第3話 授業とお調子アンジェ
また、翌日からは書室で、アニーと文字の読み書きが始まった。
基本の文字は、アンジェが覚えているが、単語は別だった。
こくおうは喋れても書けないとか、やはり残念アンジェだと思いながら、名前や単語を練習する。
朝の時間が、過ぎるとちょっと休憩を取る。この後は、計算の時間だ。
(も〜疲れたわ。遊びましょうよ!)頭の中で囁く声がした。
アンジェ本人だな、俺はアンジェに語りかけた。(もうすぐ、俺達は1つになる。全てを共有して行く。アンジェはアンジェだが、1人じゃない。思うように、やりたいように、生きればいい。その為には、やらなければならない事がある。・・・勉強だぁ!あっ、それと恋愛に男は勘弁してくれアンジェ以外は、みんな男だからな、流石に『ないない』珍しくアンジェ以外の皆の声が揃う。)じゃ、やってみようか。
アンジェも、少し気にしていたようだ。返事も無く、午後からの計算に用意を始めた。
ミリーが、部屋へやって来た。手には数冊の本と紙を持っていた。
「ミリー先生、今日は何をするの?」と元気よく声をだすアンジェだが先生呼びされてミリーのちょっと照れている反応が見たいだけの悪戯アンジェだ。
「今日は、基本の足算から始めましょう。」ミリーは、本を1冊渡すと授業を始めた。(分かる!分かるわ!どうしてなの?とアンジェがビックリしている。俺は、それくらい前の俺達で克服しているから理解できるのは当たり前だ。)
アンジェは、ミリーの授業に既に飽きてきた様だ。温かい日が刺す中で、ウトウトとし目を擦る。
ミリーは「昨日の言葉は何だったのです!」とお冠だ。アンジェは、基本の計算はもう出来るから、次を教えて頂戴と調子に乗る。
「では、これを全て解いてみて下さい。」ミリーお手製のテストが始まった。「分かったわ。」とアンジェは返事をすると、スラスラと答えを記入していく。「出来たわ。」とアンジェはミリーへ返すと、ミリーの顔はスーッと青くなる。手持ちの他の問題も渡されると「こちらも、解いてみて下さい。」と言われる。
調子に乗ったアンジェは、またスラスラと回答していく。「終わったわ。」とミリーへ渡すと、確認するミリーは驚き「アンジェ様、何故できるの?おかしい、そんなはずは?」と呟きながらこっちを見ると、「今日は終わりに致しましょう。」と言うと部屋を急ぎ出ていった。(アンジェ、やり過ぎ。急に出来る子になったら、怪しいだろう。)アンジェは気にもしない様に、背伸びをしながら、「街へ行ってみたいわ。」と呟く。(俺達は、言い訳くらい用意した方が良いよ。と呟くと「はぁ、とため息をつくのだった。」)
その頃、ミリーはアニーの所へ行っていた。「アニー、アンジェ様がおかしいのよ。」ミリーを見て、「どうしたのよ。」とアニーが返事を返すと、先程の問題用紙を渡す。
「まだ、始めたばかりの計算でやる気がなさそうで、つい解いてみてと言ったら、スラスラと全部正解してるの?おかしいでしょう?」ミリーの話しと問題用紙に目を通して、腕を組むと「確かに、午前の文字も覚えが良いと言うか、字は分からなくても意味は理解している感じがしたわね。」アニーは「エド様とステフ様へご報告して、指示を仰ぎましょう。」
二人は、ステフの部屋へ向った。
ドアの前で、「ステフ様、少し宜しいでしょうか?」とアニーが言うと、「どうなさったの?お入りなさい。」と返事が返ってくると、
ロッテがドアを開けて迎え入れる。
アニーが、朝からの授業の事を説明する。
ステフは、問題用紙を確認しながらアニーの話を聞き入っていたが、「勉強嫌いで、隠れて1人でやっていた可能性は・・・無いわね。やれば出来る子では、説明がつかないようね。エドにも、相談して見ましょう。」とロッテを使いに出した。
暫くすると、ロッテが戻って来た。「ステフ様、直ぐにお時間と取られるとの事でした。」
