第11話 直面



 浩子に近くまで送ってもらった仙人



「本当にここまでで、良かったでんすか?まだ距離はありますけど」



「ここで、大丈夫です。絵美さんも、ここで待っていて下さい」



 頷きながら答える仙人



「気をつけて下さいね、仙人さん。あの廃屋はいつから人が、住まなくなって、廃屋になったのか、誰も分からない建物でして……仙人さんなら大丈夫だと思うんですけど」



「ありがとうございます。気をつけて行きます」



 車を降りる仙人。件の廃屋は、住宅街から離れた山の麓に建っていた。廃屋の周りを、頑丈な囲いがしてあり有刺鉄線も巻き付けてある。

 囲いに書かれている名前を見て、ある所に電話を掛ける仙人



『……なる程な。確かにそこの会社は、系列の建設会社だな。よし、分かった。そこの廃屋に入る許可と昔何があったか調べたらいいな』



「ああ、頼む。最近お願いばかりしているな。すまない」



『気にすんな。こんなのは持ちつ持たれつだろう。普段、此方が頼ってんだからよ。こう言う時こそ、頼ってくれ。じゃ立ち入り許可はすぐ取れるが、調べるのに、少し時間が掛かる。その間に準備でもしといてくれ』



「そうだな、ありがとう。そうするよ、じゃ」



 『あいよ』って声が聞こえて、電話が切れた。電話中も、囲いの外をぐるりと周り視る仙人。

 真正面に当たる道路沿いに行き、右手を地面につけて目を瞑る。暫く目を瞑っていたが、徐に目を開いて立ち上がる



「……まずいか」



 浩子と絵美が待つ車に戻る仙人。浩子の横の窓を、ノックして鍵を開けてもらうと後部座席に座って



「まず、廃屋の管理している会社が知り合いの所なので、立ち入り許可は貰えます。彼処に居る者は、囲いの外側からなので、朧気にしか分かりません。

 今、廃屋の土地で何が起きたのか調べてもらっています。連絡が来るまで準備をします」



「確かに、勝手に入ったら駄目ですよね。仙人さんが視ても、中に入らないと分からないなんて」



「あの、準備と言うのは、何処か行きますか?」



 仙人が、現状を話して絵美と浩子の話を聞いて



「今の持ち物では、いざと言うとき対応に遅れる可能性があります。神社に行って、用意したいと思います」



「この近くで、大きい神社は荒井神社がありますね。そこに、行きましょうか?」



 荒井神社と聞いて幸恵の事を考える絵美。そこで、御守りと御札を購入したが、余り意味なかったなと思い首を傾げる。

 浩子は仙人に顔を向けていたので、気付いてない



「行くのは、其所ではないです。山の中にある神社です。案内するので、送って頂けますか」

 


「分かりました。何処にでも送ります。」



 仙人の案内で、山の中にある神社に向かった3人。20分ほどで、目的の神社についた。

 鳥居と30段ほどの階段を上がると、右手に手水に正面は小さな拝殿と本殿があり、ひだりに社務所がある、至って何処にでもある神社



「こんな所に神社があった何て知りませんでした」



「私もです。空気が新鮮と言いますか、幸恵が元気になったら一緒に来てもいいかも」

 



 手水で手を洗い辺りを見回す2人に



「私は、社務所に行きます。少しの間待っていて下さい」



 同時に頷く2人。そのまま、拝殿に歩いて行った

 仙人は社務所の裏側に行くと、扉が開いて20代位の巫女の姿をした女性が表れた



「高見 仙人さんですね。海道さんから連絡は受けてます。中へどうぞ」



 中に入ると左側に売店、右側に事務所になっている。更に奥に進むと、一面畳が張ってる部屋に入った。真ん中に机があり、正面に50代位の白衣を来た男性が、座っている。



「初めまして。私は、ここを任されている千成せんなり 通哉みちやと申します。どうぞ、お上がり下さい」



 年下である仙人に、丁寧な対応する通哉。頭を下げて上がると



「初めまして。高見 仙人です。宜しくお願いします」



 通哉の前に座り自己紹介をする仙人。すると




「粗茶ですが」



 先程の女性が、仙人の前と通哉の前にお茶を出して音もなく下がる



「今回の事は海道さんから聞いています。恥ずかしい話、連絡が来るまで気付いていませんでした。

 言い訳がましいですが私は、余り霊力がないもので。先程、案内したのが私の娘になります。あの子の方が、私よりありますがそれでも気付けず……」



 悔しそうに、唇を噛む通哉



「人は、誰しも完璧ではありませんから。私も、前回の事が無ければ分かりませんでした。お気になさらず、それよりもこれからです」



「ありがとうございます。そうですね。海道さんから聞きましたが、初代安倍晴明の封印に関わるかもしれないそうですね。その影響で、動きが活発になったのでしょうか?」




 仙人の励ましで、小さく笑う通哉。空峰から全て聞いていたが、確認すると



「十中八九間違いないですね。期間とタイミングは全て合います。ただ、安倍晴明の封印かどうか、今は調べている所です」



「そうですか、分かりました。わが家は、分家の末端ですが、出来ることはさせて頂きます。海道さんから連絡来るまで、必要な物は用意致します」



「ありがとうございます。必要な物は書きだしたので、これをどうぞ」



 通哉は一覧を書いた紙を受け取ると、後に控えている娘に渡した。受け取った娘は、紙を見て後の扉に消えていった



「1つ聞きたいのですが、此方に霊を祓える力を持った方は何人居ますか?」



「そうですね。私は、この神社内なら、多少は祓えます。娘は先程も言った通り、私より力はありますが、あの娘は今まで実際の経験が1度もありません。後は皆、力はありません」



 話の途中で、机の上にある電話が鳴った。通哉が出ると、受話器を仙人に向け



「海道さんからです」



 受話器を受け取った仙人



『仙人、待たせたな。まず、廃屋の立ち入り許可、貰ったぞ。それと、そこで何があったか詳しく書かれた文献はあったぞ。ちょっと胸糞悪い内容だけどな。コピーして、そっちにファクス送っといたから後は頼んだ』


「分かった、ありがとう。」



 電話を切る空峰。すると、事務所からファクス用紙を持った、スーツ姿の女性が表れ仙人に手渡した。頭を下げて受け取る仙人



「それに、詳しく書かれているのですね」



「はい、さっそく読んでみます」



 読み出した仙人である


 その頃、境内にいる絵美と浩子は



「時間が掛かってるわね高見さん、大丈夫かしら? こうしている間にも、桂子と美優が……」



「心配なのは、分かります。私もそうでしたから、仙人さんなら必ず助けてくれます。今は、用意が終わるのを待ちましょう」



「そうね……もう1回、御参りしておくわ」



「私も、付き合います」



 一緒にお参りする2人。仙人の用意が終わるまで、繰り返す2人であった







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る