第3話 尋問 その③

俺たちはショッピングモールの様な避難所の近くに設置されてある、大型エレベーターの中の一つに乗り込んだ。

これから、60階に行けることを証明するために。


「さて。ここは今、地下10階。大体10キロメートルあたりかな。君のいう、地下60階に案内させてもらおうか。」


「は、はい!!」


俺ははっきりそう答えると、エレベーターの中に乗り込む。


エレベーターの両側には、あの時と同じようにびっしりとボタンが並んでいる。


俺はその中から60の数字を探すと、あっさりと見つかった。


「あ、これだ…」


だが、60の数字は存在こそはしていたが、そのボタンに光は灯されていなかった。


「そ、そんな!?」

確かにあの時は光っていたはずなのに!!!


「あ、そうだ。君、ここにきたときに、持ち物チェック行われただろ。」


そういえば、確かにここに捕まった時、持ち物を全部剥ぎ取られた。

そのせいで、真理が無事なのかも把握していないのが現状だ。

無事だといいのだが…


「その持ち物チェックの時に、こんなものがあってな」


と言いながら須藤総司令官は、紐にぶら下げてあった母の肩身の青い宝石を出した。


「これ、なんか大事っぽそうだし、返しておくぞ。特に危険な反応も出なかったしな。」


「あ!!!そういえば!!」


「ん?なんだ?」


「そ、そういえば、俺が60階にいった時、この宝石が光っていたんだ!!」


「そうなのか?じゃあ試しにつけてみるか?」


「は、はい!!お願いします!!」


俺は須藤総司令官からその宝石のついたペンダントの様なものを受け取ると首に掛けた。

すると、その青い宝石は、何かと共鳴するように、光り始める。


「これは…」


「本当にそうだったんだ!!な、これが何か関係しているんだ!!」


その光はさらに強く光り始めると、ついに、60の数字に光が灯された。


「き、きた!!」


俺はすかさず、60の数字を押し、エレベーターを動かした。

どうやらこれは60階に向かっているようだ。


「まさか、本当にできるとはな…」


須藤総司令官は感心したように、高速で数字が増えていくエレベーターの現在位置を表示するモニターを見ていた。





しばらくして、そのモニターが60の数字を表示すると、時期にエレベーターの扉が自動で開いた。


そして、その先に広がっていたのは、まるで死神でも存在していたかのように、禍々しく、心臓が握りつけられるようになぜかとてつもない緊張感を漂わせる暗い暗い、そして深い闇だった。


「ここが60階…」


「本当にあったんですよ!!わかったでしょ!?」


「そうだな。お前の言っていたことは本当だった。」


「そうでしょ!?」


そう言うと、須藤総司令官は歩を進める。


「君が来ないとどうやらここは開かないようだ。早く来てくれ。」


「え!?か、帰らないのですか!?」


「少しここに興味が湧いた。」




俺は足の震えを体で感じた。

怖がっている。

何故か震えている。

それでも俺は足を前に踏み出した。


目の前の大きな扉が開くと、せかせかと須藤総司令官は、暗闇の中に飛び込んでいった。


「ここはどうやら格納庫らしいな。それも、君の乗っていた機体専用の。」


「そ、それだけ重要度が高かった?」


「かもしれん。」


須藤総司令官は、あたりにある、設備をケーブル1本も見逃さずにじっくりと見たあと、1時間ほどしてようやく、「調査は終わった。帰ろう。」と言った。


本当に、足がクタクタになり震えている。


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