第2話 参戦 その⑤

「その手があるなら言ってくれよ!!!」

俺は一気に前方へスロットを傾けた。

そして、機体が前へ前へと言わんばかりに背中のジェットから炎を噴出し、俺は座席の後ろへと運動の作用によって後ろめく。

『速度上昇、235キロ!!!』

一瞬の内に勝負は決まる。

それが、剣の世界。

俺はガンコマンドからサーベルコマンドへと、ボタンを切り替えた。

モニターの端で、サーベルのような光が漏れるのがわかった。

『射撃同様、スロットの赤いボタンで、サーベルを振ることができます。』

相手は多分こちら側が猛突進していることに困惑しているのか、銃を撃ってこようとはしなかった。

「それが命取りになるんだ!!!!!」

神経接続によって、歩くイメージで機体は動く。

それも、足に限定して。

なら、上方向に向かって、地面を蹴るイメージなら…

俺は、敵機とぶつかるか、ぶつからないかの一瞬で、ジャンプするイメージを頭の中で思い浮かべた。

すると、すぐに、機体は30mは飛び跳ねる。

そして、くるりと一周して、逆さまの状態で中に機体が浮いた一瞬を見逃さず、

「今だ!!!!」

ブースターの運動力を、全開フルで放出させ、俺はスロットの赤いボタンを同時に押した。

ロックオンしてあった、敵機に向かって、俺の機体。

GODBIRDは緑色に鋭く光る電撃の剣を振るう。

電撃の剣は敵機の胸を一刀両断にして見せた。

そして、瞬く間に敵機は爆発により、その機体の姿を鉄の欠片へと変貌させた。

「これが俺の剣技だ!!」

と、モニター越しにガッツポーズをすると、『地面衝突を回避します。』

と言って一回転した後、俺がそれで吐きそうになったことは誰にも言えない秘密である。


「さてと…どうやって帰れば良いんだ?」

と俺が疑問に思った時、先程、敵が向かってきた方向とは逆方向から、5機ほどの機体が向かってくるのがレーダーに写った。

『敵機接近中。5機確認しました。』

「おいおい!!マジかよ!!!」

俺は再びスロットを握る。

『警告。残りのジラル燃料が20%を下回りました。戦闘を避けることを推奨します。』

「ま、マジか!!!!」

俺は、先程までの高揚感を失い、再び絶望の淵へと落とされたような気分だった。

「いや待てよ?」

さっきの敵機が来た方向とは逆の方向から向かってきている。

俺はある可能性に賭けるしかないようだ。


しばらくすると、四方八方から、敵機の反応がした。

どうやら囲まれたようだ。

ビルの隙間からは、先程とは全く違う、機体が5体ほど現れた。

そして、その中の一機が、このモニターに映る周辺の中で一番高いびるに乗った機体から声がした。

「直ちに降参を願う。抵抗するのならば、我々、トウキョウウェポンアーマーズが貴様を蜂の巣にする!!!」

どうやら、俺は助かったのかもしれない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る