第二十三話 休息日とは

『うーうー』と唸るアンジェに、ミリーが、


「アンジェ様、昨日はアニーがサプライズプレゼントで、ビックリさせるって私たちにも内緒にしていましたわ。」


「そ、そうなの、ね。

 ビックリしたわよ・・。太い筋肉と細い筋肉が、頭から離れないくらい。」

 アンジェは、前線で出番が無かったマクミランと前線にも、行けなかったハンスの八つ当たりにHPをガリガリに削られた。

 エリアとイリスが、一緒にいたので何とか壊れなかった。心が・・・。


 ミリーは、

「えっ?おかしいですわね。

 お茶の時間の準備に時間をかけていたから、その護衛の方との顔合わせで、楽しまれたのかと・・・。」


 アンジェは、

「そういえば?何時もは、お茶とお菓子を少し食べるくらいだったけど・・。

 昨日は、果実水に軽食だったわ!」

「それは、良かったですね。

 マクミランとハンスが、張り切りすぎて、食べようか迷ったくらいだったわ。

 流し込むように、食べて飲んで味もよく思い出せないのよ。

 あぁ、ごめんなさい、アニー。」

(うるうる泣くくらいなら、筋肉止めたらいいのに。

 それはそれ、これはこれ、筋肉は筋肉よ!連携すれば、3対1で、まだ殺れたはずだわ!

 物騒な!言葉の選択肢がおかしいだろ、いつもいつも!頑張れたとかあるだろ?アンジェだからなぁ。選択肢も、頭の上に、はいとイエスしか無いのかね。殺ると討つみたいな・・・。

 ノブは、子供ね!そんな選択あるはずないじゃない。

 じゃ、マクミランは

 筋肉!

 ハンスは、

 細い筋肉!

 ほらやっぱり、団長でもいいし、騎士呼びも無いじゃんか。

 そっそうよ、エリアが筋肉なんて呼ぶから移ったのだわ。)


 と、ミリーが

「そうでしたか。それは、残念でございましたね。」

「今日は、昨日の分も休むからね。動けないの痛いの休息日なの!」

 盛大にゴネるアンジェを見て、ミリーは

「エリアさんとイリスさんは、どうなさるのです?

 先ほど、来られましたよ。」

『ハアッ?』

 思わず、声に出た!

(いつもと変わらんがな。)

「かよわい私に、何をしろと・・『オヨヨッ』」

『チラッ』とミリーを見ても、変化が無い。それどころか、服の準備を始めてる!

「嫌よ!休むのっ!ミリー、帰ってもらって。」

『パンッパンッ』と手の平で、音を鳴らすと


「失礼致します。」

 何故か、モーラは入るなりベッドの私を・・『ン、ンン』私のベッドに入ってきた。

「ここは、私の領域よ!誰にも、侵させはしないわ!」

「ハイハイ、分かっておりますよ〜。」

 何もわかっていない、モーラは、私を脇から抱き上げると、ミリーに脱がされていく。

「抱っこするなぁ。そんなので、喜ぶお子様じゃ無いのよ。

 ミリーも、勝手に脱がさないでぇ〜。二人とも、言う事を聞きなさいよ。」

(痛い痛い、歩けるのかしら?

 アンジェ痛いの。ねぇ痛いの?

 ノブの曲に、モブッて呼ぼうかしら?

『クッ』また、余計な事を!おぉ~、子供の頃のあだ名が出てくるとはぁ!アンジェ〜、今のお前を助ける者はいない。甘んじて享受するがいい。)


 アンジェは、

「でっ、何で、わたしは、無理矢理、着替えを、させられたのかしら!」

「エリアさんとイリスさんが、来ているとお伝えしました。

 さぁ、お急ぎ下さい。」

 2人に、背を押されながら部屋を後にする。

「まだ、手も足も痛いんですけど〜。」


 客間へ行くと、

「アンジェ様、おはようございます。」

 軍服姿の2人が、立ち上がって挨拶をして来た。

「軍服って、何してるのよ?

 昨日、明日は休息日って言ったよね。」

 エリアが、

「アンジェ様、何をと言われても・・。

 軍属なので、服はこれが普通ですし、護衛がありますので帯剣だけはしております。」

 イリスも、頷くと

 アンジェは、

「そこじゃ無いでしょ。

 まぁ、鎧着てないだけ増しだわ。

 でも、休息日ってお休みでしょ?

 昨日、あれだけ鍛錬したから体が、痛いでしょ?

