第2話 参戦 その④
『敵機11機確認。これよりチュートリアルを開始します。』
「は、はあ、はあ…」
すでに俺はジェットコースタなどで、体力の半分は削られていた。
『スロットバーをあげることによって、ジェットにより、高速で進行することができます。逆にスロットバーを下げれば、逆噴射により攻撃の回避が可能です。神経接続によって、歩くイメージを持てば、歩行も可能です。横にあるボタンを使い、サーベルコマンドやガンコマンドなどの選択が可能です。』
「ど、どうやって降りるんだよ!!!」
俺は自動音声らしき電子音声にそのことを聞いたが、特に返事は無かった。
「やれってことかよ…まずは帰らないとか…」
『画面端にレーダーがあります。三角マークが自機。二重丸が敵機です。』
「な、なるほど…って…俺が操作できるわけ…」
と思い、俺は二つのスロットバーを前に傾けた。
すると、瞬く間に俺は目の前のビルにあたり、ビル一つを押し倒した。
「あ。」
『遮蔽物破壊。損傷0%』
「黙っとこ…」
そういえば、歩くイメージとか言ってたな…
俺は何となく、歩くイメージをすると、今度はゆっくりとだが、前進し始める。
「で、できた!!これで帰れる!!!」
俺がそう安心したのも束の間、『レーダーに反応あり。敵機が一機近づいてきます。』
「ま、まずい!!!」
敵機と言われると、もしかして、先程の昼に俺らの道場を潰した物だろうか…
そういえば、敵機が20体ほど居るとかオペレーションさっき言ってたな…
「と、すると、もしかして、テロか!?」
『敵機接近中。ガンコマンドに切り替えることを推奨します。』
「ガンコマンド?これかなぁ?」
俺は右手の横にあった赤いボタンを押した。
すると、モニターに、とても大きい、アサルトライフルを持ったような腕が写り込んだ。
『ガンコマンドは、敵機に照準を合わせることによって、6センチ砲を射撃することが可能です。』
「しょ、照準?どうやって合わせるんだろう…」
『敵機、視界に入ります。』
「マジか!!!」
俺がノロノロとコマンドについて調べていると、いつの間にか敵機は姿を表した。
少し細い敵機は明らかに、武装が少ないように見えた。
「ま、まずい!!!」
敵は明らかに武装が少ないのは確かだが、敵機に手には拳銃を持っており、しかも、背中のジェットを噴出して、まるでロケットの如く向かってくる。
『ガンコマンド使用時は、スロットのボタンを押すことによって、射撃可能です。』
「や、やるしかないのか!?」
バアン!!!
そして、モニターに映った敵機の手元が薄く光った。
「これは!!」
俺は一気にスロットバーを左に傾け、横方向へと一気にブースターを蒸して、敵機の発砲した弾丸を避ける。
『敵機をロックオンしました。射撃可能です。』
「とりあえず攻撃!!!」
俺は攻撃こそ最大の防御という言葉を思い出し、スロットに取り付けられていた、赤いボタンを親指で握る。
ズダダダダダ!!!!!と、激しい銃の発砲音が、夜の闇に反響する。
弾丸は暗闇でも輝きながら、敵機に向かって闇を引き裂く。
しかしそれも、敵機は難なく、横移動で避ける。
まるで子供を相手にしているようだ。
『機体分析完了。敵機の機体はアジェリティ。ジェット移動を得意とする機体です。装甲を引き剥がすことによって、俊敏さを手に入れた民間用機体です。装備はPK-58。簡易的な拳銃型装備で、装弾数は23発。18センチ口径を発射する大型拳銃。一般機体であれば、一発で破壊可能。』
「ま、マジか…」
『その分、再装填に5秒かかります。』
「じゃあ、もうちょっとで…」
モニターに映っていた敵機の手元がキラッと光った。
「!!!」
俺は慌ててスロットを横方向に傾けた。
先程と同じように、横方向にブースターを蒸して、弾丸を避ける。
弾丸は俺が元々いた場所の後ろにあった、ビルにあたるとビルにびっしりと貼られていた窓から火が吹き上がり、ビルの周りにコンクリの破片やガラスの破片が飛び散った。
クッソ!!!
ここはもはや、撃ちまくるしか…
『PK-62、残弾数0。』
「は!?」
俺は赤いボタンを何回も押す。
しかしその度にパイロット席に響くのは、電子音声の残弾数0を告げる声。
こ、これまでか!?
俺が、死の覚悟をしていた時、電子音声があることを囁いた。
『残弾数0。サーベルコマンドに切り替えることを推奨します。』
「サーベルコマンド!?」
サーベル。つまり、剣ってことか!?
俺はニヤリと汗まじりに笑うと、
「その手があるんだったら言ってくれよ!!!」
と喜び混じりに力強く言った。
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