既出の【夜行奇談】はまさに温故知新の愉しみがあったが、今作は更に別の視野と同様の感性で続く一話完結の掌編である。 テーマは勿論『妖怪』勘の良い読者であれば 題名 からも察せられるように、古の絵図が一つ一つの物語となり色彩鮮やかに脳裏に浮かぶ。 古き佳き不可思議は、再び『怪異』と成って、美しい華を開かせる。作者の想いと筆致は、現代を生きる我々読み手の心に深く染み込む。これを読まずして怪談好きとは決して名乗れないだろう。