第3話 尋問 その①
白く塗装されたコンクリートの牢屋を模した部屋。
まるで殺人犯の様にして俺は捕まえられていた。
重い手錠を机の上に乗せて。
扉は一つしかないので、簡単に出ることもできない。
監視を任せられたのか、ずっと俺をジロリと睨む、青い帽子を被った警官の様な見た目の女性は、声を出さずに一つしかない扉の前で、俺を逃がさんとばかりに、手を組んでいる。
多分、俺が喋ろうとすると、「黙れ」と睨んでくることは予想できる。
そして、突如として、一つの扉が開いた。
扉の奥からは、警察の服装を模した、服を着込んだピンク髪のロングヘアの女性が出てきた。
その人は胸のボタンを大胆に解放しており、少しばかり露出が酷いように見えた。
被っている帽子の影からは、ギラリとした、狩りを今から行うような目をしている。
「私は、
ゴミを見るような目で睨む女に俺は、口を開く。
「お、俺はただの民間人だ。ただの学生。あれに乗るまでは勉強だってしていた。」
「じゃあ、あの機体はなんだ?どうみても学生が購入できるような代物ではなさそうだが。」
「あれは俺が避難していた時にそこの施設の60階にありました。」
「60階?それは不思議だ。この辺りで避難所はここしかない。そして、入院名簿には相田零という名前もあるな。」
「!?」
女は俺に関する情報が載った顔写真付きの一枚の紙を持っていたファイルから取り出した。
「どうも私はここにある写真とお前の顔がとてつもなく似ているように見えるんだが…」
俺は驚きのあまり空いた口が塞がらずに、そのばで、俺の個人情報の書かれた髪を凝視していた。」
「改めて聞こう。相田零くん。君が乗ったあの機体はなんなんだ?」
「そ、それは本当にここの60階に…」
「ここの施設に60階は存在しない。」
「んな!?」
「確かに60階は建設予定はあったが、結局建設しなかったと私は聞いている。エレベーターのボタンはその時の名残だと。ここの建設者からもわ私は聞いている。」
「で、でも!!本当に…」
「だったら証明してみるがいい。私たちの前でな。」
「え?」
「百聞は一見にしかず。そういう言葉があるんだ。だったら私たちの前で証明してみたらいいさ。そうすれば、すぐに解放する。」
「え!?」
須藤司令官は腰から鍵を一つ、つまみ出すと、俺の手錠にあった鍵穴に差し込むと、俺にかかっていた手錠を外した。
「これで歩きやすくなっただろ?行くぞ。」
「ま、待ってください!」
俺は出口の扉に手を乗せる須藤総司令官を呼び止めた。
「な、なんでそこまでしてくれるんですか?怪しくないのですか?」
須藤総司令官は首だけを後ろに向け、目だけを合わせて言った。
「ある奴との約束なんだ。」
「ある奴?」
「ああ。君の知っている人だ。その人からの頼みごとがあってな。それより、早く行くぞ」
須藤総司令官はその言葉をいうと、一つしかない扉から外へと出ていった。
そして俺は「ま、待ってください!!」と言いながらその背中を追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます