第9話 合流


 絵美と仙人が電話で話した結果、翌日会うことに決まった。翌日、絵美が休みで、仙人の知り合いとして、一緒に付いて行くため。立川は、何とか休みを貰えて、絵美の家で合流してから、向かう事になった。



「本当に、泊まっても良かったのですか?」



「当然です。大歓迎ですよ!」



 仙人は朝早く伺うので、今日そちらで、ホテルに泊まりますと話した。それなら是非うちに泊まって下さいと絵美に言われ、最初は断るも気付いたら泊まる流れになり今に至る



「仙人さんのおかげで、娘も日々元気になっています。これぐらい当然です」



「うん。色々食べれるようになって、お婆ちゃんのハンバーグも食べれるようになったの!」



浪江は泊まって貰うのは当然と、泊まれる支度をしている。幸恵はまだ体は細いが、顔色は最後に見た時より良くなり、頬の窶れは大分なくなり、肉が付いてきていた



「元気になって、好きなもの食べれるのは良かったね、幸恵ちゃん」



「では、今日もお酒は一緒に飲めないですね」



「どんだけ一緒にお酒飲みたいのよ。お父さんは……」



 今日泊まる理由を聞いた隆司は、しょんぼりしていた。そんな、父を若干呆れた感じで、突っ込む絵美



「今日は、早めに就寝します。お酒は今度、時間がある時に、お願いします」



 その後は、皆で食事を食べながら幸恵が早く学校に行きたい話しや、ここ数日何をしたかなどの話をしていた。



  翌日



 早めに起きた仙人は時間まで、荷物の確認をしていた。幸恵のお祓いをした時より持ち物は多かった。



「幸恵の時より荷物多いですね。」



「今回は、夢見……前にお話した夢で見る事は、無かったので、多めに用意しました」



 絵美が朝食を運んで来て、前回見せて貰った時より、多かったので聞いていた。

 前回無かった、何も書いてない木札などがある



「なるほど。あっ、お邪魔してごめんなさい。これ、朝食です」



「そんな事は無いですよ。朝食ありがとうございます。いただきます」



 荷物確認が終わった仙人は、朝食を食べ時間まで瞑想をしていた

 時間の10分前ぐらいに、インターホンが鳴り絵美が玄関に向かった



「絵美ちゃんおはよう御座います。今日は本当にありがとう」



「おはよう御座います、立川さん。私は紹介するだけなので、お礼は仙人さ……高見さんに、お伝え下さい」



 玄関で話をしていたら黒鞄を持った仙人が姿を表した



「おはよう御座います。高見 仙人です。よろしくお願いします」



「おはよう御座います。立川 弘子ひろこです。今日は、私共の急なお願いを、聞いて頂きありがとうございます」



 それぞれ挨拶を交わして、弘子の車で向かう3人。道中で



「今向かっている、私の知人と言うのが、妹なんです。視て頂きたい子は、妹の娘でして……妹は斉藤さいとう 桂子けいこ 娘は美優みゆ と言います」




「えっ?!」



「娘さんですか……」




 絵美は、弘子の身内だと知り驚く。仙人は、娘と聞いて何か考えていた



「あの子は、妹夫婦の1人娘でして。妹も日に日にやつれて行って凄く心配で……」



「立川さん、そのお気持ち分かります」



「知り合い、特に身内が、苦しむ姿を見るのは、辛いですね」



 絵美と仙人がそれぞれ声を掛ける。仙人は話しながら、ある遠くの箇所を視ていた


「絵美ちゃん、高見さんもありがとうございます。これで、少しでも良くなれば、嬉しいです」



「お話の途中ですが、お聞きしたいことがあります」



「何でしょうか?」



 車が信号で、止まったタイミングで質問する仙人



「ここから見て大体、500mほど斜め左辺りにあるのが、これから向かう妹さんの家で、右600mほど先辺りが、娘さんが入った廃屋がありますね」



「えっ?! 何故それを、絵美ちゃんには、廃屋は話したけど、妹の家は話していないのに……どうやって分かったのでしょうか?!」



 仙人に大体の場所を言い当てられ驚きが、隠せない弘子



「先ほどから、霊の気配を探っていました。そして、同じ気配を、2箇所で感じました。右から感じるのが強くて、斜め左から感じる方が弱かったので、そうかなと思いました。信号変わってますよ」



「……っ」



 分かった理由を聞いて、絶句する弘子。信号が青に変わったと言われて、発進させる



「あの……絵美ちゃん?」



「はい、何でしょうか?」



「疑ってた訳では無いんだけど、その……ご本人の前で、言う事では無いと思うんだけど……高見さん凄いのね」



「当然ですよ。妹を助けてくれた人ですから!」



 目の前で褒められて、少し恥ずかしくなる仙人。すぐに、真顔になり



「ありがとうございます。まだ、気配を感じただけですよ。それより、幸恵ちゃんの時よりは、少しやっかいそうですね」



「えっ?! それは、どういうことですか?」



「幸恵の時よりやっかいって、難しいんですか?!」



 仙人のやっかいの発言に、ほぼ同時に驚く2人。それでも、弘子はしっかりと運転をする



「すみません。言い方が悪かったですね。幸恵ちゃんの時は、彼女に取り憑いた悪霊だけだったのと、原因がはっきりしていました。今回は、取り憑かれた場所は分かっても、取り憑いた霊に取り憑かれた場所の霊の数など、まだ分からない事が多いので、そう言う所で、やっかいと言いました」



「幸恵の時と違う……確かに、全部一緒では無いですもんね」



 仙人の説明を聞いて納得する絵美



「なので、祓うことは充分出来ます。まずは、妹さんの娘さんの状態を視させて貰います」



「分かりました。妹には、昨日話してます。お願いします。何かあったら私から妹に話しますね(この人なら、美優ちゃんを助けて貰える)」



 弘子も納得して仙人にお願いする。仙人は無言で頷いた



「(……だが、これだけの気配。今ま感じているのは、2箇所だけ。もっと、感じてもおかしくないが、他には無い。それに、タイミング的に、竜の置物の封印が解けた時と合致する……先ずは、状態を視ないとな)」



 家が、近づく程に、ハッキリと感じる気配を受け気を引き締める仙人であった


 








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