鋭いとは、なにか?

鏡文志

第1話

鈍いとは、問題に感じないと言うこと。

鋭いとは、問題視であり、問題意識であり、敵視である。



依って、なにに対し、鋭く、なにに対し、鈍いかは

なにに対し、問題意識を感じ、敵視しているか?

なにに対し、問題意識を感じず、敵視もしないか?

と言う趣味と、価値観の問題になる。


歴史上誉に値する功績を残した人は決して万能主義ではなかったと思う。

例えば、シャーロックホームズのような人も、すべてにおいて鋭い人物ではなかったと思う。

ホームズは物事を観察し、分析する能力に長けていたが、英国紳士として振る舞い、動物的な鋭さを抑える人物だった。


集団の中で調和を乱し、鋭利さを剥き出しにする人物は、ホームズのような人物とは、趣味と価値観が違う。才能というものが誉に値するのは、それが集団の調和と協調にとって良いものだから。


それはむき出しの鋭さより、どちらかといえば、抑える力、忍耐我慢する力の中にあるのではないか? と思うのである。


概念的なものを包括して知りたい、理解したいと思える知的好奇心は、己が欲望願望が叶えばそれで良いという動物的好奇心より、より高次元で社会的に価値の高いものである。


それは、広く全体を見渡せる視野の広さ。

欲求願望の成就だけならば、他人や社会は必要なく、狭い部屋に一人切りでイマジネーションの世界だけで事足りる。他人や社会を必要とし、生きる以上、思いやりから生まれる想像力が必須能力であり、それは個人の願望成就のみを願うこととはまったく違うことである。すると社会的調和のために、忍耐辛抱が必須になる。


自分とはなにか? 自分が集団の中でどういう役割を担い、その役割を果たすために、どう動けば良いかなどを常に己が胸に問いながら生きれるようになるものである。

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鋭いとは、なにか? 鏡文志 @kagamibun86

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