言ったものの翌日とは言ってないから当然いない可能性もある。
何より仮に会う事ができて、食事に誘い了承を得たとしても、一緒に行く都合上、俺は朝比奈月と外を歩くことになる。
それが非常にまずい。そんなところを見られたら俺の平和な学校生活は一瞬にして崩壊してしまう。
せめて、自分が一ノ瀬柊というのがバレなければなんでもいい。
何か変装できるものはあるだろうか。そんな事を考えながら身支度の準備を始めた。
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