白夜 3話 別のパーティー


 クロとレナを乗せたオメガデウス・ヴァルヤが到着した。

 その場所は、全長三十メートルのオメガデウス・ヴァルヤの何倍もある巨大な鋼の柱が幾つも立ち並ぶ巨大空間だ。


 レナを左にするクロとの操縦席で、クロが

「あそこだ!」

と、レナにピックアップ画面を見せる。


 レナが操縦桿を握り

「操縦は、どうする?」


 クロが

「オレが機体関係のシステムを担うから、レナが攻撃をしろ」


 レナが戸惑い気味に

「分かった。何とかやってみる」


 オメガデウス・ヴァルヤが鋼の翼を強く羽ばたかせて加速した。

 向かう場所、そこには…黒いドラゴン達が鋼色の天使機体に向かって攻撃を繰り返していた。


 クロが黒いドラゴン達を見つめて

「なんだアレは…生体兵器? そんなバカな! 生体兵器は…昔に禁止されていて、このメルカバーには…装備されてない筈だ!」


 レナがオメガデウス・ヴァルヤの両手から光線を飛ばして、黒いドラゴン達を攻撃する。

「アレは…ドラゴゾっていうモンスターなの」


 黒いドラゴン達、ドラゴゾはオメガデウス・ヴァルヤに気付くと、二体が向かって来た。


 オメガデウス・ヴァルヤの両手から放たれる光線を、ドラゴゾ達はシールドを展開して防ぐ。


「あああ?」

と、クロの眉間が寄る。


 レナが

「あのドラゴゾは半分機械で半分生体なの…」


 クロが苛立ち気味に

「マジかよ…」

と、クロが助けようとする天使機体を見つめて

「やばいな…レナ、機体を分離させる。レナは…」


 レナが

「向かってくる二体のドラゴゾなら倒せると思う」


 クロが

「オレは、襲われている方を助けに行く」


 クロとレナが乗るオメガデウス・ヴァルヤが二つに分かれる。

 クロの方は、悪魔のような機体のヴァルヤ・アルグ

 レナの方は、天使のような機体のヴァルヤ・ウィルグ


 その二体に分裂して、アルグのクロは助け出そうとする方へ向かう。

 レナのウィルグは、向かって来た二体のドラゴゾに攻撃する。


 レナのウィルグは十五メートルの半分になって機動性が増して、それより一回り大きな二十メートルのドラゴゾの攻撃を回避しつつ、両手に光の刃を構築して、ドラゴゾ二体を両断する。


 クロのアルグは、漆黒の機体の翼から空間を削り取る攻撃を放ち、それが天使機体へ襲いかかろうとするドラゴゾ達に当たって、ドラゴゾ達の体が削り取られて倒される。

 

 レナのウィルグがクロのアルグへ駆けつけた時には、事が終わっていて、分かれた二体は元の一つ、オメガデウス・ヴァルヤへ戻る。


 オメガデウス・ヴァルヤが襲われていた天使機体へ近づくと

「大丈夫か?」

と、クロが通信を開く。


 天使機体から

「助かった。ありがとう」

と、お礼の男性の声が来た。


 天使機体がこっち…とオメガデウス・ヴァルヤをとある方向へ誘導していると、目の前に小型の宇宙戦艦が現れる。

 十五メートル級の天使機体が三体くらい入るスペースがある全長四十メートルの小型宇宙戦艦に天使機体が降り立つと、胸部のハッチが開いて操縦者が出る。

「おおーーい」

と、オメガデウス・ヴァルヤへ手を振る。


 四十メートル級の小型宇宙戦艦へ同等サイズのオメガデウス・ヴァルヤが触れると…

「おお?」

と、クロが戸惑いを見せる。


 レナが

「どうしたの?」


 クロが

「まさか…近づいた機体をキャッチホールドするフィールドが展開しているなんて思わなくてな…」


 レナが

「そう? 今時なら、小型戦艦でも付いている機能だよ」


 クロが笑み

「そうか…そういう部分は、進歩しているんだなぁ…」


 オメガデウス・ヴァルヤの胸部ハッチが開いて、クロとレナが姿を見せると、男の機体が操縦者である男を手に乗せて向けて

「助かったよ!」

と、人が良さそうで更に育ちも良さそうな金髪の好青年が手を振る。

 

 クロが

「そっちは、大丈夫か?」


 好青年は微笑み

「貴方達が助けてくれたお陰で、無事だ」

と、答えた次に好青年に飛びつく女性が

「ライアス兄さん! 良かった!」


 好青年のライアスは飛びついた女性の背中を撫でて

「心配をかけたな。ファリナ」


 飛びついた女性ファリナは、ライアスと似た顔立ちと金髪で、更に

「本当に! 無茶をして!」

と、エルフ系の女性も姿を見せた。


 ライアスが

「この人達のお陰さ」

と、クロとレナを示す。


 ファリナが「ありがとうございます」と頭を下げてくれた。


 エルフ系の女性がクロとレナを見て

「あの…ありがとうございます。私達、ドラゴゾ達に追われていて、ライアスが囮になって私達を…」

と、レナを見つめると、ハッとした顔になる。


 レナが少し視線を下げるのをクロが見て

「どうしたんだ?」


 レナは淡々と「別に…」と答えた。


 ライアスが

「ぼくは、ライアス。こっちが妹のファリナと、一緒に探索をしてくれるマリア。そして…」

 小型宇宙戦艦のブリッジから

「無事で何よりだ!」

と、黒髪に腰に剣を携えた女性が姿を見せる。


 ライアスが

「彼女は、ツルギ」


 ツルギがレナを見ると目を細めて

「久しいな…レナ…」


 レナが無言だ。


 クロがレナの態度に疑問を感じるも、ライアスが

「お礼をしたいんだが…」


 クロがレナを見つめると、レナが

「いいんじゃない…」

と、どこか鋭い感じもありつつも、そうい言うので

「分かった」

と、クロは了承した。


 

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