白夜 13話 カチコミ


 クロは、時空戦艦グルファクシを全速力で走らせていた。

 グルファクシの格納庫に収納されているオメガデウス・ヴァルヤに様々な装備を付けるクロ。

 その隣にグルファクシを操作するDIシュレアの立体映像が現れて

「あの…クロ様…よろしいのでしょうか?」


 クロが鋭い顔で

「何がよろしいんだ?」


 シュレアは溜息をして

「応援を頼む方が…」


 クロが苛立ちながら

「どこに、オレ達を助けてくれる奴らがいるんだ?」


 シュレアが微妙な顔で

「仕事の依頼を提供していただける聖帝様とか…」


 クロは操作するタッチパネルを投げ捨てる。

 それをシュレアがドローンを差し向けてキャッチする。


 クロが重装備を装着したオメガデウス・ヴァルヤを見上げ

「やるぞ…聖帝のヤロウなんかに相談した所で、色んな各所に相談やら、話し合いやらでタイムオーバーだ」

 

 クロの目の前には、細身のオメガデウス・ヴァルヤではない、幾つも装甲と両手に凶悪な砲身達が備わった重戦車の如きオメガデウス・ヴァルヤがある。


 クロは飛翔してオメガデウス・ヴァルヤのコクピットに入り

「後、二分で到着だ。レナの位置は分かっている。何がゲストとしてレナを…ふざけるなよ」


「はぁ…」

と、シュレアは再び溜息を漏らして

「こうなってしまっては…止められないのは、何時もの事でしたね」

 シュレアは説得を諦めた。

 そして、とある場所へ…聖帝へ通信を送った。

 事後報告になるが…


 ◇◇◇◇◇


 レナが誘拐され囚われているアクジズ星系の主星の惑星では、六人の騎士達が身構えていた。


 六人の騎士達の前に一人の男性が現れ

「ナイツの全員に告げる。偉大な過去の戦士、クロード・リー・ナカタ殿が予定通りに、こちらへ向かっている」


 六人の騎士、女性が三人、男性が三人

 男性達が笑み、女性の二人も鼻を鳴らす笑み。


 六人の騎士達の前にいる男性が

「偉大な過去の戦士に敬意を払って、我らナイツの全員でお迎えしようぞ」


 ナイツの女性の一人が

「もしかして、倒してしまうかも…」


 ナイツの男性の一人が

「倒されるなら、その程度だったという事だ」


 六人の騎士達ナイツの前にいる男性が

「確かに、皆は強いが…侮るな」


 ナイツの騎士達の五人は何処かバカにした感じだ。

 所詮、五百年前の遺物。それ程の力は無いと…

 一人の女性だけが淡々と冷静だ。

 その女性に男性が

「クリニア…先程から静かだが…」


 クリニアは眉間を寄せて

「いえ。ただ…窮鼠猫を噛むという言葉もありますから」


 六人の騎士達ナイツの前にいるナイツ副隊長のジーズが

「そうだな…そういう事もある」


 クリニアの左隣にいる金髪の騎士の男性ジェイスが

「おいおい、オレ達は…全員がメガデウスを扱える戦士なんだぜ。負ける訳がないだろうが」


 ジェイスの隣にいる男性騎士ガルダスが

「ジェイスの言う通りだ」


 ガルダスの隣にいる男性騎士アヴァロが

「何時も通り、戦えば…勝てる」


 クリニアの右にいる女性騎士のアークアとナルファの二人が

「クリニアは、何時も心配性」

と、アークアが

「私達は特別なんだよ。太古の骨董品に負ける訳ないわよ」

と、ナルファが


 クリニアが溜息を漏らして

「向こうもハイパーグレート…超越存在だ」


 ジーズが

「それは我々も同じだ。偉大なる姫様の加護の下で覚醒した。新たな超越存在、エヴァルダー覚醒超越だ」


 クリニアが

「その傲慢に足を取られないと良いのですがね」


 ジェイスが

「なら、お前は後ろに下がって見ていろよ。オレ達だけで始末するからよ」


 クリニアがジェイスを横見して

「そうだな。そうさせてもらうよ。後で…手を貸せって言わないでくれよ」

 

 ジェイスが鼻で笑い

「はぁ! オレ一人でも十分さ」


 ジーズが

「では、参ろうか…諸君」


 全員の後ろには白銀に輝く人型機体達があった。



 ◇◇◇◇◇


 後一分、クロを乗せた時空戦艦グルファクシがアクジズ星系へ入った。

 そして、定番のように光線の攻撃が襲いかかる。

 それをエネルギー防壁で弾くグルファクシが、下部を開いて重装備のオメガデウス・ヴァルヤを放出する。


 放たれた重装備のオメガデウス・ヴァルヤは、背中と脚部にある推進装置から白光のフレアを放って疾走する。

 それを操作するクロが、センサーに七つの影を捕らえる。

 一つは巨大な宇宙戦艦だ。

 その宇宙戦艦をジーズが一人で操縦していた。


 ジーズがいる宇宙戦艦の周囲を六つの白銀と輝く人型機体、メガデウス達が続く。

 肩と脚部に光輝く翼を持つ人型機体メガデウス。

 メガデウス達に乗るのは、ナイツの六人

 クリニア、アークア、ナルファ

 ジェイス、ガルダス、アヴァロ

 彼女達、彼ら達が乗っている。


 六つのメガデウスが光の速度へ加速してオメガデウス・ヴァルヤへ向かう。


 オメガデウス・ヴァルヤを操縦するクロが

「上等だ…」

と、オメガデウス・ヴァルヤの安全装置を解除した。


 光で迫る六つのメガデウス達。

 それに重装備のオメガデウス・ヴァルヤが向かった。


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