第2話 参戦 その③

ゾワゾワするような感覚が身体中を走った。

「な、何だこれ…」

エレベーターの扉の先には、穴の空いた工事現場で見るような鉄板で組まれた第空間が広がっていた。

そして、首にぶら下げている宝石が再び光ると、赤いライトを照らしながら、開く大きな扉が見えた。

「こ、これって何かの鍵なのか?」

俺は宝石を右手で掴みながら呟いた。

そして、俺は赤い光が続く方向へ足を踏み出した。

俺がさらに奥の大空間に足を踏み入れると、俺に反応したのか、一気にライトがあるものを照らした。

それは…

「う、W《ウェポン》A《アーム》…」

ライトが照らした先にあったのは、一つ目のウェポンアームだった。

戦場で見たものとは明らかに一味違う、そして、何とも禍々しいオーラを漂わせていた。

そのウェポンアームを見るだけで、足がすくみ、背筋が凍る。

下半身は埋まっていて、見えないが、多分25メートルはあるだろう。

「し、調べてみるか…」

俺はウェポンアームの搭乗口近くへに繋がる通路を歩く。

薄暗い格納庫らしき中のライトは全て、王様だけをスポットライトに当てるように、灰色にくすんだウェポンアームを照らし出す。

俺は搭乗口付近に付くと、じっくりその機体を見た。

分厚い装甲を付けた左手には銃を持っているように見えた。

これ、どうやって乗るんだろ

俺がそう思うと、再び、胸元が青く光り始めた。

「これって…」

そう呟いた瞬間、ウェポンアームの搭乗口が水蒸気を吐きながら開く。

「やっぱり…」

そして、搭乗口の開いたウェポンアームのパイロット席から、電子音声が聞こえた。

『ロード中…ウェポンアーム、機体名GODBIRD起動しました。パイロット様、ご搭乗お願いします。』

「え?俺?」

俺はその声に導かれ、搭乗口へととりあえず乗り込んだ。

不安と恐怖を抱えて。

俺はスロットバーらしき物に手を触れる。

随分と放置されていたようで、スロットバーには埃が少し付いていた。

『パイロット様の生命反応確認。これより神経接続を開始します。』

「ん?どういうこと?」

と、俺が疑問を抱きかけると、両手に拘束具のような手錠のようなものを付けられた。

「え!?何これ!?」

『ハッチを閉じます。挟まれないように気をつけてください。』

「待て!!!」

『神経接続完了。生命エネルギー抽出。抽出成功。カプセルを挿入準備…』

搭乗口が閉じると、とうとう電子音声は喋るのをやめなくなる。

「ま、まずい…あ、頭が…」

生命エネルギーというものを抽出されたからだろうか、少し頭が痛くなる…


零…頑張って…あなたならできるわ…


だ、誰の声だ…!?き、聞き覚えのある声…

だ、誰だ!?!?


そんな幻覚が消え失せると、真っ暗だった視界がブルーライトによって回復した。

『カプセル1号挿入開始。挿入完了。順次カプセル挿入します。カプセル挿入完了。出撃準備開始。』

「しゅ、出撃?」

俺はクラクラした頭で、オペレーションらしき声を聞く。

『出撃準備完了。シートベルトを装着します。』

次の瞬間、俺の体はシートベルトによって、座らされたまま固定される。

『出撃します。』

「え?ブファアアアアア!!!!!!!!」

俺が、めまいから解放されると、今度襲ってきたのは、上に向かって、一気に上昇する、遊園地のアトラクションのような物だった。

『モニター正常運転開始。』

モニターに画面が映ると、上から下に高速で流れていく、壁が映し出された。

間違いない。今、俺は、先程のエレベーターよりも早い速度で、地上へと上昇している。

「うわあアアアアアアアアア!!!!!!!」

俺が大声を出して叫ぶと、すぐに、地上…というより天空へと放り出された。

モニターには夜の街の景色が映し出され、どんどんと、地面との距離が遠くなっていく。

『高度100m、700m、1000m着陸体制に入ります。』

俺は一瞬の浮遊感を覚えると、次はすぐに重力に吸い付いていくのを感じた。

それも、とてつもない速度で。

『着陸します。』

ドオオオオオオオン!!!!!!

土埃が舞い、激しい音を鳴らしながら、俺は街並みのど真ん中の最近できたばかりの杉並広場という所に着地した。

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