第17話 昼休み
昼休み、やはり日奈子のグループは盛り上がっている。
「ね、今日みんなでカラオケ行かない? 日奈子の話も聞きたいし」
上水がいう。それにしても、こいつらいっつもカラオケ行ってるな。
「私は用事があるから」
日奈子は相変わらず用事でごまかしている。
「えー、行こうよ。あ、もしかしていつも言ってる用事って、彼氏に会ってるの?」
「ち、違うから」
「あー、怪しい」
うーむ、合っているような、合っていないような。
「もう、由美のせいだからね」
「ごめんごめん。でも、日奈子にそういう人がいるのをみんなに知ってもらいたかったから」
「まったく、もう」
なるほど。森本は自分が好きな人に日奈子をあきらめてもらうためにこの話をしたのか。であれば、相手が誰かは関係ない。そういう人が居るってことだけを言いたかったんだな。だったら、これ以上、秘密を明かすことは無いだろう。
「あー、なんかイライラする。少し俺は遅れるけどカラオケ行こうぜ」
井川が言い出した。
「うん!」
森本さんが嬉しそうな返事をする。ん? そういうことか。森本さんが好きな人って、井川か。
カラオケに行く奴らがどこに行くかで盛り上がりだし、日奈子は蚊帳の外になったところでメッセージが来た。
日奈子『ごめんね、騒がしくて』
陽太『俺はいいから』
日奈子『もうストレスマックス。帰り、どこか寄ろう』
陽太『わかった』
日奈子『うん、楽しみにしてる』
「あー、また彼氏とメッセしてる。日奈子、にやついてたもん」
上水がめざとく言う。
「ち、違うから」
慌てて日奈子はスマホを隠した。
「いいなあ。私も彼氏欲しい」
森本がわざとらしく言った。話題をそらしてくれたようだ。
「由美、すぐできるんじゃない?」
日奈子が言う。
「そうだといいけど……」
森本はぽつんと言った。
◇◇◇
放課後、俺はいつものように図書室で日奈子からの連絡を待つ。
だが、この日はいつもよりも早くメッセージが来た。
日奈子『教室来て』
連絡が来たが、いつもと違い、教室に来いという。
陽太『いいのかよ』
日奈子『うん』
陽太『わかった』
よくわからないが、教室に向かった。
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