 何で、家に来てるのよ。」


 イリスが、

「その、日課の方がお休みと思っていたのですが。」

「真面目かッ、いえ真面目すぎだわ。 

 休息日は、護衛もお休みです。

 兵の方も、任務が無ければ休みです!良いですか。」

 2人共、顔を合わせて、

「『ホッ』お心遣い、ありがとうございます。」

(何時もは、休みは取れてるのかしら?・・・ノブ?

 信弘は、怒っている様だ。

 ヨーゼフ?貴方からも、ノブに言っておいてよ。そんなに、怒ることないじゃないのよって。

 仕方ないのう。その代わり、甘味を所望する。

 えっ、何故にオッサンが甘味を?

 ワシの時は、甘味は贅沢品だったからのう。皆も、喜んどるよ。

 みなって、皆かぁ。いいわ。じゃ、ノブの件は、よろしくね。)


「別に、気遣っての事では無いのですよ。

 お2人は、昨日の疲れは無いのですか?

 私は、昨夜から、手も足も痛いですが?」

「はい。流石に、全てとはいきませんが、軽く動く程度なら問題ありません。」


 エリアの言葉に、

「そ、そうですわね。」

(ンッ、何かイリスは違うみたいだよね。

 そうよ、でも私よりマシなのは間違い無いわ。ズルいわ。今のイリスなら、勝てる気がするわね。

 その、イリスよりも、ヘトヘトな件だが、手はあるのかね!アンジェ君!)

 ホッペタを、手の平で『ブ〜』と挟むアンジェは、


「仕方ありませんね。

 今日は、街へ買い物に、行きましょう。

 ミリーとモーラは、来れるかしら?アニーも確認してから、また準備ね。

 それまでは、少しお茶でもしましょう。」

(モブ、復活したのね。・・・

 も・モブだと!誰がじゃい!ヨーゼフはおやつ無しね。アンジェも覚えていいるがいい。)


 結局、アニーとミリーにモーラも入って、エリアとイリスの6人で街へ行くことになった。


 セトやエル達に、会いに行ってから用事を済ませればいいか。

 等と考えていると、

「アンジェ〜。」

 エルが近づいてくる。


 エリアとイリスが反応したので、私は前に出て手を振る。

「エル〜、ちょっとぶりね。」

「何それ、変なの。」

「マクミラン達が、帰ってから1度は遊んだし、ちょっとぶりだよ。」

「ねぇアンジェ、何故キレイな女の人が3人も増えてるの?

 アンジェって、まさかの趣味を持ってるの?」

 エルの興奮は収まらない。

 サラとリズにセト達の近くに行くと、

「皆、元気そうね。

 今日は、買い物ついでに会わせておこうと思ってね。」

『ゴクッ』

「じゃじゃ~ん。

 今日から、専属の護衛になった、エリアとイリスです。それから、モーラ姉さんよ。」


「すげぇー。護衛なら、俺もなってやるよ。なぁ、いいだろ。」

 セトの言葉に、不機嫌なエリア達と何故かしょんぼりしている、モーラ。

(モーラに、フォローを入れとけっ。)

「セト、遊びじゃ無いのよ。

 領主や団長達に、認められて初めて護衛の任務が任されるのよ。

 凄く危険だからね。

 セトは、お店やエル達を守っていてね。

 それと、モーラは、アニー姉さんとミリー姉さんと同じくモーラ姉さんね。

 私の言う事はあまり聞かなくなってきたけどね。」


『ハッ』慌てて手を、口に当てるも、侍女3人衆の視線が痛い。

「お初にお目にかかる。

 私は領都隊所属のエリシュリア・ランブルです。」

「私は、領都隊所属のイステリス・カルメンです。」

 最後に、

「私は、モーラと言います。

 アンジェのあ・ね・です。」

 威圧をかけるモーラに、

「アンジェには、急に姉が増えるのかよ。『ヒッ!』」

 セトは、モーラに屈した。

「モーラって、感じが違うわ。

 家では、何かこう、もっと、落ち着いている感じなのに。」

(セーフかしら?

 おう、最近は、最後の一言で、何を言い出すか分からないからな。)


「そうですね。

 私は、貴族ではありませんから。自然とこちらの方が、馴染んでしまうのでしょう。」


 アニーから、

「確か、ピエール商会がご実家ですね。」

「そうなのね。

 まぁ、紹介も終わったし、そろそろ次の予定にしましょう。

 それじゃ、またね。」

 エル、サラ、リズ、セト達に手を振って分かれた。


 ハイド伯爵は、

「リンデンか、ファナルと待っておった。

 この度の戦、大義であった。

 それから、侯爵様から経由して、捕虜の分散についての件を受けておるが、そなたらの意見を聞いておきたい。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る