第二十四話 日課とお父様が召集へ
アンジェは、気分が良い。
「これで、モーラもエリアもイリスも皆、私の専属ね。
服も頼んだし、何時でも出かけられるわ~。」
(普通は、予定を入れて準備するものだが?
予定は、入れているわよ?
いつよ?
その時、思いついたら。
それは、予定とは言わない。ワイズやカミラに、伝えて日程を調整してから行くのが普通だろ。
まぁ、良いじゃないの細かい事は。)
エリアは、
「アンジェ様、これからの予定ですが、どちらへ行かれるのですか?」
「いえ、今日はもう帰って終わりですよ。
何処か、行きたいところでもありますか?」
エリアもイリスも
「いえ、特にありません。」
「そお。なら。また明日からよろしくね。」
「畏まりました。」
(言葉が固いわね。
軍属なら、仕方ないかも。普段通りにと、言っても変わらんかもよ。)
ファナル将軍は、
「閣下、これでは領民の怒りや不安を煽る事もあるでしょう。」
リンデン将軍も、
「国王は、何をされているのだ。
捕虜を返すと言っているだ。
何故、交渉すら始まらない。」
ハイド伯爵から、
「2人が言ったことが、全てであるな。
バズール公爵が、妨げにとの噂もあるが、推測の域を出ない。
各方面の情報を、集める事にする。
あぁ、そうだった、リヒタル子爵を召集する。」
将軍たちは、
「はっ、仰せのままに。」
「側近が集まり次第、決定した事も合わせて、今後の方針を話し合うとしようか。」
ハイド伯爵は、城の窓から外を眺めると再び、険しい顔で国旗を眺める。
翌日、アンジェの朝は、早かった。
「な、な、んで、もう来ていますの?
アニー、時間がおかしくなくて?
まだ、食事もしてないのよ。」
「アンジェ様が、時間を、お伝えになっていないと思いませんでしたから。」
(コイツ、やりやがったな。オヤスミ。
ワザとですわ。アニー達が、こんな簡単な事を忘れる理由ありませんわ。って、寝ないでよ!)
「あ~もう。エリアとイリスは、前といい、何故ですの?
まだ、着替えどころか起きてもいなかったのに、迎えに来るなんて!
私の時間に合わせて来てくださるかしら。」
エリアは、
「初日は、マクミラン団長からの指示でしたから、ご存知でと思いましたから。」
イリスも、
「昨日も、明日から、よろしくと仰っていたので、問題ないと・・・。」
アニーに服を脱がされ、着替えをしているアンジェに、突き刺さる。
(クソッ、グーの音も出ないわね。
お嬢が、クソ言うたらアカンよ。もっと、上品に!はいっ。やり直し。
ノブ、私に何をさせたいの?おクソッて言わせたいの?
『ブ〜ッ』冠でもついているのかね?次いでに、様も付けたらー。
もういい、今は時間が無いのよ!)
エリアとイリスに見守られながら、準備が終わると、
「さぁ、日課ね。
アニー、お父様とお母様には伝えておいて。
後、午後に食事を取るからアンスにも準備を頼むわね。
行ってくるわ。」
訓練場へ向かいながら、エリアが
「それで、時間はどういたしましょうか?」
「今は、1の鐘が過ぎところね。
2の鐘と3の鐘の間が、何時もの時間よ。」
「9時ですか?」
イリスの言葉に、『はて?』時計あんのと、今ごろになって判明する。
「2人とも、時計って持っている?」
アンジェの言葉に、
「はい。最近は、持ち運べる小型時計が、士官以上に支給されています。」
とエリアの回答にイリスが、
「私のは、お父様からの贈り物ですが、持っています。」
と、何故に時計塔ないの?
こんな、小型化されているのに、ファンタジーなら、ここまであるなら、時計塔作ろうよ。
頭を抱えながら、崩れるアンジェ。
エリアとイリスが、
「アンジェ様、如何されたのですか?
