奸計によって許嫁と引き離されたヒロインは、下町の占い館で独り働き始めます。ちょっと寂しげで不安も入り混じるオープニングです。
しかもヒロインは占い館の真の主人である大魔女の身代わり。不慣れな作業で客を遇らう日々が続く中、思わぬ人物が店に現れ、物語は大きく動き始めます。
揺れる帝国、絶対的ではない皇家、侯爵家も何やら不安定……
“超大物占い師”として相談を承るヒロインは、やんごとない人々の知ってはならない秘密に触れてしまいます。
自ら謎解きに乗り出すヒロイン。過去に何が起きたのか? そして占い館を放り出して消え失せた大魔女の行方は? 実の父親は何をどこまで知っているのか?
ミステリ要素のあるキュートなファンタジーで、仕掛けもふんだんにして登場するキャラの個性も豊か。中盤の展開も読者を飽きさせず、最後に大技を持って来る。読後感も爽やかで、強く印象に残る素敵な作品です。
丁寧に描かれる人物とその関係性、隠された歴史、家族の愛と絆……そんなテーマが好きなファンタジー・ファンは是非、お手に取って下さい。きっと大満足なさるはずです。