白夜 14話 騎士達とクロ


 後一分、クロを乗せた時空戦艦グルファクシがアクジズ星系へ入った。

 そして、定番のように光線の攻撃が襲いかかる。

 それをエネルギー防壁で弾くグルファクシが、下部を開いて重装備のオメガデウス・ヴァルヤを放出する。


 放たれた重装備のオメガデウス・ヴァルヤは、背中と脚部にある推進装置から白光のフレアを放って疾走する。

 それを操作するクロが、センサーに七つの影を捕らえる。

 一つは巨大な宇宙戦艦だ。

 その宇宙戦艦をジーズが一人で操縦していた。


 ジーズがいる宇宙戦艦の周囲を六つの白銀と輝く人型機体、メガデウス達が続く。

 肩と脚部に光輝く翼を持つ人型機体メガデウス。

 メガデウス達に乗るのは、ナイツの六人

 クリニア、アークア、ナルファ

 ジェイス、ガルダス、アヴァロ

 彼女達、彼ら達が乗っている。


 六つのメガデウスが光の速度へ加速してオメガデウス・ヴァルヤへ向かう。


 オメガデウス・ヴァルヤを操縦するクロが

「上等だ…」

と、オメガデウス・ヴァルヤの安全装置を解除した。


 光で迫る六つのメガデウス達。

 それに重装備のオメガデウス・ヴァルヤが向かった。





 ◇◇◇◇◇


 クロが操縦するオメガデウス・ヴァルヤが宇宙空間で止まる。

 目の前から迫る六つの光、ナイツの六人が操縦するメガデウス

 メガデウスとは、全ての構成物質がエネルギーで構築されたエネルギー兵器である。

 エネルギーの塊で作られた超兵器ゆえに、あらゆるエネルギーを吸収して、全てのダメージを防ぐ。

 更に、一瞬で光の速度、光速へ突入する事が出来て、あらゆる攻撃を回避できる。

 物理、攻撃、全てに置いて絶対的な無敵を誇る超兵器メガデウス。

 それが六機も、クロが乗るオメガデウス・ヴァルヤへ迫る。


 六つの光、メガデウスがオメガデウス・ヴァルヤを囲んで光で走る。

 オメガデウス・ヴァルヤの周囲に六つの光のリングが囲む。


 メガデウスに乗るジェイスが通話で

「ようこそ、過去の遺物、クロード・リー・ナカタ」

 メガデウスに乗るアークアが

「今、ここで降参するなら…ヒドい目を見なくて済むわよ」


 クロはコクピットから静かに六つのメガデウスを見ている。


 メガデウスに乗るアヴァロが

「我々の目的は、貴殿の迎撃だ」

 メガデウスに乗るガルダスが

「お前を完膚なきまでに叩き潰して、姫様の下へ送る」

 メガデウスに乗るナルファが

「五百年前のミイラさん…その未来であるアタシ達に倒されなさい」


 クロが目線を…標的を定めた瞬間、オメガデウス・ヴァルヤから波動を放つ。

 特殊なエネルギー波動が広がり、それにジェイスが乗るメガデウスが触れた瞬間、光速で動くメガデウスにブレーキが掛かった。


「え?」とジェイスが困惑する。


 クロが止まったジェイスのメガデウスへ突貫する。

 重装備のオメガデウス・ヴァルヤは戦車の如く、ジェイスのメガデウスへ衝突する。

 そして、オメガデウス・ヴァルヤが両手に装備する巨砲をジェイスのメガデウスへ放つ。


「うあああああああ!」

 ジェイスは悲鳴を上げる。

 信じられない程の衝撃が襲いかかり、一瞬で気絶した。


 ジェイスのメガデウスは、操縦者のジェイスが戦闘不能となって遠くへ飛んでいく。


「ジェイスーーーーーー」

と、ガルダスが叫び

「ヤロウ!!!!!!!!」

と、オメガデウス・ヴァルヤへ向かう。


 直線で来るメガデウスへ、オメガデウス・ヴァルヤが突貫する。

 ガルダスは、バカが!と嘲笑う。

 メガデウスはエネルギーの塊でその突撃だ。光速は無限の質量エネルギーを生み出す。

 無限の質量エネルギーに押し潰されろ! 

 だが、勝ったのはオメガデウス・ヴァルヤだ。


 ガルダスのメガデウスの突貫をオメガデウス・ヴァルヤが更なる突貫で押し返して、ガルダスは衝撃で白目をむいた。

 そこへ容赦なくオメガデウス・ヴァルヤは両手の巨砲を叩き込み、ガルダスのメガデウスが宇宙の何処かへ飛んでいく。


 ガルダスとジェイスが倒された事で、アヴァロが

「全員、相手の思考を読むぞ!」

 エヴァルダーである彼ら彼女らは、高次元に干渉して相手の思考を読む力がある。

 

 アヴァロ、アークア、ナルファ、クリニアの四人は、クロの思考を読み取る。

 そこには…クロの思考、意識に入り込んだ筈なのに


 ヴォオオオオオオ!


