第21話 唸り声
「いや、ちょっと待て。なんかおかしい」
「そ、そんなに私の身体おかしい?」
チリが愕然とした表情で見てくる。
ちょっと俺は考えて
「いや、チリの身体はかわいいよ」
「ほっ?ほんとにっ!?」
「……柔らかで女性らしいっていうか、それよりも……」
「ダメ!もっと具体的に褒めてっ」
俺は頭が混乱するが、気を取り直し
「……胸の形も良いし、お尻とか太ももも惹かれる感じがする。それよりも……」
チリは上目遣いに頬を赤らめて
「あ、あの、私のお腹はやっぱりお肉つきすぎかな……気にしてて」
わざわざ俺の右手を自らの柔らかく丸い腹に持ってきて触らせた。プニプニと摘んだり撫でたりすると
「あっ、ななんか、恥ずかしくて、こちょばゆいけど……」
チリは耳まで真っ赤になりながらトロンとした表情になっていく。
俺の過半身が完全にやる気になったのと同時にまた頭の中で
「むぐううううううう!うむむむっ」
ファイ子の苦しげな唸り声がし始めた。
俺は誤解させないようにチリのお腹を撫でながら、何かやる気になると頭の中でファイ子の唸り声が聞こえるとボソボソと言うと、チリはトロンとして表情で
「かわいそうなえいなり……まだ気にしてる」
と自らの下着の中に俺の左手を入れようとした瞬間だった。
「むぐおおおおおお!うむうううううおおおお!」
ファイ子の唸り声で固まった。
チリにちゃんと説明すると
しばらくポカンとしたあと
「……ちょっと試してみよう」
俺の手をいきなり自分の胸に当ててくる。
同時に頭の中でファイ子のけたたましい唸り声が響いた。チリに伝えると、大きくため息を吐かれ
「どっかから、私たちを見てるか、えいなりの頭がおかしくなったかだろうね」
「だよな」
チリは残念そうに
「シャツ貸してよ」
と言ってきた。
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