ゆめに来る舌

綿引つぐみ

ゆめに来る舌


十七は雄の体の中にいてぶ~けとLaLaに護られていた


十七までの変化は人の成長でそれから長い老化と聞いた


すべり落ちるひとになりたいやわらかくおしりとこころのバスに揺られて


ばらんすのこわれたものを欲るように舌ったらずのふりをする舌


していてもしていなくてもくちびるは母音のかたち女ともだち


母親から生まれてしまう類型の呪縛はすごいmammalだもん


春の果て嵐のよるのともだちがどこにもいないって吹く南風


街(何があったんだろうすれ違う少年ふたり手を絡ませて)


戦争にゆけば壊れるひざこぞう抱えて見てるこわいニュースを


コンビニのトイレを誰かがノックする(一回死んだ)このテロルにて


ちいさいものを育てる楽しみだけがある夜 人類史はずっと夜です


みんなから私が生まれそれからは王の墓、墓、墓、墓ばかり


自己言及自虐自堕落この星をうつくしいっていう父の声


いらないものを削ぎ落とし切りありふれたやさしさとして立つ犬がいる


××家の「け」ってなんなの甘やかに下がり藤みなふるふるふるる


死者の降る日和と思う降らすなら雨雪以外何と問われて


死にたいなんて思ったことは一度もなくわたしの匂いのする部屋にいる


わたしの体を欲しがる耳もあるようだ心音マニアの少女ひたむき


わたしはなんてばかなんだろうゆめに来る舌を受け入れ言いなりなんて


たぶんそれは日本語がとても好きなせいなんでもゆるしてみようおもう

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