 そこには、漆黒に染まった世界と、その漆黒の世界を構築する膨大な人型が埋め尽くして雄叫びを放っている。

 気が狂いそうな雄叫びが四人の中に入り込む。


「ぎゃああああああ!」

「うあああああああ!」

 アヴァロ、ナルファは叫び


 クリニアとアークアは額に汗が滲む。


 クロの思考を読もうとしたら、膨大な数の人の意識が流れ込んできた。

「な、なんだ! コイツは!!!!!!!!」

と、アヴァロが怯えて操縦するメガデウスが止まってしまった。


 そこへクロは容赦なくオメガデウスを向けた。

 オメガデウス・ヴァルヤが突貫の蹴りをアヴァロのメガデウスへ放ち、同時に両手に装備する巨砲で攻撃した。


 アヴァロも意識を喪失して、メガデウスが宇宙の何処かへ飛ぶ。


 アークアとナルファは「一緒に行くよ!」とアークアが、ナルファは「うん」と二人同時に動く。

 それにサポートとしてクリニアが続く。

 トライアングル形態で向かう三つのメガデウス。


 それに、クロは…


 トライアングルの配置で向かうアークア、ナルファ、クリニアだが。


 クロはトライアングル配置で角の二人が揃う瞬間、突貫する。


 アークアとナルファのメガデウスが重なったそこへ、オメガデウス・ヴァルヤが突貫した。

「うあああああああ!」

と、アークアとナルファは同時に突貫攻撃を受けて、その衝撃に苦しむ。


 そして、オメガデウス・ヴァルヤは両手の巨砲を二機のメガデウスへ放ち、アークアとナルファの二人のメガデウスも宇宙の何処かへ飛ぶ。


 クリニアは、あっという間に五人が倒されて自分だけになった事に恐怖を感じる。

 その前にオメガデウス・ヴァルヤが現れてメガデウスへ蹴りを放つ。


「あ、うう…」

 クリニアの操縦席に強烈な衝撃が襲う。


 容赦なくオメガデウス・ヴァルヤは砲撃を加える。


 クリニアは意識が閉じる寸前に

「これが…マハーカーラ部隊…最強の…」


 オメガデウス・ヴァルヤでメガデウス達を倒したクロが

「なんだ? コイツら…」

 目の前に現れて、攻撃しそうな感じになって対処した。

 アッサリと倒せてしまった。

「まあ、いいや…」

と、レナがいる方向を向くと六人の騎士達ナイツを連れてきた副隊長ジーズが操縦する宇宙戦艦が向かってくる。

「キサマァァァァァァ!」

と、砲撃やエネルギーミサイルを放って攻撃する。


 それにクロが

「アレも障害か…」

と、オメガデウス・ヴァルヤを全速力で走らせて、ジーズがいる宇宙戦艦へ突貫する。


 オメガデウス・ヴァルヤの突貫によって、ジーズの宇宙戦艦がくの字に曲がって、ジーズも衝撃によって気絶する。


 クロは、ジーズの宇宙戦艦を退けた後、レナがいる主星の惑星へ疾走する。

「レナ、待っていろ。直ぐに…」


 レナが囚われている惑星が近くなる。

 その惑星の都市部のとある部分に、レナを察知して向かおうとするが…

 クロが操縦するオメガデウス・ヴァルヤの前にシールドが現れて、オメガデウス・ヴァルヤが弾かれる。

 そのシールドは惑星全体に及び、シールドに包まれた惑星の周囲の時空が歪む。

 それは、巨大な拒絶の力を持つ次元圧縮結界だ。


 この次元圧縮結界に包まれた瞬間、外部から一切の介入が出来なくなる。

 

 その前にクロは、惑星へ入り込もうとオメガデウス・ヴァルヤから膨大なエネルギーを放出して、シールドへ突貫する。


 だが、オメガデウス・ヴァルヤの脇を別の機体が攻撃する。

 メガデウスだ。

 オメガデウス・ヴァルヤが別の方向へ流れて、クロは体勢を立て直す。


 そこへ攻撃したメガデウスが更に攻撃の手を加える。


 クロは、コイツは…とオメガデウス・ヴァルヤを縦横無尽に走らせると、それに対応して襲撃したメガデウスが攻撃を加える。


 攻撃したメガデウスがオメガデウス・ヴァルヤを掴み

「申し訳ないが…しばし…私と遊んでいただこう」

と、男の声が通信に入る。


「クソが!」

と、クロはオメガデウス・ヴァルヤの背中から無数の光線を発射する。

 縦横無尽に曲がる誘導レーザーエネルギー兵器。

 

 それをメガデウスが軽やかに回避して、オメガデウス・ヴァルヤに迫って蹴りを放つ。


 クロは痛感する。

「コイツできる…」


 オメガデウス・ヴァルヤが警戒していると、その前にメガデウスが止まり

「初めまして、アクジズ星系のナイツの一人、ロゼストです。以後、顔見知りを」

と、仮面を付けた男の顔が通信に入る。


 クロは無言でにらみつけて、オメガデウス・ヴァルヤを構える。


 ロゼストは口元に笑みを浮かべ

「おやおや、こちらは名乗りを上げたのに、そちらは名乗らないとは…騎士道に反すると思わないのかね?」


 その答えはクロの無言と共にオメガデウス・ヴァルヤの攻撃による突貫だ。


 ロゼストが笑み

「そうか…騎士道なぞ知らんとは、流石、過去の遺物。野蛮その者だ」


 クロが乗る重装備のオメガデウス・ヴァルヤ

 ロゼストが操縦する白光と輝く肩と脚部に翼を持つメガデウス

 その二者がぶつかる。

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