ラノベでよくあるやつ
駅に着いた時に俺は気づいた。
肝心の生徒手帳忘れてしまっていたのだ。手帳がなければ定期更新が出来ないので帰りの駄賃が無駄になってしまう。
仕方ない。取りに戻るか。めんどいけど…
学校に着いた俺は早速生徒手帳を取りに向かった。
上履きに履き替えて自分の教室まで向かう。俺の教室はB棟の三階の一番奥とかいう意味わからんくらい不便な場所にある。
愚痴になるけど聞いて欲しい。
一年の時は一階だったんだ。なのに二年になると何故か上に行く。普通逆だと思わない?なんで一年が楽なんだ…。
そんなこんなで教室の前まで着くと何やら誰かの声が聞こえてきた。しばらく聞いてみるとどうやら中にいるのは高巻さんのような感じがした。
なんでわかったかって?
そりゃあんなに綺麗な声をしてるクラスメイトなんて一人しかいないしね。
しばらく待ってみたがまだ続きそうだったし俺も中の生徒手帳を取らないと帰れない訳じゃないがお金が無駄になるのでなるべく静かに中に入ることにした。
――ガラガラッ
するとそこにはめちゃくちゃ驚いた顔をした高巻さんがいた。
そりゃビビるよな。自分しかいないと思ってたんだろうし。
「あ、佐倉くん。なんで…。もしかして…聞いてたりしてたかな?」
「そこまで聞いてたわけじゃないけど…。歌は聞こえてたよ。あとはなんか一人反省会みたいなこともしてたような?」
「待って!それもしかしなくても全部聞いてるよね!」
ばれた。
「まぁわざと聞いてたわけじゃないから許してくれ。忘れ物を取りに来たんだ。」
「そうなんだ。
まさか聞かれてるなんて…迂闊だったな。」
「そういえばなんであんなことしてるんだ?歌が好きなのは今日言ってたけどそこまで真剣にやってるとは思わなかったからさ。そういうのって学校とかでやった方がいいのか?」
生徒手帳をとった俺はふと思った疑問を高巻さんに聞いてみた。
「ああ、違うよ。歌は好きだけどそこまで本格的にってわけじゃないよ。
ほら、私って見て分かると思うけどドジだからさ。特に人がいる時とかだと緊張しちゃってよくドジっちゃうんだ。」
確かに今高巻さんといるけどそこまで普段のような感じはしないな。
「だからよくみんなの前でミスとかもしちゃうんだ。男子たちからは愛嬌があっていいよって言われるけど…女子たちからはさ。
だから私は何でも頑張ってできるだけドジらないようにしてるつもりなんだけど…特に今は新年度だから今年こそ治したいんだ。」
なるほどなぁ。
「でも今俺だけしかいない時はドジらないよね。」
「人が少ない時は緊張とかもしないからだと思う。それでもドジをする時はあるけどね。」
苦労人だなあ。
そうだ。たまたまとはいえ高巻さんの秘密?も知っちゃったし、隣の席という縁もあるから高巻さんに手伝ってあげようかって聞いてみようかな。
何より高巻さんという美少女と関わり持ちたいし。
でも手伝ってあげたいのは本当だからな!
「もし良かったらだけどさ、高巻さんの努力?も知っちゃったんだし俺にも高巻さんのドジを治すのを手伝いたいんだけどダメかな?」
「それは嬉しいけど多分とても大変だよ。それに…」
「大変だろうと高巻さんに比べたら平気だよ!それにせっかく隣の席になったんだしさ、俺も色々知った方が今後ペア組まされた時とかもやりやすいと思うんだよね。」
我ながらいいこと言ったんじゃないか?
「確かに私のことを知ってくれてた方がやりやすいかもだもんね。ちょっと考えてみるよ。」
「そうだよな。いきなり今日あった人に言われても困るもんな。」
「そんなことは思ってないよ!ただ…」
「ただ?」
「前に少し手伝ってくれた子がいたんだけど…私のドジのせいで危うくさしちゃいそうになっちゃってさ。それ以来人に頼りにくくなっちゃって…。
佐倉くんにもやらないとは言いきれないから…。」
ん?刺しちゃいそうだった?
え、想像の五倍くらい危ないかもしれないんですけど。
俺の予想だとドジと言うよりもあがり症が原因だと思ってたから緊張しないようにする手伝いをすればいいかなと思ってたんだけど。
ちょっと予想外すぎるんですけど!
ただこの佐倉渚、危ないとはいえそうそう起こらなそうなことを気にしてこの出会いを無駄にするような男ではない。
「もちろんそんなの平気だよ。高巻さんが苦労してるのを純粋に助けてあげたいだけだからさ。」
「本当?なら手伝って欲しいな。
あっ、だけどもし嫌になったらいつでもやめていいからね!私だってさらに迷惑とかかけたくないから。」
「わかったよ!ならとりあえず何か連絡を取れるようにしたいから
「もちろんいいよ!
今まであまり交換してこなかったから嬉しいな!」
よっしゃ。連絡先も交換できたな。
もちろんここまで行ったからにはしっかりと手伝うからな。
「よし。交換できたな。ならとりあえず今日は帰って明日からちょっとずつやっていこう。」
「そうだね。なら改めて佐倉くんよろしくね!ドンッ」
最後にかましたなぁ〜。
「イテテテ」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。ぶつけ続けていたおかげでもう慣れちゃったんだ。」
なんて悲しい慣れなんだ。
「そ、そうなんだ。
じゃあまた明日な!」
「うん。また明日。」
こうして高巻さんの秘密を知った俺は下心ありの手伝いをすることになったのだった。
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早見沙織さんっていいですよね。
推しの声優です。
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