お加減が悪くなられたのですか?」
「そうではありません。
ちょっと、常識が足りない私にガッカリしたと言うか。残念と言うか。
少し、心に傷を受けたわ。」
アンジェは、持ってない時計に嫉妬している。
(まぁ、今になってでも時計があるって良かったじゃないか。必要もなかっただろー。
でもでも、知ったら欲しいと思うのが自然じゃない。お父様に、おねだりしよ〜っと。)
今日もまた、日課から始まる。
早いけど、超早いけど、来てしまった。
もう、エリアもイリスも砦として機能していないし、機能することはないと思うアンジェだった。
「さぁ、アンジェ様、次はお手合わせをお願いします。」
エリアからの申し出に、
「かまいませんわ。」
アンジェ用木剣と短剣型を腰にベルトで、装備して右手に盾を構える。
イリスが、
「アンジェ様、先日から思ったのですが、持ち手が逆なのでわ?」
「その通りですね。
でも、こっちの方がしっくりする感じでね。利き手が、逆なのよ。
マナーやダンスは、仕方なく右にしているけど、体を動かすときまでは、我慢出来ないのよ。」
(まぁ、俺たちも左利きだし。エド達の時は、木剣の大きさも合わなかったからな。しかし、アンジェ君は、ダンスも体を動かすのに、おかしいなぁ。
ノブって、嫌われていたでしょ!ダンスだって、男性のパートが少しあったくらいで、役に立たないくせに!)
「それじゃ始めましょうか。」
イリスが、開始を告げる。
すると、エリアから仕掛けてくる。
盾を前に、突っ込んで来る。
(手加減されているね。怪我させない様に、当てて飛ばすか剣を受けるか。
舐めているのかしら、ノブ行くわよ。)
剣で叩けば、相手の思う壺ってね。
アンジェも、盾を構えるが、エリアの盾とぶつける瞬間、低く斜めに受けると少し競り勝ったが、エリアはそのまま剣を振り下ろす。
「まだまだ。」
アンジェは、左からエリアの剣の腹を右に流すと、そのまま強く足払いをする。
『ドサッ』エリアは、地面に倒れていた。
(やりましたわ。
ちびっ子と思って、油断しすぎだったな。
誰が、ちびっ子なのよ。
他に誰がいるんだよ。チビでも、非力でも、やりようはあるからな。)
「エリア、私は残念です。
怪我をさせないようにと、手加減をしましたね。
戦場も、同じ事をするの?ましてや、鍛錬で手を抜くとは、何をしに来たのかしら?」
「出過ぎた真似を致しました。
申し訳ありません。
しかし、盾をぶつけ合う事も剣を払い退けるとは、そんな力があるとは思えないのですが?」
「正面から、ぶつかるだけが訓練では無いのよ。
マクミランやハンスにも、大きさも力も敵わないのだから、初撃を受け止めるよりも、受け流す様に次の行動を制限していくのよ。
エリアの楯に、私は最後に低く斜めに構えて受け止めたわ。浮いた左手の後、剣を振り下ろすと分かっていれば、思いっきり剣の腹に当ててそのまま振り下ろさせればいいのよ。
無理矢理、振り下ろしたから、体勢は悪いから、次に繋がらない。
結果、足払い程度で倒れたのよ。
あなた達も、啓示を受けているのでしょう。その力を制限していても、これでは、私に勝つことはでき無いわ。」
(うゎ〜、言いたい放題で言い切ったよ、この子。長い解説にご静聴ありがとうございます。
ノブもそう思ったでしょう。全く、何時も私を、悪者にして!)
イリスが、
「先日とは、動きも違うので驚きました。
何故、今日はこんなにお強いのですか?」
「『フゥ』あの日は、最初の走りで力を使い果たしたのよ。
あの2人の相手なんか、そんな状態で、務まるはず無いでしょうが!」
おや、エリアとイリスの顔が明るくなった?
何かのスイッチが入ったようだ。
「次、お願いします。」
イリスが前に立ち、キラキラしてこちらを見ている。
(駄目よ、この手の目をするのは、私に厳しく、甘くしなくなるわ。
アンジェが、長く講説たれるから、被害者が生まれるんだ。自重しなさい!)
その頃、ハイド伯爵からの早馬がバルムへ向けて出発していた。
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