ステフを先頭に4人は、執務室へと向かった。
ステフがドアをノックすると、家令のカルビンがドアを開け「どうぞ、お入り下さい。」と向かい入れる。
エドは「それで、何があったのか?」とステフを見ると、これまでの話を始めた。詳しくアニーとミリーが最後に、説明するとエドも腕を組むと考え込む。
カルビンが、「旦那様、分からない事は直接お嬢様にご確認されては如何でしょうか。」と言葉を挟むと「そうだな、またある程度の事が、出来る様であれば内容も変えていかなければならんだたろうし。食事の時にでも話をするとしよう。」
ミリーがアニーを連れて、部屋に戻って来た。2人は、「アンジェ様、さぁ今日は、ゆっくりとお食事をしてお話をいたしましょう。」と念入りに支度をする。「今日は、何かあったかしら?」2人に問いかけても、不適な笑みを返される!(やばい、これ逃げられないやつだ。)
アンジェは、どう言い訳したものか悩み始めた。
夕食の時間、お父様とお母様は既に、テーブルについていた。何故か
カルビンもロッテもいる、そして私と共にアニーとミリーも来てるし、(カツ丼かカツ丼が出るのか?ライトに照らされ尋問が始まるのか?むむむー!逃げ場は無い!)良し、諦めよう。
カツ丼は、出なかったよ。食事が終わると、お父様から「アンジェ、今日の事で皆にも集まってもらっている。」テーブルに肘を付きながら、「一体どういう事なのか、説明して欲しい。」お父様は、真剣な目で問いかけて来た。
アンジェは、「あれは、夢です。」
「ゆめって!」その場にいた、皆が揃って叫ぶ。
「先日、5歳になって夢を見たの。たくさんの想いの夢を。お父様、お母様、私はその想いを紡いで行かなくてわなりません。分からない事もあるし、分かった事もあるの。」
「アンジェ」、肘を付き手を組み額を乗せて考え込むと「何を言ってるのか、さっぱり分からん。」とお父様が頭を抱える。
あちゃ〜、駄目だったか~。とアンジェも考え込む。
お母様が、「アンジェ、夢で何を見てきたの?」ステフが理解しようと、声をかけてきた。(ねぇ、話してもいいの?アンジェが、ない胸に呟く。てを話しても、理解されないものは仕方ないさ〜。変な子って言われて終わるな。)
「お母様、夢の中では多くの戦いや進んだ技術があって、でも平和そうな国もあったわ。私はそこで、色々と見て学んだのよ。だから、簡単な計算くらいなら出来るけど、街にも出たことがないから、領地の事や国の事が分からないわ。」と少しは分かって貰えるように話した。
しかし、お母様も頭を抱えている。
カルビンもロッテもアニー、ミリーも、理解に苦しんでいる様だ。
お父様が、「アンジェ、もういいだろう。何か話せない事があるのか?皆も困っているだろう。」アンジェは決意し、「お父様、本当に夢なのです。明日の朝、一つ稽古をつけて下さい。」また、とんでも発言に周りが凍り付くと、お父様は「アンジェ、いい加減にしなさい。」と怒鳴り声を上げた。(だよね~。俺達は深みにハマって抜け出せないアンジェに同情した。)
しかし、アンジェは引かないと決めたのか、「夢での証拠を、お見せしたいと思います。」と再度、お父様を真剣な眼差しで見る。
悩むお父様は、仕方なさそうに、「では、明日の朝に訓練場にて木剣にて見てやる。」と話は纏まった。
アンジェは部屋に戻ると、「ハァ」とため息を付く。(やり過ぎたぁ。そりゃね、勢いでついやり過ごすことだけを考えてたわよ。仕方ないじゃない。ねぇねぇ?思わねえよ!俺はバッサリと言い放つ。ムッキーとアンジェは、タダをこねる。お前の小さな体で、何を見せるのだ。剣を飛ばされて終わるのが落ちだ。それを、考えるのよ。俺達を。巻き込むな!)
アンジェは、手を見ながら一太刀を打ち込む方法を考えながら、夜は更けていった。
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